ワーグナー オペラ管弦楽曲 バレンボイム指揮
またまた「うなぎ」
名古屋で「一人ひつまぶし」→「一人ひまつぶし」(じゃなくて)をした翌日は、岐阜へ赴き、商談を済ませると、先方さんが「お昼行こうか、なにがいい?(岐阜風に)」とおっしゃるので、何でも結構です、と答えたら、うなぎ屋さんに連れていかれてしまった。
う~む。晩にうなぎ、翌昼にうなぎ、というのは生涯初の試みだけあって、鼻血ブゥ~にならないか、とても心配だった。
がしかし、そんな思いとは裏腹に、その絶品具合に降参。
いやはやウマイのなんの。浜松あたりの混在を境に、うなぎはよく言われるように、東は背開きで蒸しを入れる。西は腹開きで有頭でそのまま焼く。
ほろほろで柔らかく濃厚な東に比べ、西は少し固めだけど、香ばしくもさっぱりとしている。
岐阜で江戸時代から続く「ニ文字屋」にて。
おかげで、スタミナ満載、元気に夜は松阪で3軒呑みまくり、そして翌日死んだようになった。
今日も、若きバレンボイム君を。
しかもお得意のワーグナーの出発点となった1枚。
フルトヴェングラーを私淑するバレンボイムだけに、ワーグナー、それも「トリスタン」を指揮することは大きな願望であったろう。
1981年、39歳の若さで、バイロイトで「トリスタン」を指揮したのがその始まり。
以来、「パルシファル」「リング」「マイスタージンガー」を指揮し、バイロイトの重鎮となった。
ピアニストのバレンボイムが、モーツァルトの弾き語りをしていた頃、誰がそんなことを予測できたろうか?
今では、ワーグナーの主要作品を録音してしまい、伝統あるベルリンで、繰返し指揮し続けている。
なかでも、「トリスタン」は最も得意とするところで、ポネルの美しい演出のDVD版、ミューラーの閉所的な演出のNHK放送版に続き、クプッハー演出の最も新しい「バレンボイムのトリスタン」がもうじき体験できる。
「トリスタンとイゾルデ」 前奏曲と愛の死、第3幕前奏曲
「さまよえるオランダ人」 序曲
「ニュルンベルクのマイスタージンガー」 前奏曲
「ラ・クルティユからの帰り道」
※レコードには入っていたが、CDではカットされ、ワルキューレの騎行が!
ダニエル・バレンボイム指揮 パリ管弦楽団
82年、バイロイトデビュー後の録音。当時の手兵「パリ管」がここでは決め手!
でも、パリ管でありながら、華やかな要素はまったくなく、堂々とした落ち着きが憎らしいくらいだ。テンポもゆったりとしていて、マイスタージンガーなど最長のブーレーズにも匹敵するくらい。トリスタンでは、弦もたっぷり弾かせていて、なかなか濃厚な響きが聴かれる。
劇場経験を積んで、後年はもっと密度が濃くなり、テンポも上がっていくが、多分に大先達を意識した演奏は、なかなかに面白い。
そして、パリ管が自分達の音色を時おりチラチラと響かせているのも楽しい。
特に木管やホルンは、フランスのそれを意識させる。
この頃のバレンボイムは、いいんだか、悪いんだかわからず掴み所がなくて、かえって面白い。ことにオケがシカゴやパリや、ロンドンだったりするので、オケ好きには違った興味もわいて楽しい。
「モーゼ」と「トリスタン」は再来週。楽しみでならない。
ワーグナーの話題ふたつ。
11月のドレスデンの来日公演、ファビオ・ルイージが「タンホイザー」を降り、「ばらの騎士」にまわり、準・メルクルとエトヴェシュが「タンホイザー」を。
あらら、がっくり・・・。私のタンホイザーは、エトヴェシュ。あちらでは大活躍のオペラ指揮者で、いい機会かも。でも、速攻で、「ばらの騎士」を買い求めた。また散財、トホホ・・・。
来年のバイロイトの新演出は、「パルシファル」で、ヘールハイムの演出、ダニエル・ガッティの指揮。これで、くそシュルゲンジーフは葬り去られることに。
ガッティの活躍も目を見張る。
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コメント
このレコードは、ワーグナーがフランスのオーケストラが演奏するというので話題になったものでした。
懐かしいです。
パリ管が立派なワーグナーを聴かせます。堂々たるもんです。
これがフランスのオケかいな、と思ったものでした。
パリ管からワーグナーの音を引き出すバレンボイムこそ、おそるべし。
投稿: mozart1889 | 2007年10月 7日 (日) 09時54分
mozart1889さん、こちらでもありがとうございます。
フランス人は歴史的にもワーグナー好きですが、フランスのオケによる録音は、かつてのクリュイタンス以来の1枚でしたね。
オケがフランス、指揮者が多国籍、レーベルがドイツと複雑な組み合わせで、これまた音楽の楽しみです。
パリ時代のバレンボイムもよかったです。
投稿: yokochan | 2007年10月 7日 (日) 12時32分
yokochanさん こんばんは。
先日、自分の記事にもちょこっとバレンボイムとパリ管について書きました。今来日してるんですね。公演のチラシ見た時は「トリスタン」は外せないな・・・と思ったものですがちょっと無理でした。
このCDも持ってるので、早速取り出して聴いてます。個人的には、バレンボイムはパリ時代が一番好きです。
投稿: HIROPON | 2007年10月 9日 (火) 00時45分
HIROPONさん、こんにちは。
来日中のバレンボイム、相変わらず精力的な演奏と集中力でなかなかのものらしいです。
小柄な体のどこにあんな力があるのでしょうか?
私もパリ管時代のものが好きです。同時期のDGのシカゴ録音も大好きです。
まだまだ大成していく音楽ですね。
投稿: yokochan | 2007年10月 9日 (火) 22時13分
今晩は。過去記事に書き込み失礼いたします。
バレンボイムのワーグナーは遅くて重くて苦手とか、
食わず嫌いとか言ってきた私めですが、今日、彼のワーグナーを見直す体験をいたしました。
83年のバイロイトのDVDを鑑賞したのです。
アマゾンで購入しました。
ポネルが演出して話題を呼んだあれです。
私が好きなベームの火噴き演奏とは全く違ったタイプの演奏ですが、押し出しの立派な堂々たるトリスタンですね。コロとかマイヤーとか当時バイロイトで活躍していた大歌手たちの歌唱にも魅了されました。
83年当時私はまだ小学生でした。
でもポネルの斬新な演出は当時から話題になっていたのを今でも覚えています。
高校時代にクラヲタ仲間の友人からこの上演のビデオを
見せてもらった時は、遅くて重たい!と音を上げてしまったものですが、最近は演奏の好みが変わってきたのかもしれません。ティーレマンも苦手ですが、そのうち好きになるかもしれません(笑)。
ブログ主様に質問です私の好きなメストはトリスタンを録音しているのでしょうか?また録音する予定はあるのでしょうか?
投稿: 越後のオックス | 2010年8月28日 (土) 00時31分
越後のオックスさん、こんばんは。
バレンボイムのトリスタンは映像で3種ありますね。
こんだけ、トリスタンに入れ込んでる指揮者もないと思うのですが、その分演奏の精度やのめり込みぶりが、回を追うごとに変わってきております。
日本で上演した、クプファー演出のものは、文句のつけようのないすごいものでした。
トリスタンを暗譜で指揮するのは、このバレンボイムとアバドぐらいではないかと思います。
根っからのオペラ演出家のポネルは天才肌だったと思いますが、もっと長生きしてくれたら、演出界は違ったものになっていたかもしれません。
そして、ポネル版のトリスタンは、バレンボイムの、というよりは、ルネ・コロのトリスタンといったほうがよいかもしれません。
81年のプリミエの年はワタクシは新入社員でしたよ(笑)
W・メストには、まだトリスタンの音源・映像はありません。ウィーンですでに指揮してるはずですが。
投稿: yokochan | 2010年8月28日 (土) 23時53分