私の好きなオペラアリア バリトン・バス編
夜の銀座でございます。
不況とはいいながらも、曜日と時間帯によっては、こんな光景が見られるのもさすがに銀座たるもの。
着物姿のお姉さまと同伴する紳士。
黒塗りの車。
この時期だと、いそべ焼きの屋台がいい匂いをまき散らしている。
まだ20代の頃、そのいそべ焼きを飲んだ勢いで、お土産にしないで6つも食べてしまい、胃がもたれて死ぬほど苦しんだことがあった。
色気より食い気なのですな、わたくしは。
今は・・・、ご想像にお任せします。ふっふっふ。 声域別に、お気に入りのオペラ・アリアを集めてきた。
最後は、男声低音部でございます。
バリトン、バスバリトン、バスと大きく分けて3声部あるうえ、今回リストアップしてみたら、素敵なアリアがごまんとある。
男ならテノールもいいが、こうした声域で渋いところを歌ってみたい。
恋人役やヒーローはテノールに任せて、バス、バリトンは、苦渋に満ちた父親や長老、恋敵や主人公と相反する敵役、友愛に満ちた親友、影から見守る好人物、明るい狂言回しなどなど、主役もあるもののが、舞台を引き締めるカナメ役が多い。
こうした男の世界は、いまの軟弱化した世にあっては頼もしい限り。
この声域を好んだ作曲家も多く、ヴェルデイを筆頭に、ワーグナー、モーツァルトなどに素晴らしいアリアを聴くことができる。
1.ワーグナー 「ワルキューレ」~「ウォータンの告別」 ホッター
2.ヴェルディ 「仮面舞踏会」~「おまえこそ心を汚すもの」 バスティアニーニ
3.ワーグナー 「マイスタージンガー」~「にわとこの花」「迷いだ・・」
「親方たちをさげすんではならぬ」 リッダーブッシュ
4.ジョルダーノ 「アンドレア・シェニエ」~「国を裏切る者」 カプッチルリ
5.ヴェルディ 「リゴレット」~「悪魔め鬼め」 カプッチルリ
6.ヴェルディ 「ドン・カルロ」~「最後の日はきた」 カプッチルリ
7.ヴェルディ 「ドン・カルロ」~「ひとり寂しく眠ろう」 ギャウロウ
8.モーツァルト 「ドン・ジョヴァンニ」~「カタログの歌」
9.プッチーニ 「トスカ」~「テ・デウム」「トスカはいい鷹」「この時を・・」 ゴッピ
10.ワーグナー 「タンホイザー」~「夕星の歌」 F=ディースカウ
あ~まだまだ。
11.レオンカヴァルロ 「パリアッチ」~「ごめんください、皆さま方」 ミルンズ
12.モーツァルト 「魔笛」~「この神聖な殿堂」 モル
13.ヴェルディ 「オテロ」~「クレード」 ゴッピ
14.ムソルグスキー 「ボリスゴドゥノフ」~「ボリスの死」 ギャウロフ
15.R・シュトラウス 「影のない女」~「バラクのモノローグ」 ベリー
16.モーツァルト 「魔笛」~「娘か可愛い女房が一人」 プライ
17.ヴェルディ 「シモン・ボッカネグラ」~「市民のものたちよ」 カプッチルリ
18.ヴェルディ 「シモン・ボッカネグラ」~「フィエスコのモノローグ」 ギャウロフ
19.ビゼー 「カルメン」~「闘牛士の歌」 ミルンズ
20.R・シュトラウス 「無口な女」~「モロズスのモノローグ」 アダム
くっ、多すぎる。
同じ役をいいことに、ザックスとスカルピアは複数ノミネートしてしまうとズルさ
若い頃や、酒の力を借りたりするとテノールの声も出なくはないが、たいていの男子はこの音域。普段、口づさんだり、車の密室で歌ったりするのがとても気持ちいい。
車を運転しながら、ウォータンやスカルピアを歌ってるワタシっていったい・・・・・。
「オランダ人」はワーグナーだらけになるから落としたし、モーツァルトは総体としてはすべていいが、どれという決めてにかけてしまった。
でも、ヴェルディはいい。
この男声音域における最大の作曲家ではないか。
プッチーニとシュトラウスが、ソプラノに偏重したのに、ヴェルディとワーグナーはすべての音域に万遍なく素晴らしい歌を残してくれた。
一人でも、楽器がなくても、誰でも音楽を奏でることができる人間の声って、ほんとに素晴らしいもの。喜びも悲しみもそこに載せることができるのだもの。
フェイバリット・アリア集、もう一本ありますよ。
「私の好きなオペラ・アリア ソプラノ編」
「私の好きなオペラ・アリア メゾ・ソプラノ、アルト編」
「私の好きなオペラ・アリア テノール編」
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コメント
yokochanさま こんにちは
「私の好きな歌手」のシリーズ、愉しく読ませてもらっています。私の好きな歌手と重なっているところが多いです〜。
ヴァーグナーの「ヴァルキューレ」「マイスタージンガー」のモノローグは、私はジョージ・ロンドンさんが一押しです。それに、テオ・アダムさんかも。「タンホイザー」のディースカウさんは、あれほど上手いソロは少ないですよね〜。ディースカウさんさんは、スカルピアも良いですね〜。
R・シュトラウス「影のない女」は、ベリーさんですよね〜(モツアルトのレポレロも良いですよね〜)。「薔薇の騎士」のオックス男爵が抜けていませんか?そこにも、ヴァルター・ベリーさんを推薦します。
テオ・アダムさんもかな〜。
ヴェルディ、プッチーニは、ゴッピさん、カップチルリさん、ギャウロフさん(「ファウスト」のメフィストフェレスが抜けているような〜)〜。
モツアルトは、プライさん(パパゲーノ、フィガロ、グリエルモ)、ディースカウさん(「フィガロ」の伯爵)、ベリーさん(フィガロ、レポレロ)でしょうか〜
思いつくままに書かせていただきました。
きっと、記憶を辿るとさらに出てきそうです、爆〜。
ミ(`w´彡)
投稿: rudolf2006 | 2009年2月11日 (水) 12時52分
こんばんは。
いそべ焼きを食べつつオペラ、日本人に与えられた幸せの一つかもしれません。
あ、大好きなシェリル・ミルンズ様のお名前発見!
この方、嫌なヤツを演ずるとピカイチだと思うのはわたくしだけでしょうか?
投稿: moli | 2009年2月11日 (水) 22時42分
rudolfさま、コメントどうもありがとうございます。
楽しんでいただいて、心から嬉しいです!
自分でもナイスな企画だと思いますが、もうあとがないのが残念です。数年後に嗜好が変わるとも思えず、最初で最後の企画かもしれません(笑)
あぁ、やっぱり、もれがたくさんあります。
あの歌もこの歌も、とうてい20曲にはおさまりません。
フランス・ベルカント・近現代が抜け落ちてます・・・。
世代でしょうか、rudolfさんの選択とまったくかぶってます(笑)
ベリーはほんといいですよね。偉大な奥さんルートヴィヒに隠れがちだったですが。
ベームのマイスタージンガーが、ちゃんとベリーだったら、と思わざるを得ないですねぇ。
投稿: yokochan | 2009年2月11日 (水) 23時07分
moliさま、こんばんは。コメントありがとうございます。
>いそべ焼きを食べつつオペラ、日本人に与えられた幸せの一つ<
いやぁ、まったく同感にございます。
新国でも、甘いドルチェばかりでなく、緑茶に和菓子とか、わたし向けにいそべ焼きを出してくれればいいのに・・・(笑)
ミルンズ、実は私も密かに大好きなのです。
カプッチルリと同時期の2大バリトン。
ミルンズのスカルピアは最高だと思います。
嫌なヤツをナイスに聴かせちゃう、素晴らしいミルンズですね。
過去の記事でミルンズを取り上げてますので、よろしければご笑覧ください。
https://wanderer.way-nifty.com/poet/2006/09/post_7aef.html
投稿: yokochan | 2009年2月11日 (水) 23時20分