ヴォーン・ウィリアムズ 「クリスマス・カンタータ」 ウィルコックス指揮
日本人にとってのクリスマスは、完全に浮ついたお祭りの一環となり果てているが、私はそれはそれで構わないと思っている。
商業的にも年末を控え、活性化がもたらされるし、美しく街が彩られ、それを見る人々の心が和めばいい。
そして、親たちは、愛する子供たちのことを考え必死にプレゼントを用意し、家族の待つ家にいそいそと帰宅する。
子供たちは、お正月に誕生日にクリスマスの三大イヴェントを心待ちにしているし。
こんな宗教感のないクリスマスでも、人を思う気持ちがあるから良しとしようと思う。
でもさすがに今年あたりの厳しい社会情勢には、自分も含めて安穏としていられない。
あらゆる人々に平和なクリスマスが訪れることを願ってやまない・・・・。
写真は、札幌の大通公園。
一昨年のものを引っ張りだしてきた。
イエスは、中東の出身だけれども、ツリーと雪、ファンタステックなムードがクリスマスに似合う。
賑やかな日本も街々も、明日になったら、もう何事もなかったようにクリスマスムードは一掃されてしまうのだな、これが・・・・・。
今年没後50年だったレイフ・ヴォーン・ウィリアムズ(RVW 1872~1958)
作曲家にしては長寿で86歳没。
1953年、大規模な声楽作品の最後のものともいえる「クリスマス・カンタータ」を作曲した。81歳というからその枯渇しない楽才と、初演も指揮した若さに驚き。
曲は、私の大好きな作曲家ハゥエルズに捧げられていて、全部で16の部分からなっている。
このカンタータのタイトルは、「Hodie(ホディエ)」が正式なもの(たぶん)で、そのhodieとは、「今日こそ」「今日ついに」といった、待望久しい意味での「今日」という意味。
第1曲めの、ラテン語のクリスマス典礼文の出だしがまさに「Hodie」である。
「今日キリストはお生まれになった。今日救い主はあらわれた・・・・」
このような出だしではあるが、あとの内容は、ルカ伝によるイエス誕生の場面や、ミルトンの詩などを交互に織り交ぜながら約1時間あまり、独唱と合唱によって進められてゆく。
邦訳がないので、詳細は想像するのみだが、クリスマス音楽のお約束「パストラル」もあって、全体に平穏かつ伸びやかな音楽である。
そのパストラルは、バリトンの独唱によるもので、ここではJ・シャーリー・クヮークの素敵な歌声が聴かれてうれしい。
長い音楽ではあるが、ここに聴かれるのは、まぎれもなくRVWのサウンドで、これまでの集大成のような音楽であろうか。
交響曲でたとえれば、南極交響曲のペンタトニック風の荒涼とした響きやクリスタルな雰囲気、田園交響曲の安らかな響き、海の輝かしい勝利に満ちた響きなどなど・・・・
このところ数回聴いているが、聴けば聴くほど味わいを増すスルメ系の音楽に思う。
今年が初挑戦だったので、これから毎年聴いていきたいクリスマス音楽。
最後の輝きに満ちた讃美には胸が熱くなってしまう!
Ms:ジャネット・ベイカー Br:ジョン・シャーリー=クヮーク
T :リチャード・ルイス
ディヴィット・ウィルコックス指揮 ロンドン交響楽団
バッハ合唱団/ウエストミンスター・アビー合唱団員
(65年 ロンドン)
素晴らしい英国歌手たちと、合唱の神様的なウィルコックスの指揮。申し分なし。
今年惜しくも亡くなってしまったヒコックスは、この曲を録音しなかったのだろうか。
いかにも、ヒコックス向きのRVWの「Hotie」である。
おまけ。
横浜みなとみらい、クィーンズスクエアのツリー。
みなとみらいホールの入り口近くでもあって、今年は何度か和ませていただきました。
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コメント
yokochanさん、おはようございます!
これがyokochanさんがご予定されていたRVWの曲なのですね!未聴ですが、「RVWの集大成のような曲」ということで、ぜひ聞いてみたいと思います!
今年はホントに英国楽界の巨星があいついで亡くなった年でもありました…。
投稿: Niklaus Vogel | 2008年12月26日 (金) 07時20分
niklaus vogelさん、こんばんは。
今宵は、酔って帰還したため、バイロイト放送もDVD留守録となりました。ちょっと残念です。
エアチェックは、こうした場面でも対応できるように、いろいろ手を打ちますし、酔った晩でも翌日を考えなくてはならずたいへんであります(笑)
私のRVWはこれでした。
今年のハンドリーとヒコックスの逝去は、まったくもってショックでした・・・・。
投稿: yokochan | 2008年12月27日 (土) 00時49分