ブリテン 「ビリー・バッド」 ヒコックス指揮
この世のなか、 死が横溢している。
敬愛する指揮者ヒコックスの死のショックは今ださめやらない。
どう考えても困ったことだ。
そして今日、インドのテロ事件。
あまりに不幸な犠牲者。
どこかで聞いた名前の方だった。
怪我をした、その上司の名前をセットにしてよくよく見たら、なんと、知人ではないか!
私がスピンアウトした会社ではあるが、亡くなった某氏は、私のそこの会社の名古屋支店時代に、配属されてきた彼だった。
人懐こくて、かわいい新人だった。あまり強くない酒もムリムリに飲ましていた悪い先輩だった。その顔も声も、思い出したとたんにありありと浮かんできた。
年末など、みな帰省するなか、名古屋駅で、彼は関西中国方面へ、私は関東方面へ、良いお年を、などと挨拶しつつ別れたことを、今更ながら覚えている。
その後、めでたく結婚したことも。
テロという卑劣な、意志の表現手段。いったいそいつらは無辜の生命を奪って何も思わないのだろうか。○○○の神の思し召しということなのだろうか!
許しがたい行為に悲しみよりは、怒りを感じる。
このくそったれやろう!
津田君、安らかに。遺族の方々には謹んでお悔やみもうしあげます・・・。
11月は、私にとって鬼門の月。
この数回、そんなことを書いてきました。
ここにいたって、もう完璧なまでに最悪の日々。
ヒコックス追悼で、彼のもうひとつのオペラ指揮者としての側面をじっくりと振り返りたかった。
連続して録音していた、ブリテンのオペラ。
初めて、作曲者以外に全曲を踏破するものと信じていたが、その突然の死により未完に終わってしまった。
これから徐々に集めて聴いて行こうと思ってもいた。
歌劇「ビリー・バッド」。
登場人物や群衆(水夫たち)が全員男。お約束の少年までが登場する。
こんなあまりに特殊で、いかにも「ブリテンしてる」オペラ。
ブリテンのオペラの中でも、変な色めがねを外して純粋音楽としてみた場合に、傑作中の傑作と呼べるのではないかと、このところ感じている。
ハーディングの新盤も聴いて、その思いは深くなった。
いつもような記事が今回は書けないし、CD2枚半の大作ゆえ、後日の記事ということでご容赦いただきたい。
純粋無垢で、正直かつ正義感に満ちた主人公と、彼の登場で、その存在を危うくされる上司。そのありさまを、理解していながら、真実から目を背けて、生き続けた船長。
人によっては、キリストの殉教と重ね合わせるし、事実ブリテンの意図もそこにあった。
ブリテン自身、K・ナガノ、ラニクルズ、ヒコックス、ハーディングと録音も多い。
ヒコックスの歌手陣の充実ぶり。
ラングリッジ、キーリンサイド、トムリンソン、オウピ、M・ベストなどなど、アングロサクソン系の名歌手をずらりと揃えた様は圧巻。
どこか冷めたハーディング盤に比べ、迫真の歌唱とオーケストラ演奏が眼前に展開される。
いずれ、ハーディング盤とともに、じっくり取り上げます。
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