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2008年5月11日 (日)

神奈川フィルハーモニー演奏会 シュナイト指揮

Schneidt_schuman2ハンス・マルティン・シュナイト指揮神奈川フィルハーモニーによる「シュナイト音楽堂シリーズ
今シーズンはシューマン・シリーズで、前回はかわいいプティボンと重なり聴けなかったもの。
このコンビのドイツものは、必聴ゆえ、午前中仕事をこなし、万全を期して横浜へ。
生憎の雨と、ど渋いプログラムもあって、今日の県立音楽堂は約7割の入り。
めったに演奏会では聴けない二つの円熟ロマン派音楽なのに、もったいない!

  ブラームス   セレナード第2番 イ長調
  シューマン    交響曲第2番 ハ長調

 ハンス=マルティン・シュナイト指揮 神奈川フィルハーモニー管弦楽団
   (5月10日 神奈川県立音楽堂)


Schneidt_schuman ビオラ、チェロ、コントラバス、木管、ホルンというユニークな編成によるブラームスのセレナードは、若書きとはいえ、どこをとっても我々が思い描くブラームスの音世界。
その楽器編成ゆえ、音楽は普通に喋る人声のようで、声高なところがいっさいなく、極めて落ち着き、かつマイルドなものである。
ゆったりとしたテンポをとったシュナイト師の指揮は、ほのぼのとした響きと深い呼吸を神奈フィル・メンバーから導き出していて、聴いていてほんとに気持ちがのびのびとしてゆく思いだった。ビオラのアンサンブルにやや難ありながら、木管がカバーしていたし、細かなことを気にせず、大らかな気分で楽しめた。
田園風景を彷彿さえるかのような1楽章と、ピッコロの活躍する終楽章がとりわけ楽しい。

休憩後は、シューマン。
同じ2番の洒落たプログラム、のどかなブラームスのセレナードに比べ、何と晦渋で渋い趣きを持つことか。出だしの序奏の部分でそう痛感した。
日頃聴いているCDでも、2番はいずれもそういう、くすんだ印象が先行する曲だ。
 ところが、この日のシュナイト&神奈フィルは、主部が始まると、それはそれは活気と推進力に満ちたもので、音はきらめきすら感じてしまった。テンポも心持ち速めでノリが良い。
前半降り番で、張り切るコンマスの石田氏の大きなアクションが、弦を中心に全体を引っ張っていて、どうやらそのあたりに要因がありそうだ。
そこに、シュナイト師の南ドイツ気質が混ぜ合わされ、稀なるシューマン演奏となってゆくのだ。
2楽章のユニークなスケルツォも同様に、一気呵成。最後の音が鳴り終わって、その響きが緊張感とともにホールに「こだま」したものだ。
そして、美しかったのが3楽章。よくよく聴けば、同じ単純な旋律が各楽器で橋渡しされているだけだが、どうしてこんなに美しいのだろうか。シューマンの歌に対する天性の素晴らしさにちょっと感心。そんな場面をここでは、じっくりとしたテンポを設定し、実によく歌っていた。楽章が始まる前の、アウフタクトで、シュナイト師は「歌うように」との指示を指揮棒を置いた右手で出していたのが印象的。ヴァイオリンがともかく美しい。
そして、終楽章で今日のシューマンはものの見事に決まった!
明るく決然とした響きに強力なカンタービレ、今まで聴いていた2番は一体なんだったのだろうか、とドキドキしつつティンパニ(見事だった)の連打による大団円を迎えることとなった。ホールは、4楽章では、熱気につつまれそこここで、体を揺らす人、指で拍子を取る人などが見受けられた。ご一緒したyurikamomeさんのお話では、涙をぬぐうご婦人もいらっしゃったとか!

盛大な拍手とブラボー。シュナイトさんも楽員も満足で上機嫌の面持ち。
シューマンの新たな面を垣間見させてくれた、素晴らしいコンサート。
至福の土曜の午後であった。

その至福は、アフターコンサートでの歌声聞こえる居酒屋「一の蔵」での楽しい語らいで倍増されました。先生、yurikamomeさん、どうもお世話さまでした。

毎度ながら、ちょっと飲み過ぎ。でもいいお酒だから、今朝も快調。
早く起床し、仕事で狭山・川越まで車で高速を飛ばして、ただ今帰還。
シューマンの響きが頭をかけめぐりつつ、ちょうどよいドライブになった。


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コメント

昨日はどうもありがとうございました。
私も昨日の良いお酒は身体に良かったようで、今朝から私も快調な仕事ぶりでした。ただあんまり進んでいませんが…(悲)。
シューマンはもうただただ感動!あんなことが起こるとは想定外で全くやられてしまいました。シュトラウスの4つの最後の歌以来の奇跡のような名演でしたね。
今のシュナイトと神奈川フィルを聴かないなんて…。
7分の入りの音楽堂は曲の渋さにああいう結果となったのかもわかりませんが、そうだったら、もったいないとしか言いようがありませんねぇ。
ああいう凄い演奏会の後は、お酒はどんなものでも天下一の銘酒となるに決まっていますねぇ。ホント良いコンサートでした!ご一緒させていただきありがとうございました!

投稿: Schweizer_Musik | 2008年5月11日 (日) 18時01分

schweizer先生、お世話になりました。
ホイリゲは怖いけれど、一の蔵は安全ですね。
とてもいいお酒でした。
それもこれも、素晴らしいコンサートのお陰であります。
そうですね、あのシュトラウスは絶美の世界でした。未完成・4つの最後・死と変容、最高に美しい組み合わせ。

次のブラームス3番とマティスがやたらに楽しみになってきました。またよろしくお願いいたします。

投稿: yokochan | 2008年5月11日 (日) 21時04分

昨日は本当にありがとうございました。
シューマンの認識が私は変わりました。
大好きなシューマンであんな事をやられると。。。。
もう一度聴きたいです。
そしてあんな演奏が3200円。。。。。
もう犯罪ですよね。
本当に感謝感謝でした。
今度は来週お目にかかれるのでしょうか?。
でもその次にあるブラームスとヒンデミットはもう本当に楽しみです。
どんなことになるのでしょうか。

投稿: yurikamome122 | 2008年5月11日 (日) 23時35分

yurikamomeさん、土曜日はどうもお世話になりました。
何度でも言ってしまいますが、ほんとうに素晴らしいシューマンでした。私も同じく認識を新たにせざるを得ない思いです。
それでもって、おかげさまで3200円ですから。
少しでも多くの方に聴いていただきたい素晴らしいコンビです。
録音が悪いとなると、ともかく生で聴かなくてはわかりませんね。いつもこうした機会を作っていただき、本当に感謝しております。
今週もよろしくお願いします。仕事もありますが、そんなものは調整中です(笑)

投稿: yokochan | 2008年5月12日 (月) 22時39分

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» 神奈川フィルのシューマンの交響曲第二番…名演だ [鎌倉スイス日記]
神奈川フィルのコンサートに行ってきた。今日はブラームスのセレナード第2番とシューマンの交響曲第2番というプログラムで、指揮はマルティン・シュナイト、コンサート・マスターは石田氏であった。 シューマンは絶賛に値する名演だった。あんな響き、アンサンブルがあり得るなんて、シューマンのスコアを見ていた私には想像出来なかった。シューマンのオーケストレーションが下手であるなどと絶対言わないし、シューマンに対して今までのオーケストレーションに関する私の発言を全て撤回し、彼のオーケストレーションが素晴らしいことを... [続きを読む]

受信: 2008年5月11日 (日) 19時58分

» 神奈川フィルハーモニー管弦楽団 シュナイト音楽堂シリーズVol.15 「シューマン・シリーズⅡ」 [yurikamomeの妄想的音楽鑑賞とお天気写真]
神奈川フィルハーモニー管弦楽団 シュナイト音楽堂シリーズVol.15 「シューマン・シリーズⅡ」 2008年05月10日(土) 15:00開演 神奈川県立音楽堂 指揮:  ハンス=マルティン・シュナイト ブラームス   セレナード第2番イ長調 ~休憩 15分~ シューマン   交響曲第2番ハ長調  あいにくのお天気のなか紅葉坂を上がる。まずはブラームスのセレナード。  正直申し上げて弦が、ヴィオラが辛かった。今日のトップは群響の池田さんかな?。毛頭池田さん... [続きを読む]

受信: 2008年5月11日 (日) 23時36分

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