ブリテン 「春の交響曲」 プレヴィン指揮
11月に入ったら寒さを体感するようになった。
頭冷やして足冷やさず。
「頭寒足熱」とは、ほんとよく言ったもので、足をこうして暖かくするだけで、体中ポカポカ。
コタツと一緒、寒い日などは、入ったら出られない。
四季おりおり、日本人の発想は素晴らしいもんだ。
歌入り交響曲シリーズもいよいよ先が見えてきた。
今を生きる我々の世代の音楽にバーンスタインあたりから入ってきた。
以前も書いたが、実は存在は把握できながら、音源が手に入らずにこちらで取上げられなかった曲がかなりある。日本人作曲家もいるし、ソ連やドイツ、アメリカ、フランスなど、多彩なものだ。
ブリテン(1913~1976)は、バーンスタインより5歳年長、ショスタコーヴィチより7歳年下。
この3人は、お互い交流があった点でも音楽史的におもしろい。
バーンスタインはいずれの作品もよく指揮していたが、同世代人のカラヤンは・・・・、と思うと面白いもんだ。
これら3人を今よく演奏する指揮者は、スラトキンにラトル、そしてプレヴィンの3人。
そのプレヴィンのロンドン響時代の名盤が、ブリテンの「春の交響曲」。
78年の録音で、イギリスの春の爆発的ともいえるうつろいを、わかりやすく明快なタッチで演奏している。
早熟なブリテン36歳、1949年のこの作品は、マーラーの大地の歌のような連作歌曲の集合体のような作品で、バリトンを除く独唱3人と混声合唱、少年合唱を伴なった作品。
大きく4部からなり、それぞれの部はいくつかの章に細分化されてはいるが、春の訪れという導入部的な1楽章、反戦の意を込めた緩除的な2楽章、スケルツォの3楽章、歓喜に沸くフィナーレの4楽章、という交響曲的な構成。
春にちなんだ英国の詩14編が、全12曲に散りばめられ、その作者は中世の作者不詳のものから、スペンサー、J・ミルトン、オーデン、W・ブレイクら高名な方々まで。
以前の記事と結びは同じになってしまうけれど、夏の到来による輝かしい季節への突入を最後に高らかに歌う。この場面はブリテンの才気爆発ともいえるもので、私は何度聴いても高鳴る胸を押さえきれない。かっこいいブリテンの音楽を体感していただきたいもの。
中世のカノン「夏は来たりぬ」が合唱や独唱によって歌われ、少年合唱がこだまのように入ってくる。次々に高まり行く高揚感。
そしてテノールが、ボーモント&フレッチャーの詩を語るようにして歌う。
神を称え、王国を称え、人々を称える。
その後、唐突なまでのトゥッティで曲を閉じる。
S:シーラ・アームストロング A:デイム・ジャネット・ベーカー
T:ロバート・ティアー
アンドレ・プレヴィン指揮 ロンドン交響楽団
ロンドン交響合唱団
合唱指揮:リチャード・ヒコックス
(78.6 ロンドン・キングスウェイホール)
完璧な独唱、ことにJ・ベーカーが素敵すぎ。
合唱指揮にヒコックスの名前が見られるのがうれしいね。
秋なのに、春です。
過去の記事
「ガーディナーの指揮」によるものはこちら
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コメント
歌入り交響曲シリーズは、とてもおもしろいですね。
わたしには知らない作曲家がほとんどですが、メンデルスゾーンの「讃歌」は合唱した経験があり、とても好きな曲です。こういう珍しい曲をどんどん歌うことができるといいなと思っています。
先日のスクリャービンの交響曲1番の歌詞ですが、合唱団から日本語訳をもらえましたのでご報告。すべて芸術はすばらしいと称える内容でした。
投稿: はざくら♪ | 2008年11月 7日 (金) 19時07分
はざくらさま、コメントありがとうございます。
何気に始めたシリーズでしたが、あるわあるわで、まだ終りません(笑)
「讃歌」も歌われたのですね。あの合唱は素晴らしいですよね!
まだまだ未開の曲がたくさんあります。
そいした出会いも音楽の楽しみでもありますね。
スクリャービンの歌詞は、やはりそういうことだったのですかぁ。ありがとうございます!
投稿: yokocahan | 2008年11月 8日 (土) 13時08分