ワーグナー 「パルシファル」 クナッパーツブッシュ指揮
今週出張した、福島県いわき市の寿司屋で食べた「鯖」のにぎり寿司。
私はひかりものが好きで、なかでも鯖が大好き。
夏場はちょっとコワイが、そんなことはお構いなしだ。この日の鯖は、あぶらも乗って濃厚ながら、身が充分にしまっていて、歯ごたえがコリコリするくらい。
鯖を食べたあと、地酒の燗酒を口に含めば、もう至福の瞬間!
寿司とは関係ないけれど、その鮮度がいまもって衰えることない「クナッパーツブッシュのパルシファル」
1951年、戦後始まった新バイロイトの看板演目は、「ヴィーラント・ワーグナー」演出の「パルシファル」。その演出はヴィーラントが1966年に亡くなって後も、弟子のペーター・レーマンやホッターらの監修で1973年まで続いたロングランだった。
そしてそのほとんどを文字通り死ぬまで振りぬいたのがクナッパーツブッシュだ。
クナ以外の指揮者でこの演出に登場したのは、K・ クラウス、クリュイタンス、ブーレーズ、シュタイン、ヨッフムらである。
このうち、ヴィーラントが存命中指名したのが、クラウス・クリュイタンス・ブーレーズ。
シュタイン・ヨッフムは、弟ウォルフガンクが監督を引継いでからの指名なので、兄弟の思いの違いが歴然としていて面白い。
ヴィーラントは、意識してラテンの明晰な透明感を求めたが、ウォルフガンクは伝統的なドイツの仕事上手のカペルマイスターにしっかりとした演奏を求めた。
そんな中で、どうしてクナッパーツブッシュがあそこまで永くパルシファルを振りつづけたのだろうか?単純な発想ながら、パルシファルの持つ深遠で崇高な一面をクナッパーツブッシュほど自在に、しかも即興性をもって表現できる指揮者はいなかったからだろうか。
まさに余人を持って代えがたしの世界。
時に重厚でありながら、意外なほどの軽やかさもクナの指揮にはある。
でもブーレーズが成し得たような伝統の打破にも近い快速でスリリングでなパルシファルとは遠い世界がここにはある。
もし天才的なヴィーラントが49歳なんかで亡くならなければ、演出の世界はまた違ったものになっていただろうし、ヴィーラント自身が求めたワーグナー指揮者としてアバドやムーティがバイロイトで活躍していただろう・・・・・。
アンフォルタス:トマス・ステュワート ティトゥレル:ハインツ・ハーゲナウ
グルネマンツ :ハンス・ホッター パルシファル:ジョン・ヴィッカース
クリングゾル :グスタフ・ナイトリンガー クンドリー :バーブロ・エリクソン
聖杯守護騎士:ヘルマン・ウィンクラー 〃 :ゲルト・ニーンシュテット
花の乙女 :アニヤ・シリヤほか アルトソロ :ルート・ヘッセ
ハンス・クナッパーツブッシュ指揮 バイロイト祝祭管弦楽団/合唱団
(ウィルヘルム・ピッツ合唱指揮)
1964年バイロイト音楽祭
クナの指揮したパルシファルはそのほとんどが聴くことができる。
正規録音の51年、62年を始めとして、58年、60年そしてこの64年と5種類を聴いている。64年は、翌年に亡くなってしまうため最後のパルシファルだ。
前奏曲からしてもう独特のオーラが立ち込めるかのような神聖な雰囲気に包まれている。
全曲に渡ってゆったりとしたテンポは相変わらずだが、少しも弛緩せず叙事的な語り口でじっくり説き伏せられてしまう。
私は呪縛されたかのように、酷暑のなか4時間半を過ごしてしまった。
歌手陣も当時の新旧取混ぜた配役が豪華なものだ。
ホッターのぼそぼそ声ながら味わい深いグルネマンツ、若き苦悩をさらけ出すステュワートのアンフォルタスは立派すぎるくらい、ナイトリンガーのクリングゾルは、これぞザ・クリングゾル!これくらいしか録音のないエリクソンのクンドリーもなかなかよろしい。
そして、この配役のなかでの目玉は、ヴィッカースのパルシファルが聴けること。
先般のドン・ホセは異質だったが、このパルシファルは声のハリといい、スピントした時の力強さといい、素晴らしい。クセのあるダミ声も気にならない。気迫の声の勝利なんだ。
録音はお世辞にもよろしくはないが、貴重な記録として重宝している「パルシファル」のひとつ。
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コメント
うわぁ〜〜美味しそう・・
私もひかりものが大好きです^^!
投稿: edc | 2007年7月28日 (土) 22時10分
おいしそうでしょ!!
実際たまらなく美味でした。
お刺身も食べました。
ついでにホッキ貝もこの地区は名産で、そちらにも唸りました。
投稿: yokochan | 2007年7月29日 (日) 11時48分
こんにちは(会社からしつれい)
鯖はさすがにウチでも刺身にはできません、コワイから。おいしそうですね、鯖。鯖はダイエットにいいんですよ(たくさん食べたら逆効果ですが)。クナもよいですが、ぜひクーベリックのパルシファルも聴いてくださいね。
投稿: naoping | 2007年7月31日 (火) 13時44分
会社からのリスクを踏みながらのコメントありがとうございます。
私は大阪のホテルからです。
鯖は怖いですが、ほんま美味い。しめ鯖のピリピリしたのも好きです。
クーべりック盤は聴かなきゃならないトラウマ状態のCDになりつつあります。
追)京都のカフェ・エルガーに行って来ましたよ!素晴らしい!!
店主と楽しい時間を過ごすことができました。
帰京次第、記事にしまっせ。
投稿: yokochan | 2007年8月 1日 (水) 01時12分