神奈川フルハーモニー定期演奏会 現田茂夫指揮
神奈川フィルハーモニー管弦楽団第250回定期演奏会は、オール・アメリカ音楽。
バーンスタイン 「キャンディード」序曲
ガーシュイン ピアノ協奏曲ヘ調
Pf:小川典子
コープランド 交響曲第3番
現田茂夫 指揮 神奈川フィルハーモニー管弦楽団
(1.16@みなとみらいホール)
今の閉塞感がアメリカ発症の源ながら、そんな思いを吹き飛ばしてくれたような、気持ちよい爽快なコンサートだった。
そう、20日に迫ったオバマ新大統領の就任も意識させる、ナイスなタイミング。
まさに、アメリカ・ザ・ビューティフル
今回もこんな渋いプログラムながら、ホールはかなり埋まった。
最近人気の神奈川フィルである。
おまけに、今日は大物ソリストも登場だったし、それと何といっても、14年間続いた現田さんの、常任としての最後の定期公演というモニュメンタルな会でもありました。
コンサート前のプレトークに、終了後のお見送り、欠かさずに現田さんはこなしてきたという。
こうしたたゆまぬ積み重ねの成果が今の神奈川フィルの興隆をもたらしたのであろう。
独特のきれいな音色も、彼らコンビから生まれ出たものであろう。
私が、このオーケストラをこうして応援しだしたのは、まだほんの数年。
今更ながらに、もっと早く知っておくべきでございました。
さて、前置きはともかく。
5分の短編ながら、「キャンディード」序曲は、バーンスタインの才気がたくさん詰まったびっくり箱のような桂曲。
冒頭から、ノリが良く、メンバーもニッコリとほほ笑んだりしながら演奏している。
ゲストコンマスの大阪フィルの長原氏、どうしてどうしてオケを引っ張っていたし、他の曲でのソロもオケと同質性を感じさせる音色でよかったのでは。
この演奏、私の好きなプレヴィンの演奏を思わせるような優美さと快活さのバランス感覚がとてもいい。現田さんの気質にぴったりの曲だし、これから始まる舞台をも想起させてくれちゃう感興にも事欠かったなぁ。
ついで、登場の小川典子さん。
多くを聴いていないけれど、小川さんのイメージは、ヴィルトゥーソ的な部分と、私の大好きなディーリアスのCDに聴かれるニュアンス豊かな繊細さの二つがあった。
今宵のガーシュインのヘ調の協奏曲では、はじけるような抜群のリズム感とスィングするジャズ的な感覚、そして優美な歌、そのいずれにも惚れぼれするくらいに聴き入った。
伝統的な協奏曲の枠組みを持ちながら、その中に込められた自由な歌い回しは、クラシックでありながらそうではない。
この曲もやはり、プレヴィンやバーンスタインが実にうまいものだが、今日の演奏会がCDにならないものかしら!
オーケストラも常にリズムと歌を意識していなければならない難曲。
現田さんと神奈フィルは、破綻なく、各ソロも含めて最高だったように思う。
終楽章のエンディングには鳥肌が立つほどワクワクしてしまったぞ。
コープランドの第3交響曲は、45分、4つの楽章の本格シンフォニー。
打楽器多数、鍵盤楽器、ハープ2台、金管フルの大規模な編成で、随所ににぎにぎしいファンファーレや、憂愁を帯びたラテンアメリカっぽいムードや、アメリカの草原を思い起こすようなおおらかさなどが、満載となっていて、シリアス交響曲とはいえ、いかにもコープランドの音楽であった。
有名な「市民のためのファンファーレ」が終楽章にはじめはゆったりと、そして金管群が朗々と奏でだすと、いやがうえにも盛り上がってゆく。
愛国心を楽天的な響きの中に込めた長大な曲は、こうして華々しく終結したが、ホールいっぱいに本当によく鳴りわたる音楽だ。
やりようによっては、取りとめのない音楽になってしまうところを現田さんは、実によく締めていて金管や打楽器が突出しないようにしていたし、2楽章の中間部や3楽章の緩徐的な場面を歌に満ちた場面としてよく際立たせていたように思う。
演奏終了後のコールで、セクションごとに声をかけて労をねぎらっていて、その後、花束を受けた現田さん。
アンコールに、ファンファーレを金管がスタンディングで再演し、会場は大いに盛り上がってた。
手を振って去る現田さんの姿に、ちょいとウルウルしてしまいましたワタクシでございます。
その後、ロビーで、現田さんを囲んでちょっとした慰労会が行われ、軽く飲み物も。
楽団理事や、現田さん、ソリストの小川さんも、それぞれスピーチをされ、とても和やかな会でございました。
ファンファーレは、マリノス応援にも使ったし、今年はベイスターズ応援にも編成される計画ともいう。嬉しいじゃぁないの。
ともあれ、現田さんお疲れさまでした。
これからも名誉指揮者として、神奈フィルを振ってください。できれば、オペラを
缶一本ではとうていおさまらない、毎度お世話になってます「勝手に神奈フィル応援メンバー」にて、美酒とそして素晴らしい肴を堪能しつつ音楽談義。
毎度楽しいひと時、ありがとうございました。
おまけに、ナタリー・デセイの歌う「キャンディード」の眼も眩むような鮮やかなアリアをどうぞ。
序曲がお好きでしたら、きっと楽しめると思います。
そして、ナタリーのすごさ
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コメント
金曜はお疲れ様でした。
現田さん常任ラスト公演にふさわしいコンサートでしたね。
僕もCDを出してくれないかと思ってしまいました。
投稿: syllable | 2009年1月17日 (土) 23時12分
yokochan様お早うございます。
3曲とも私が大好きな曲です。でも実演で聴いたことが一度もないので、神奈川フィルの演奏でお聴きになったと言うのはうらやましい限りです。特にガーシュインの協奏曲は20世紀のピアノ協奏曲の中でも一二位を争うほど好きなのです。ナタリー・デセイのアリアも楽しませていただきました。
投稿: 越後のオックス | 2009年1月18日 (日) 07時54分
syllableさん、金曜はお世話になりました。
>現田さん常任ラスト公演にふさわしいコンサート<
ほんと、そうでしたね。
ああした、キラキラ系の明るい音楽はこのコンビにぴったりでした。
CD化されたら、世界的にも通じる演奏ではないかと思いますね。
投稿: yokochan | 2009年1月18日 (日) 10時37分
越後のオックスさん、おはようございます。
3極ともお好きなのですね。
私もよく考えたらいずれも初めてでして、キャンディードも以外や初めてのライブでした。
いずれもアメリカ音楽特有のワクワク感が堪らない名演でしたよ。
ガーシュインのヘ調は、ああして生で聴くと、オケの動きが本当に面白かったですし、小川さんのピアノのすごさも体感できました。
そして、ナタリーもスゴイ!
投稿: yokochan | 2009年1月18日 (日) 10時46分
どうも先日はありがとうございました。
現田さんの音楽、素晴らしいでしょう?。
そしてプロの面白さも彼ならではですよね。
キャンディードやコープランドの輝きも、ガーシュインのスイングも素敵でしたね。
そして小川さんはさすがの貫禄でした。
そしてアフターコンサートも忘れられないものでした。
そんな場をご一緒してくださり感謝です。
また次回、ぜひ宜しくお願いいたします。
投稿: yurikamome122 | 2009年1月18日 (日) 11時59分
そうそう、このYoutube、すごいですね。
鮮やかですね。
なんだかこの人のファンになりそうです。
投稿: yurikamome122 | 2009年1月18日 (日) 12時01分
yurikamomeさん、先般はたいへんお世話になりました。
ご推奨の現田&神奈フィルコンビ、しっかり堪能させていただきましたし、彼のプログラミングのうまさにも感心しました。
そして、こちらのほうこそ、感謝です。
素晴らしいオーケストラと指揮者をご案内いただきました。
小川さん、彼女のしっかりしたスピーチにも、実績をしっかり積んできた方の自信と優しさが満ちてました。
ナタリー・デセイ、素晴らしいでしょう!
グルベローヴァとはまた違ったとても情感豊かな歌です。
是非、いろいろ聴いてみてくださいませ。
また次の機会もよろしくお願いいたします。
投稿: yokochan | 2009年1月18日 (日) 13時46分