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2009年2月22日 (日)

エルガー 「ゲロンティアスの夢」 A・ギブソン指揮

Daiba_2 お台場を逆方向から眺めるの図。

東京湾に浮かぶ人口島。
海底トンネルで大井や、お台場あたりと結ばれている。

日曜朝に、ちょいとドライブ。
大型車がいないから、空いていて、天気もいいし、最高の気分

でも最近ちょっと心配なことがある。
(書こうか、書くまいか迷ったけど)
「地震」である。
いまのおバカな政治や世の中に気を取られてると、気がつかない。
このとこころ、各地で多いのである。震度3以上に限ってみても、21日を除いて、15日から22日まで連日各地で起きている。日をおって、岩手沖、静岡東部、千葉南部、福島沖、福井嶺北、茨城北部、茨城南部、岐阜美濃、といったあんばいで、本州中部から東北にかけて・・・・。
火山活動の活発化も含めて、地震活動があらたな局面を迎えているんじゃないだろうか?? 怖いよう。
来ちゃうものは防ぎようがないが、備えはあって越したことはない。
かくいう私はなにもしておりませんが・・・・。

Dream_of_gerontius_gibson

不安を煽るような、怖ろしい前段を書いてしまった。
でも音楽は、心が解放されるような感動的なものを。
エルガーの傑作、「ゲロンティアスの夢」。

エルガーは、いくつかの合唱付きの大曲を書いているが、この「ゲロンティアス」と「使徒たち(アポステルズ」「神の国」が、いずれも熱心なカトリックだったエルガーの篤い思いが込められた素晴らしい作品たち。
後者ふたつが、「最後の審判」と併せて3大オラトリオになるはずだったのに、残されなかったのが、極めて残念。

「ゲロンティアス」は1900年の完成で、委嘱先のバーミンガム合唱音楽祭にて、かのハンス・リヒターによって初演されているが、保守的な壮麗なオラトリオ作品を期待していた聴衆の受けはあまりよくなかったらしい。
その後、着実に評価を上げ、いまや本国イギリスでは、最高の人気作品となっている。
イエスにもなぞらえるゲロンティアスのテノール、司祭のバリトン、天使のメゾソプラノ、苦しみの天使のバリトン、これら独唱者に、友人、悪魔、精霊といった面々をそれぞれ合唱が担当する。
これら登場人物たちのキャラクターのわかりやすさが、ある意味英国大衆受けしたのであろうし、音楽もそのキャラクターに準じてわかりやすく、当然に素晴らしいものとなっているから当然。
でも英国以外では、エルガーの声楽作品は、まだまだマイナーな存在。
2005年の大友さんの演奏を聴き逃してしまったものだから、次はどこで誰が取り上げてくれることやらさっぱり不明。

宗教的な内容ではあるが、のちのオラトリオ2作ほどキリスト教的でなく、聖書的な史実も知っておく必要もない。
「人間の死と、その魂の救済と浄化」
こんな深淵なテーマのように思うが、でも難しいことを考えず、素直にエルガーの素晴らしい音楽に耳を傾け、身を任せるのがよいと思う。

第1部
死の水際のゲロンティアスが、死の恐怖にとらわれ、祈りにすがっている。
仲間の友人たちも同調して必死。
不安や怖れに千路に乱れるゲロンティアス。
司祭が祈りを捧げ、神の名の元にゆきなさいと、希望を説く。

第2部
ゲロンティアスは旅立ち、魂となっている。
気分も一新し、すっきりしたところに天使がやってきて、魂と対話を始める。
生あるときは、死や宣告が怖かった。いまや、その宣告がはじまり、その報酬の果実をもぎ取り、天の時が始まるのです・・・。
 天使についてゆく魂。すると、悪魔が待ち構えていて、さかんに誘惑し、不安を投げつけ、嘲笑を浴びせてくる。私は、こんなヤツラはいやだ、王座に玉する最愛の方に会いたい・・・・、こうして切り抜ける。
そのあとには、精霊たちの清らかな合唱が待ち受けていた。それは大いに盛り上がり、ついに魂は恐れに打ち勝ち、苦しみの天使から祝福され、高みへと達する。

「女性的なるもの」は登場しないけれど、これは、ゲーテのファウストと同じでは。
死の先にあるもの、それは人間すべての永遠の課題。

崇高な雰囲気の序奏からして、その深淵かつジェントルなエルガーの音楽に釘付けになってしまう。
1部では、ゲロンティアスの祈りがまるで、テノールのアリアのようでいい。同じフレーズを何度も繰り返すが、それぞれニュアンスが違う。
オルガンも加わる、仲間たちの祈りは教会で聴くような雰囲気だし、最後の合唱は、交響曲の緩徐楽章のように美しい。
2部の聴きものは、悪魔と精霊の鮮やかな対比の合唱の素晴らしさ。
悪魔の歌のha,haは強烈だし、精霊のまるでベートーヴェンのミサソレをも思わせるフーガがあまりにも素晴らしい。
そして、私がまず感涙してしまうのが、「神聖なものを讃えよ」という場面。これには私何度でも泣けます。元気になります。
 霊感漂う雰囲気のあと、徐々に音楽が沸騰してゆき、大和音の一撃が!
そのあと、魂が「導きたまえ!」と絞りだすように歌う場面。
ここでも背筋に電流が流れるような感動が・・・。
さらに、最終の天使の告別。オーケストラに静かに出てくる美しくも感動的なメロディにのって天使が歌い、そこに合唱もかぶってくる。
さきの、「神聖なもの・・」のフレーズが優しく出てきて、天に昇るように、アーメンの言葉で閉じられる。深い、あまりに深い余韻を残しつつ・・・・。
もうこのあたりは、胸がジーンとしてきて、あぁ生きててよかったなぁ的な気分になってしまう。

  ゲロンティアス:ロバート・ティアー  天使:アルフレーダ・ホジソン
  司祭、苦しみの天使:ベンジャミン・ラクソン

     サー・アレクサンダー・ギブソン指揮
     スコテッシュ・ナショナル管弦楽団/合唱団

95年に69歳で亡くなってしまったスコットランドの名匠、ギブソンの指揮は、オペラ指揮者としても活躍しただけに、劇性と歌には欠けていないが、真摯でひたむきな解釈のほうが目立つ気がする。
悪魔の合唱も普通で、インパクトはさほでではない。
でも、ジワジワと感動を味わうには、こうしたじっくり型の演奏の方が飽きがこないし、胸に響くものも大きい。
ティアーも歌い過ぎにならないところで止まっているのがいいし、私の好きなラクソンの美声うれしい。
ホジソンのいぶし銀のような深みある声がよく、ギブソンのオケとよくあっている。
合唱の精度が気になる場面はあるけど、微細にすぎない。
 
 それにしても、英国指揮者は、みんな早世してしまう。悲しい

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コメント

ご無沙汰しております。  かなり長~い間、ネット生活からは遠ざかっておりました KiKi です。  今年の10月から舞台(Blog)を変えて、少しずつクラシック音楽関連のエントリーも再開し始めましたので、そのご挨拶を兼ねて(?)この「ゲロンティアスの夢」で TB を送らせていただきました。

取り急ぎご挨拶まで♪    

投稿: KiKi | 2009年12月25日 (金) 11時31分

あっらら~、kikiさんではございませんか!
こちらこそご無沙汰をしております。
実は、最近、kikiさんの新しいbolgを拝見しまして、私の方こそ、ご挨拶の機会をうかがっておりました。
先をこされちゃっすいません(笑)

ゲロンティアスをお聞きになったのですね。
この音楽を思うと、それだけで、涙が出そうになってしまいます。
TBありがとうございます。
のちほどお伺いしますね。

投稿: yokochan | 2009年12月25日 (金) 13時12分

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粛々と進めている「のだめカンタービレに登場する音楽を聴いてみる」企画。  今日は... [続きを読む]

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