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2008年3月12日 (水)

シェーンベルク 「清められた夜」 サロネン指揮

Koriyama 今日はまた寒風が吹いて、春も足踏み状態。

福島の郡山を拠点に、会津と福島市方面に出張。
一昨日の郡山の晩は寒かった。
以前なんども訪れた店がなくなってしまい、よさげな店を探してさまよい歩く。
「馬刺し」と熱燗がうれしい。
会津若松に泊まればよかったな。

夜の空気が甘く感じるこの時期、帰宅を急ぐ住宅街に、沈丁花の香りがただよっている。

Schonberg_verklate_nacht_salonen_2 そんな時、聴きたくなる音楽が、シェーンベルクの「清められた夜」~浄夜
1899年の作曲。
ドイツ世紀末の詩人、リヒャルト・デーメルの詩「女と世界」のなかの同名の詩に触発されて書かれた弦楽六重奏曲が原曲で、シェーンベルク自身による弦楽合奏版の編曲の方が演奏機会が多い。

メータの新盤をすでに取上げたことがあるけれど、
今の季節だからこそ、また取上げたい。
作曲当時、その詩があまりに官能的で、音楽もそれにも増していて、賛否両論だったらしい。当時の評論で「トリスタンとイゾルデの楽譜を、まだ乾かないうちにこすってしまったような音楽」と批判された。
この言葉が、まさにこのシェーンベルクの甘味かつロマンテックな音楽の素晴らしさを物語っているように思う。

   男と女が寒々とした林の中を歩んでいる。
  月がその歩みにつきそい、二人を見下ろしている。
  月は高い樫の木の梢のうえにかかっている・・・・・。

実は、この場面。数年前、アバドが日本で上演した「トリスタンとイゾルデ」の第2幕の舞台がまるで、この浄夜の一場面を思わせるような設定だった。
長大な二重唱が、殺伐とした潅木の繁る林の中で歌われる。二人は離れたままで、結ばれることもないように思われた、グリューバーの演出。

トリスタンを振る指揮者は、意外やアバドを例外として、浄夜を得意にしている。
カラヤン、メータ、バレンボイムそして、サロネンも。
パリのトリスタンは、サロネンの指揮だったが、今夏の来日公演はビシュコフで残念。
ストックホルム室内管を指揮したこのCD。
いかにもサロネンらしく、クールで精緻。青白いロマンティシズムが立ち込めている。
怜悧さが勝っていて、もう少し官能の色香が欲しいくらいだけれど、厚化粧のカラヤンなどに比べたら若い男女のあっさりした関係の方が気が楽というものだ。

Banadai_2 会津、磐梯山を東側から望む。
気温の上昇で、雪が融けて蒸気が立ち昇っている。
途中、ものすごい霧が出て、見通しが悪かった。

ここで、一句

「雪融けて 霧を見わたす 会津かな」

お粗末・・・・・。

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