フォーレ 組曲「ペレアスとメリザンド」 マリナー指揮
このタイトルを見たとたん、私がブログの方向をどちらへもって行こうか、おわかりになったことと思います。
それは、次にお話しするにして、こちらの画像は、数年前の夏に家族旅行で訪れた、秋田県の田沢湖のほとりに立つ、「たつこ姫」像。
私の住む千葉から、自家用車で盛岡経由、田沢湖、そして日本海を南下し、山形まで回った。
運転は嫌いじゃないものだから、ともかく走る。
どこまでも走る。へたすりゃ、北海道や九州まで行っちまう。
たつこ姫伝説は、美貌の娘が永遠の美しさを得ようとして、竜に変身してしまったという伝説。
湖は、コバルトブルーに輝き、深さによっては、エメラルドカラーにも見える。
とても神秘的な湖だった。
往生したのは、湖畔に車を止めていたら、蜂の群れが車を覆い尽くしてしまった!
私の車は、シルバーなんだけど、どうもそれに寄ってくるらしい。
そこのに乗り込むのは、まさにパニック状態。私は、田舎育ちだから平気だけれど、子供たちは恐怖のどん底。こんなことも、たまにはいいことじゃよ。 さて、音楽のはなし。
先週、ドビュッシーの幽玄なオペラを観たが、その原作、ベルギー生まれのメーテルリンクの「ペレアスとメリザンド」に触発された音楽は、いくつか残されている。
文学と音楽。切っても切り離せない分野で、数々の文学の名作に、歴代の作曲家たちが音楽をつけている。
その代表作は、シェイクスピアの「ロメオとジュリエット」と、ゲーテの「ファウスト」、そしてこの「ペレアス」ではなかろうか。
他にあったかしら?ありましたら、ご教授ください。
表題音楽が好きなワタクシに、そんなブログ企画もいいもんだ。
原作の劇作が初演されたのは、1898年。
その上演用の劇付随音楽として、前奏やいくつかの間奏を書いたのが、フォーレ(1845~1924)なのだ。
だから、メーテルリンクの原作に一番近いオリジナル音楽は、フォーレのこの作品なわけ。
この儚くも悲しい劇を観たドビュッシーがオペラを作曲したのが、その4年後の1902年。
当時、この劇がいかに芸術家たちの心を奪ったかが想像される。
フォーレは、オリジナルの音楽のなかから4曲をまとめあげ、組曲を作りあげた。
①前奏曲
②糸を紡ぐ女
③シシリエンヌ
④メリザンドの死
いずれも、フォーレらしい優しく、抒情に満ちた桂曲。
あまりにソフトフォーカスな音楽ではあるけれど、その雰囲気のよさは癒し系の音楽として、心にじわじわと染み入ってくる。
糸車の廻るような2曲目。あまりにも有名なシシリエンヌは一度聴いただけで忘れ得ぬ情感を湛えた音楽。そして、楚々と悲しみを歌い上げる終曲。
こうしたデリケートな音楽は、マリナーとアカデミーのさっぱりとした、エヴァーグリーン的な演奏こそ相応しい。
情にまさりすぎると、ツライ音楽だけに、このコンビにはうってつけの音楽に思う。
さて、次なる「ペレアス」は・・・・。
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コメント
こんにちは。
「ペレアスとメリザンド」はドビュッシーとフォーレの2人が作曲したものしか知りません。
ドビュッシーのオペラは微妙な音の色合いや陰翳をわずかながら感じますが、残念ながらそのよさを感じ取るところまではいっていません。
フォーレの組曲はわかりやすいといったら語弊がありますが。すっと耳に入り心を和ませてくれます。そしてフォーレ独特の美しさと気品がこの曲の魅力になっていると思います。
投稿: よんちゃん | 2008年7月 3日 (木) 10時09分
おばんです。
忘れちゃいけない、シェーンベルクの交響詩とシベリウスの劇音楽。シェーンベルクはドロドロの音楽だし、シベリウスの劇付随音楽は怜悧で悲劇的。ひとつの戯曲からいろいろな作曲家のインスピレーションに彩られた音楽が生まれたのには驚かされます。
投稿: IANIS | 2008年7月 3日 (木) 22時57分
よんちゃんさま、コメントありがとうございます。
ペレアスには、あと数作品ありますよ。それは、次回に。
ドビュッシーのオペラの魅力は、私もまだまだ理解できておりませんが、今回のセミ上演はとてもいい経験となりました。
そして、フォーレを聴くと慣れ親しんだ我が家のような安心感もありました。
同じ題材で、年代も同じ頃、音楽の世界は深いです。
投稿: yokochan | 2008年7月 3日 (木) 23時05分
IANISさん、まいどです。
いやぁ、ネタを先取りされちまいました(笑)
4人とも、全部違うし、それぞれの個性がしっかり満載ですから、原作もさることながら、作曲家ってのはたいしたもんだと痛感してます。
個人的には、ドビュッシーとシェーンベルクにシビレますな!
投稿: yokochan | 2008年7月 4日 (金) 00時07分