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2008年2月 2日 (土)

エルガー 交響曲第1番 バルビローリ指揮

London3 ロンドンの風景の代表といえば、これ。土産物の絵葉書だけど、そして色彩的にデフォルメされているけれど、とても気に入っている。

テムズ河に沿って、ビッグベンを据えた国会議事堂は、ちんまりした日本のそれとは比較にならないくらいに、壮麗で美しい。
さすがに、議会制度を導き出した英国である。

今年は、日英修好通商条約締結150周年で、「UK-JAPAN2008」という催しも行なわれ、われわれクラシック音楽ファンも、英国音楽を取上げたコンサートにきっと多く行くことになろう。
すみだトリフォニーホールでは、ブリテンの戦争レクイエムが、3月に2度も違う団体によって演奏される。まずは、アルミンクと新日フィルのチケットを購入した次第。
もう一方の、群響は考え中・・・・。

Barbirolli_elgar1 エルガー(1857~1934)は、去年が生誕150周年だった。
演奏会もエルガーが取上げられることが多かったが、ブームになるほどのことはなく、残念だった、というか、安心した。
大友/京響の2曲の交響曲、尾高/読響の2番、これらは大いなる感銘をもたらしてくれた。
1年のうち、こんなにいくつもエルガーの交響曲が聴けるなんて、そうないことだし、英国音楽を愛する二人の指揮者の存在も頼もしかった。

エルガーがそのキャリアにしては、遅咲きの交響曲を完成させたのは、1908年。
それまで、威風堂々やエニグマ変奏曲や声楽作品などで、押しも押されぬ英国音楽界の大作曲家となっていたが、交響曲を熱望する声はさぞかし、プレッシャーであったろう。
マンチェスターで、ハンス・リヒターによって初演され、各地で絶賛され、まさに英国産の大交響曲としての地位を得ることになった。

初演100年の今年、東洋の島国にいながら、この曲を聴いて100年前の英国に思いを馳せるのも楽しいもの。
目をつぶれば、エドワード朝にあった栄光の国とそこに住むジェントルマンたちの、立居振る舞いが思い浮かぶかのようだ。

愛するこの交響曲、今日は久しぶりにサー・ジョン・バルビローリフィルハーモニア管の演奏を取り出してみた。
全曲にわたる循環主題(モットー)につけられた「ノビルメンテ~高貴に」という指示が、これほど似合う演奏は、このバルビローリとボールト、そしてB・トムソン、尾高をおいて他にないと思う。
全編にわたりゆったりとしたテンポで、時にいとおしむように、時に立ち止まり振り返るように、そして決然と立ち行くように、まさにバルビローリ渾身の指揮は、私を惹き付けてやまない。
毎度のことながら、冒頭のモットー旋律がじわじわと盛り上がっていくところからしてジーンとしてしまう。
2楽章の荒れ狂う金管の旋律のあとの、涼やかな一風のそよぎのような雰囲気もいい。
そして、アタッカで静かに突入し、繊細かつ熱い思いに満ちた美しい3楽章こそ、サー・ジョンの演奏の核心部分に思う。憂いを含んだ旋律を愛情こめて奏でるさまは、息を飲むほど素晴らしい。そして、静かにこだまし、明滅するホルンに伴なわれて消えゆく音楽・・・・。
終楽章のエンディングで、モツトー主題が、力強くあらわれ、私を感動の坩堝へといざなってしまう。
名曲名演奏なり!
1962年、初演後54年、いまから46年前の録音。

※これまで、とりあげたエルガーの1番の記事

 大友直人/京都市交響楽団 演奏会
 尾高忠明/BBCウェールズ響
 ノリントン/シュトットガルト放送響
 プリッチャード/BBC交響楽団

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コメント

こんばんは。TBさせていただきました(エコバッグではなくて。←うちにもきましたけど)。
色々聴いたわけじゃないんですが、この曲はやっぱりバルビローリかと。ジャケットの写真もシブイであります。
そういえば、他の方のブログで知ったのですが、バルビローリ夫人が97歳のご高齢で最近お亡くなりになられたとか。合掌です。

投稿: naoping | 2008年2月 4日 (月) 23時17分

naopingさん、こんばんは。
TBありがとうございます。そう、エコバック来てますな。
一体なんなんだろ?
今回、ボールトかマリナーかで、悩んだあげく、ジャケットからバルビローリにしました。
良き時代の演奏でもありますね。

夫人は長命だったんですね。オーボエ奏者の方ですよね。
わたくしも合掌です。

投稿: yokochan | 2008年2月 5日 (火) 00時48分

こちらにもこんにちは♪(笑)

yokochan さんはエルガーが結構お好きなんですね~。  KiKi にとってはエルガーってホント一部の曲以外は長らくさほど親しくはなかったのですが、この交響曲第1番はそれでも比較的聴いた回数が多い方かな(笑)

>「ノビルメンテ~高貴に」という指示が、これほど似合う演奏は、このバルビローリとボールト、そしてB・トムソン、尾高をおいて他にないと思う。
後者2名は実は聴いたことがないんですけど、バルビローリは絶品だと KiKi も大賛成!  今度機会があれば yokochan さんご推奨のトムソン & 尾高にもチャレンジしてみたいと思います。    

投稿: KiKi | 2009年12月25日 (金) 11時43分

kikiさん、こんにちは。
こちらにもどうもありがとうございます。

エルガー、しいては英国音楽が大好きなワタクシです。
その中でも、この交響曲は心の底から大好きな作品であります。幣blogでも何度も登場してますし(笑)

のびる麺は、おいしくないですが、高貴な音楽に演奏、「英国はおいしい」です!

トムソンと尾高さんの演奏、是非聴いてみてください。

投稿: yokochan | 2009年12月25日 (金) 13時17分

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