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2008年8月20日 (水)

モーツァルト 交響曲第41番「ジュピター」 スゥイトナー指揮

Tanzawa2_2

今日は9時過ぎ、千葉方面はものすごい雷雨に見舞われ、自宅のある駅で足止め。
雷が近くに落ちて、駅も数回停電に。
エレベーターが停止するも、幸い怪我人はなし。
思いもしなかった自然の猛威が突然襲ってくる。地震もあったし・・・・。

盆休みに帰った実家。
車を秦野市に向かって走らせ、丹沢連峰を川伝いに悪路を登ると清流のある河原へ降りることができる。
ここ数年訪れていて、バーベキューを楽しむことにしている。
通常、川も数本に分かれて流れていて、深いところでは子供が泳げるくらいの水量があった。
しかし、今年は流れが一本しかない。
信じられないほどの水量だったのだ。
山に雨が少なく、平地に多い。
どーなってんだろ。
来年の夏もバーベキューをやりたいぞ。

Mozart4041_suitner 今日の名曲。実は今週のシリーズと化した。
モーツァルト交響曲第41番「ジュピター」は、かつての人気曲。
なんて書いちゃうと怒られそうだが、後期のほかの交響曲の方が今や演奏頻度は高いように思える。

ロマン派を見据えたような偉大な建築物のような威容を感じさせ、転調の多かったそれまでの天衣無為的な作風と異なり、ハ長の平明かつ壮大な交響曲となった。
モーツァルトらしくもあり、らしくもない。
あと少し長生きをしてくれたら、次にはどんな交響曲が生まれていただろうか。

オトマール・スウィトナーはインスブルック生まれのオーストリア人。そのスウィトナーが、故国ではあまり活躍せずに旧東ドイツで大きなポストを得て活躍したのは面白い。ドレスデンとベルリンの国立歌劇場の偉大なポストを歴任し、オペラ指揮者としてバイロイトを始めとする西側でも活躍した。
東ドイツの指揮者というレッテルを貼られてしまったスウィトナーが、商業的にも活路を開いたのは、N響の常連指揮者となり、日本での人気が高まったがゆえではなかろうか。
デンオンに録音したベルリンとの数々の名演奏と、その前の東ドイツレーベルへの質の高い録音。

強固なアンサンブルで克明な音色を刻んだ旧東ドイツ系のオケは、国際化の波にさらされずに昔風のドイツの響きを守り通した。
そこに、南の風を吹かせたのがスウィトナーではなかったろうか。
ドレスデンの持つ古風でまろやかな響きに、柔らかな音色を持ち込み、ベルリンの古武士のような、がっしりした固いサウンドに即興的ともいえるライブの感興を注入した。
それがスウィトナーの個性だったと思う。
ドイツ一辺倒のN響との相性が良かったのも頷ける話。

ドイツシャルプラッテンに録音したドレスデンとのモーツァルト・シリーズはいずれも、キビキビとしたスピード感と、たおやかで柔和な歌いまわし。
昨日のブロムシュテットのベートーヴェンと共通する中間色で染まられた音色の美しさ。
我々日本人は、N響やベルリンとのモーツァルトを散々聴く機会に恵まれたが、やはりドレスデンとのこれらの録音が最も幸せな音楽に感じる。

オケと指揮者の結びつきを考える時、N響も含めた3つとスウィトナーの関係は理想的なものと思う。ドイツ統一後、東側のオケが経済的な面も含め一時低迷したが、その後インターナショナル化してしまった。
スウィトナーは病に倒れたりしたこともあるが、活躍の場を失ってしまったのも旧東ドイツの国際化によるものとも思われる。
ベルリン辞任後、ボストン響に客演したもののまったく評価されず、日本しか変わらぬ高評価をしていなかったのも頷けるかもしれない。
私も多くの愛好家と同様、サヴァリッシュ・スウィトナー・シュタインの3人のN響名誉指揮者には、主としてワーグナーにおいて大変な恩恵を受けた。
シュタインは惜しくも物故してしまったが、引退したとはいえ、残る二人にはいつまでも元気でいて欲しい!!

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コメント

ああ、これも懐かしいLPです。
昭和57年、廉価盤化された発売直後に買いました。1,500円LPです。愛聴してきました。
爽快でスッキリ、緑の木陰にいるような気分になってくる名演奏と思います。
スウィトナーは東独で活躍した期間が長かったんですが、ドレスデン・シュターツカペレ、ベルリン・シュターツカペレ、いずれの演奏も素晴らしく僕は大好きです。モーツァルトの選集をはじめ、ベートーヴェン、シューベルト、ブラームスにシューマン・・・・スウィトナーの演奏は大好きです。

投稿: mozart1889 | 2008年8月21日 (木) 08時08分

これも懐かしいです。
何度も聴きました、それこそ何度も何度も。
39番から41番までがシャルプラッテンでその前はEMIのセラフィムシリーズの緑のジャケットで出ていて、後期六大交響曲が揃うわけでしたね。
でもこの演奏、個人的にはブロムシュテットがドレスデンで入れて私への役割は終わったようでした。
でも、もちろんこの演奏は魅力的であることには変わりありません。
私が歩んできたクラシックの道の道端に咲いた可憐な花のような1枚です。

投稿: yurikamome122 | 2008年8月21日 (木) 16時05分

yokochanさま こんばんは

スィトナーさんが。ボストンに客演しておられたことはまったく知りませんでした。
病気ではなく、色々と政治的なことで、パージをされたと聞いたことがあるのですが、どうなんでしょうか〜。

モツアルト、ベトベン、シュベルト、ヴァーグナーと素晴らしい演奏を残していますよね。ドレースデンとのモツアルト、ようやく入手したところです。

ベルリンのシュターツオーパーの公演を思いだしています〜。

ミ(`w´彡)

投稿: rudolf2006 | 2008年8月21日 (木) 21時51分

mazart1889さん、こちらにもTBとともにありがとうございます。
同じLPを私もそろえました。
あと、フルートとハープ協なども極めて美演でしたね。
>爽快でスッキリ、緑の木陰にいるような気分<
まさにそのとおりの演奏ですね!
N響はいい指揮者を呼んでくれたものと、感謝しなくてはなりません。私も、ドレスデンとベルリンの名演の数々、とても好きであります。

投稿: yokochan | 2008年8月22日 (金) 00時12分

yurikamomeさん、こちらにもコメントありがとうございます。私も、セラフィム盤とあわせて後期集を完成させました。
その緑のセラフィム盤、「プラハ」がとても素適な演奏だったですがCDは見当たらないのが残念です。
 お恥ずかしいことに、ブロムシュテット盤は未聴なのですが、>私が歩んできたクラシックの道の道端に咲いた可憐な花のような1枚<・・・、私も同じような思いをもってます。
最近モーツァルトを聴く機会が減少してますが、このスウィトナーの演奏は置き去りにできない何かがあります!

投稿: yokochan | 2008年8月22日 (金) 00時22分

rudolfさん、こんばんは。
雑誌で読んだ記憶があってボストンとのことはよく覚えてます。
ご指摘のとおり、政治の変化により一線を退いたことも事実だと存じます。その点したたかなマズアあたりとはかなり違います。
音楽のことしかできない不器用なスウィトナーらしいエピソードです。
私も、リンデンの来日公演を昨日のこととのように覚えてます。
N響の3巨頭はいずれも大好きな指揮者でした。

投稿: yokochan | 2008年8月22日 (金) 00時27分

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日曜日は時間が取れまして・・・・・。 LPなどを聴いておりました。 モーツァルトの交響曲第41番 ハ長調 K.551「ジュピター」。 オトマール・スウィトナー指揮ドレスデン・シュターツカペレの演奏。 1973年3月、ドレスデンのルカ教会での録音。独シャルプラッテンの原盤。 徳間音工のET1001。1,500円の廉価盤LP。 1982年7月に廉価盤化されて、いそいそと買い込んだことを思い出す。 古い話ですなぁ。昔懐かしいLPなのだが、今聴いても演奏は実に新鮮。 第1楽章の心... [続きを読む]

受信: 2008年8月21日 (木) 08時04分

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