R・シュトラウス 「ティルオイレンシュピーゲルの愉快ないたずら」 マリナー指揮
酒場の路地をさまよっていたら、どこからかネコの鳴き声がする。
さがしてみると、頭上、二階の屋根からこちらを見下ろしているじゃない。
フラッシュを炊いてパチリと撮ると、ご覧のようなまさに猫目(赤目?)。
結構笑える1枚になりましたよ。
R・シュトラウス・シリーズ、今日はあまりにも有名な「ティルオイレンシュピーゲルの愉快ないたずら」を。
「ドン・ファン」「マクベス」「死と変容」に続く4作目の交響詩で、1895年の作。
オペラの分野では、まだ第1作の「グンドラム」を仕上げたばかりの31歳。
早熟なシュトラウスは、もうこの若さで、オーケストレーションの魔術師のような熟達ぶりだ。
副題は「昔のならず者の物語によるロンド形式の大オーケストラのための・・・・」となっている。
馬にのって暴れ、市場に飛び込んだり、小便を引っ掛けたり、女性をナンパしたりと、やりたい放題のティルは、最後死刑台の露と消える・・・。15分あまりの曲に、こうした出来事が音としてリアルに表現されている。
オーケストラ・ピースの1曲に過ぎない評価を与えられかねないが、じっくり聴くとオケは難しいことをいろいろとやっているし、精緻で細やかに書かれた名作に思える。
サー・ネヴィル・マリナーのR・シュトラウスなんて聴いているのは、私ぐらいかしらん。
イメージがそぐわないからかもしれないが、どうしてどうして、かなり本格的な名演なのだ。
というか、語り上手でもないし、濃厚なロマンもないし、華やかさもないのだけれど、スッキリと整然としたシュトラウスは、これらを聞き古した耳には、とても新鮮に響く。
かつて手兵であった、シュトットガルト放送響がまたスリムで機能的。
味のありすぎる演奏に飽きたら、こうした何気ない演奏で耳を掃除するのもいいもんだ。
この「ティル」や「ドン・ファン」もいいが、「カプリッチョ」前奏曲や「ばらの騎士」組曲がまた実によろしい。涙がでるほど粋な演奏。
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