プロコフィエフ 「アレクサンドル・ネフスキー」 アバド指揮
昨日は、関東でも終日雪で、私の住む千葉でも10cmは積もったろうか。
子供は、朝からテンションが上がりっぱなし。
雪に慣れた地域の方からすれば、なんのことはないと思われるだろうが、ちょっとの雪で道路や鉄道は止まってしまうし、ケガ人も続出。
この画像は、数年前の1月に訪れた根室の「納沙布岬」。
日本最東端の地からは、北方領土も真近に見えるはずだったが、ご覧の吹雪状態。
これ、ワタシです。ゆえあって、アライグマの恰好をしております。
道内の方と一緒だったが、その方もせっかく来たのだから行きましょうと、吹き荒れる岬に向かった。途中、車が雪にハマってしまい、地元の方に助けられたりもした。
その方からは、「バカなことすんでねぇ」なんて怒られたけれど、我々は決行してしまった。
灯台に近づくほど、雪はない、というか強風で雪が飛ばされてしまっているのだ。
風と氷の世界に、身も凍る思いだった!
氷の世界、といえば、この音楽も。
プロコフィエフ(1891~1953)の「アレクサンドル・ネフスキー」。
この中に、「氷の上での戦い」が描かれている。
この音楽のクライマックスでもあるが、氷のツルツルとした雰囲気も音楽でかもし出されているし、戦いの凄まじさもクレッシェンドしてゆき、やがて大音響となる様子で描きだされている。
映画への付随音楽、いわゆるサウンド・トラック音楽に熱をいれていたプロコフィエフが、「戦艦ポチョムキン」で有名なエイゼンシュタインの依頼で、この「アレクサンドル・ネフスキー」の映画に音楽を付けることとなった。1938年のこと。
プロコフィエフは、この音楽から7編を抜き出し、カンタータ形式の声楽作品にしたてあげたのが、この曲。
13世紀、ゲルマン騎士団の侵攻をくい止め、撃破したアレクサンドル・ネフスキーを描いた映画を一度、この音楽とともに観てみたいものだ。
プロコフィエフの音楽は、ドラマテックであるとともに、国を蹂躙されて苦しむロシアの民を深刻に描いたり、戦士を悼んだ独唱が入ったり、最後は賛歌ありと、なかなかヴァラエティー豊かで楽しめる。
ロシア音楽を好むアバドは、とりわけムソルグスキーとプロコフィエフが得意だ。
ムーティやシャイーもプロコ好きだから、イタリア人はプロコがお好きなのか。
リズムとモダニズム感が、共感を呼ぶのであろうか。
アバドは、圧力に苦しむ民衆の声を描いた部分と、その解放の喜びに大きな共感をよせて指揮しているようだ。
強弱の幅が、めちゃくちゃ広くて、どんな大きな音でも、細部がよく聴こえる。
オブラスツォワの歌う哀歌、彼女の歌も素晴らしいけれど、オケの美しさも特質すべき。
アバドとロンドン響の名盤のひとつは、録音も目覚しくよい。
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コメント
こんにちは。
昨年秋にプロコフィエフに目覚めました。まずは交響曲から聞き始めています。
管弦楽曲もいろいろあるようですね。ブログを拝見して「アレクサンドル・ネフスキー」に興味がわきました。インプットしておきます。
投稿: よんちゃん | 2008年2月 5日 (火) 11時34分
こんにちは。
この盤は故長岡鉄男氏が「外盤A級セレクション」でその録音を「壮絶な録音で、まさに大画面を見る感じ・・・」と絶賛していました。
当時、石丸に買いに行ったのですが売れきれ。以来縁がなく未だに聴いていません。
こちらを拝見して思い出しました。
ゲットしましょう。
投稿: 天ぬき | 2008年2月 5日 (火) 15時58分
よんちゃんさま、こんばんは。
プロコフィエフの交響曲連続聴き、拝見してます。
小沢とベルリンフィルの演奏はうまいものですね。
私も小沢全集を聴いてます。あとプレヴィンにアバドの3番ですが、なかなかプロコフィエフの全容解明には至りません。
このカンタータは、表題音楽ですので、非常にわかりやすく、迫力も満点であります。
アバドとともに、新旧プレヴィンやムーティもあったと思います。是非お聞きください。
投稿: yokochan | 2008年2月 6日 (水) 22時38分
天ぬきさま、こんばんは。
長岡鉄男さん、懐かしいですね。あの風貌とこだわりの世界。
スピーカー製作を何度も思いたってしまいました(笑)
氏の言われたとうりの音が眼前に展開するこの1枚です。
DGのオリジナルシリーズで復活してますので、是非ご確認ください。
ついでに、シカゴ響との「キージェ中尉」も凄まじい演奏に録音であります。大太鼓が腹に響きます!
投稿: yokochan | 2008年2月 6日 (水) 22時50分
こんばんは。
今日は遠距離営業で、自家用車での帰宅の車中(いつもは湘南電車通勤)、爆演堂さんからゲットしたばかりの91年のBPOとのチャイコフスキーの4番とプロコフィエフのP協&キージェ中尉を大音響で聴いていました。
チャイコフスキーも凄かったですが、プロコフィエフの2曲は「おおっ!さすが」と声を発してしまう名演でした。
常日頃アバド先生のロシアものを偏愛している私ですが、このアレクサンドル・ネフスキー&キージェ中尉でプロコフィエフに目覚めたのを懐かしく思い出しました。
本当にアバド先生は私にとって広大なる音楽の海への水先案内人であり、青春(ああ、懐かしき言葉!)そのものでございました。
BPOとの「ロメ&ジュリ」で、先生のプロコフィエフはついに頂点を極めたか!と感じましたが、yokochanさんはいかが感じられましたでしょうか?
投稿: lilla | 2010年5月11日 (火) 01時34分
lillaさん、おはようございます。
お聴きになったベルリンフィルライブは、FM放送をカセットテープに録音し、自家製CDRにしてありますが、まだろくに聴いてません(汗)
持ってないと不安だし、気がすまないというファンの性でございますね〜
アバドのロシアものは、相性からいっても、プロコフィエフが一番かと!
そう思うわたくしにとって、こちらのネフスキーとアルゲリッチやミンツとの協奏曲、そして新旧ロメジュリは最高の演奏に思います。
ロメジュリは、ネタとして温存中なんですよ(笑)
投稿: yokochan | 2010年5月11日 (火) 08時05分