「国歌ファンタジー」 ヘルツォーク・エリカ
北京オリンピックが始まりましたな。
天邪鬼のわたしは、開会式も見なかった。今朝のニュースでちょろ見しただけ。
それにしてもゴージャスなもの。
国家の威信をかけ、その繁栄の本物ぶりを世界に発信するまたとない機会と捉えているのだろう。
スポーツの本質が二の次にならなくてはよいが・・・・。
考えてみたら、64年の東京オリンピックは日本国民が一団となって沸いた。就学前だった私もよく覚えている。外国に対する興味が増し、国旗や地図を必死に覚えたもんだ。
中国の方々が自国愛と世界から注目を浴びているという自負に酔って当然。
そして、このオリンピックを機に、もっと外国のことや民族のこと、その生活ぶりにも大いに関心を向けて欲しい。
日本は人々の生活や心はズタズタだ。自然災害や人災が茶飯事。
政治や生活への不満は、オリンピックやワールドカップのお祭騒ぎに一喜一憂して忘れ去ってしまう。これもどうかと思う。
選手の皆さんも気負わず、メダルへの悲壮感やプレッシャーもなく、虚心に頑張ってほしい。
な~んてこと言いながら、ワタクシは食い気。
世界の食べ物でやってみようと思ったけど、手持ちの中華料理の画像で編集してみました。よく見るとチープなものしか食べてないね。
音楽で聴く世界巡りは、ヘルツォーク・エリカさんの「国歌ファンタジー」を楽しもう。
ピアノのエリカさんについては、1枚目のアルバムと3枚目のアルバムの記事をご覧下さい。
オーソドックスなデビューアルバム以降は、ユニークなCDが出来上がった。
ことに、欧米作曲家の日本の印象を曲にした「日本の思ひ出」は、エリカさんの心を映し出した1枚で、とても気にいっている。
そしてその2枚目は、世界各国の国家を扱った作曲家たちの国歌アンソロジー集だった。
ジャケットも、お馴染みのエリカさんの下に万国旗が並ぶインターナショナルな雰囲気が横溢。
エリカさんをプロデュースして行くうえで、まずは時期的にも最善の2枚目。
かつてカラヤンが1972年にヨーロッパ讃歌というLPを録音し、世界の国家を本気で演奏した。本気かよ!という当時の思いとともに、天下のベルリンフィルを指揮してここまでやるんだ・・・という思いだった。
それは、普通に国家を大オーケストラで演奏したものと記憶する。そして、オケによる国家ということで言えば、このCDの解説で思い出したのだけれど、かつて外来オケの初日は「君が代」とその国の国家が二つ演奏されることが恒例だった。
カラヤンも例外でないし、ベームとウィーンフィルの実況放送でも、素晴らしい「君が代」が演奏されたもんだ。
そんな思いでこのCDを手にとるとかなり違う。
全19カ国の国歌を、有名無名の作曲家たちが編曲したりアレンジしたりしたものがたっぷりと収められ、さらに「オリンピック讃歌」とカラヤン編の「ヨーロッパ讃歌」まで収録の、まさにピアノによる「国歌ファンタジー」となっている。
エリカさんは、機を衒わず、しっかりと音楽的なピアノを聴かせてます。 ショパンのマズルカ風「ポーランド国歌」や、ベートーヴェンの「ゴッド・セイブ・ザ・キング」変奏曲、リストの「ラ・マルセイエーズ」、ラフマニノフの「星条旗」など、大作曲家たちによる、彼らのテイストが漂う曲や、あまり知られていない作曲家の手によるもの、さらに私には懐かしい「ウルトラセブン」の冬木氏による、中国と日本の国歌の幻想曲など・・・、とてもバラエティにとんでいる。
個人的に大好きなツェムリンスキーの「抒情交響曲」のエロイくらいの詩人タゴールによるインド国歌による少し怪しい雰囲気のインド国歌編もおもしろい。
多才なエリカさんならではの、楽しい1枚。
オリンピックはともかくとして、「日本の思ひ出」とともに、是非聴いて欲しい1枚でした。
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