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2007年5月28日 (月)

シューベルト さすらい人幻想曲 ポリーニ

Kominato 千葉県の小湊鉄道
JR内房線の五井駅(市原市)から、千葉内陸部の上総中野駅(大多喜町)までを走るローカル鉄道。

とか紹介しながら、私は乗ったことがありませぬ。千葉に住んでいながら、あまりにでかい県だから未踏の地がたくさんある。
さらに県内ならば、車で移動してしまうので、この手の路線には縁がない。
たまたま、五井周辺で仕事があり、駅橋上からパチリ。
ローカル線を絵にかいたような、なかなかにいい雰囲気に、しばし旅情に誘われるものがあった。
「さすらい人」としての本性がモコモコと沸きあがる。

Schubert_wanderer_pollini しょうがないから、音楽でさすらおうじゃないか。
シューベルト25歳の作は、別にさすらい人を想定して書かれた曲ではないが、第2部が自作の歌曲「さすらい人」の主題による変奏になっているため、「さすらい人幻想曲」と呼ばれている。

そして、音楽はこの2部がやたらと美しい。流れるような抒情に満ち溢れていて、そのめくるめく詩情は止まるところがない。
今晩、久方ぶりに聴いて陶然としてしまった。

他の楽章は明るく、しっかりした足取りで元気が一杯。シューベルトにしては珍しく、技巧的にも高度で強烈な打鍵による迫力溢れるピアノの響きも楽しめる。

若きポリーニは、こんな特徴をあますことなく弾き出して見せてくれる。
ありあまるテクニックに余裕を見せながら、シューベルトのみずみずしい抒情がそこから沸き立つように香ってくる。どこもかしこも、明晰な光があてられて輝いている。
ドイツ的なふくよかなロマンを味わうには、もっと違うピアニストがいいだろう。

ジャケットは、シューベルトと同時代に活躍したドイツロマン派の画家「ダーヴィド・フリードリ」の「雲海の上の旅人」。広大な景色を前に佇む紳士。実によろしい。
国内初LPは、緑の中にはにかむ若きポリーニの写真だった。
もう30年以上前か、心は過去に逍遥・・・・・。

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コメント

yokochanさん、こんばんは! 小湊鉄道懐かしいです。私も乗ったことはありません(爆)。ただ昨年吉田さんのブログを見て、旅情に惹かれたことを思い出しました。
さてご紹介の録音、LP初出はこの絵ではなかったのですね!私が初めて見たときは(もちろんLP)、既にポリーニではなく「雲海の上の旅人」でした。そのポリーニの姿、見てみたかったものです…。
ところで、グラモフォンのモノクロのカレンダー、今月はポリーニです。あまりにも老け込んだような気がします…10数年前に見た時はもっと若々しかったような気がしたのですが…自分も歳をとるわけですね(´▽`)

投稿: Niklaus Vogel | 2007年5月29日 (火) 00時22分

Niklaus Vogelさん、こんばんは。
私も吉田さんの旅を拝見してまして、思い出すように写真を撮りました。

確か、国内盤と外盤のジャケットが違ったような記憶があります。
HMVのHPを見てたら、DGオリジナルシリーズのカップリング替えで、ポリーニ写真、使われてました。
まだふさふさの髪でした。昨年の来日では、よぼよぼしてて見た目にやたら老けてしまってました。アバドの方が若く見えました。
でもピアノを引き出すと、別人になるところがスゴイところでした。
ありがとうございました。

投稿: yokochan | 2007年5月29日 (火) 00時33分

こんばんは。
なんだか見たことのある列車だなと思ったら、小湊鉄道なのですね。去年の夏休みに、この列車を乗りにゆきました。鉄マニア風のオジサンが最前列を陣取っていて、微笑ましいものがありました。五井駅のあさり弁当を買わなかったことが悔いに残り、そのために再度千葉をさすらいたいなあと思います。

最初のジャケットは顔のアップでしたっけ。でも、このジャケットのほうがセンスが良いように思います。

投稿: 吉田 | 2007年5月29日 (火) 22時07分

吉田さん、こんばんは。
貴記事を覚えておりました。一度乗ってみたい電車ですが、私がこれを撮ったのが夕刻だっためか、周辺は高校生だらけで極めて肩身が狭かったです。
五井には「あさり弁当」があるのですか?
千葉駅の以外や「とんかつ弁当」が美味いらしいですよ(毎日いながら食べたことなし!)

このジャケットは、ご指摘のとおりセンスいいですね。

投稿: yokochan | 2007年5月29日 (火) 23時26分

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