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2007年7月 8日 (日)

東京交響楽団演奏会 大友直人指揮

大友直人指揮の東京交響楽団演奏会を聴く。
@東京芸術劇場。
 
     エルガー       行進曲「威風堂々」第6番(日本初演)
    チャイコフスキー  ヴァイオリン協奏曲
                   Vn:ネマニャ・ラドゥロヴィッチ
    エルガー       交響曲第2番

Tso7_1 エルガーの第2交響曲がメイン、おまけに威風堂々行進曲第6番日本初演とあっては行かねばならぬ。
日曜日のコンサートとあって、ホールは満員。
チャイコフスキーの協奏曲を楽しみにいらした方も多いであろう。
エルガー狙いだった私は、ホールに着いて、チャイコフスキーをやることを知った。そんな天邪鬼の私。エルガーの間にチャイコフスキーかぁ?

でも、これがなかなかおもしろかった。
ユーゴスラビア出身のこのヴァイオリニスト、もじゃもじゃ長髪を振り乱し、体を大きく揺らしながらのパフォーマンス充分な演奏は、技巧ばかりでなく、甘く豊かな音色が美しい。
大友氏もアッチェランドを効かせまくり、熱い演奏となった。1楽章からブラボーが飛び交ったもんだ。
アンコールの無伴奏パルティータでは、なみなみとした美音が大きなホール一杯に響き渡った。

行進曲は、第3交響曲と同じく、アンソニー・ペインが補筆完成させたもので、2006年のプロムスで初演されたライブをネットで聴いたことがある。
一連の行進曲の延長としてまったく普通に聴ける。リズミカルな冒頭から、親しみやすいモティーフが登場するし、打楽器の効果的な活用もうれしい。
だが、それ以上の印象は残念ながら受けなかった。第3交響曲と同じく、何度か聴き込まないと味が出てこないかもしれない。尾高/札響の録音を楽しみに待とう。

休憩後、ラッキーなことに、前と隣りのお客さんがいなくなった。
見通しすっきり、膝の上もすっきりで、待望の交響曲に全霊を込めて集中できた。
全体的にまさに大友氏の手の内に入った、これまた見通しのいいすっきりした演奏。
プログラムの日本エルガー協会の水越氏の解説によると、大友氏と東響はこの第2交響曲を演奏するのが3度目、オケとしては5度目という。こりゃ、日本で一番だろうて!
ついでに、この水越氏の解説には感服。「エルガーが心の深層をさらけ出しているのは、第4楽章の最後の部分」という。おお、なるほどと、読んでて思わず席で声に出してしまった。
今まで漠然とそのフーガの素晴らしさや、エルガーの常套手段の冒頭旋律の回帰を手放しに感嘆するだけだった・・・・。

ここのポイントによく注意して聴いた大友氏の演奏。足を前に踏み出し熱の入った指揮ぶりで、楽器への指示もここへ来てさらに細やかに伺えた。
全曲の各モティーフが錯綜するように現れ、4楽章のメインの旋律に収斂されて行く場面では、思わず感動のあまり涙が出た。そして慈しむような大友氏の演奏は最後にやさしく懐かしい雰囲気のまま終結した。

もちろん、伸びやかな1楽章、実はここでも涙ちょちょぎれた第2楽章の哀歌、かっこいいエンディングがものの見事に決まって楽員もニヤリの第3楽章、それぞれに素晴らしかった。この曲の真髄がまた味わえ、かつ理解が深まった気がする。
やはり大友氏の英国物は信頼できる。
そして、もう一人、尾高忠明のエルガー2番も年内絶対に聴かなくちゃならん。

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コメント

やっぱり行かれたのですね。私も行きました。・・・そして水越さんや他の方たち8人くらいで飲んでました。なんて恐れ多い・・・ごめんなさいって感じです。

投稿: naoping | 2007年7月 8日 (日) 20時53分

こんばんは。やっぱり行きました。相当前からチケット入手して、てぐすね引いて待ってました。
nopingさんも、やっぱり行かれたんですな。そんな気がしてましたよ。
それにしても、恐れ多いけど、羨ましいじゃぁないですか!
いいコンサートでした。

投稿: yokochan | 2007年7月 8日 (日) 22時29分

 わたくしも会場に居合わせました。で、8分の1がわたくしでした。その間、店は…サボりました。

投稿: Cafe ELGAR 店主 | 2007年7月14日 (土) 18時28分

cafe ELGAR店主さま、こんにちは。
やっぱりいらしてたのですね。そんな気がしてました。
ちなみに、当日小さい声ですが、ブラボー一声しましたが、ワタシです。
いいコンサートでした。
京響デビューと、貴店訪問がもっぱらの課題であります!!

投稿: yokochan | 2007年7月14日 (土) 22時35分

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