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2009年4月20日 (月)

エルガー 交響曲第1番 マリナー指揮

Tokyo_tower1三田からの東京タワー。
オリンピック・パラリンピック招致活動応援として、五輪カラーのダイヤモンドヴェールが施された。
今日20日まで。
仕事帰りに、交差点の中で危険を冒しつつ撮影。
 対向車のランプもまともに捉えちゃったけど、かえってアクティブな東京の雰囲気が出たかも。
世界でも稀なる都市、東京ばかりがなぜこんなにキラキラしてるんだ!
オリンピックもいいけど、もっと富や経済、文化の分配を各地にできないものだろうか?

Marriner_elgar1 次回のロンドン・オリンピックにちなんだ訳じゃぁありませんが、英国の栄華と大いなる夕暮れを感じさせるエルガーの交響曲を聴く。

この交響曲第1番は、あらゆる交響曲のなかでも最愛のひとつで、昨日のラフマニノフと並んで、CD棚(存亡の危機に瀕してますぅ・・・・)の中でも枚数的に大きな位置を占めている作品でもあります。
当然、同じ作曲家の第2番も同時に集めちゃうから、それに匹敵するのもわかりますよね。

本ブログ7本目の当作品、サー・ネヴィル・マリナー指揮するアカデミー・セント・マーティン・イン・ザ・フィールズの演奏で。
長いけど、これが本名だからしょうがないオーケストラ。
ついつい、「四季」以来のアカデミー室内管弦楽団という名称が印象としてついてまわるが、その発足当初より正式名称は件の長いものだった。
レパートリーの拡張と、マリナーのグランド指揮者への成長に伴い、演目によって変幻自在に規模を変えるフレキシビリティ溢れる柔軟な組織となっていった。
そんな成果のひとつが、このエルガーの交響曲。

やや響きは薄いと感じる場面もあるが、逆に細密な印象を与えるし、通常のオーケストラと比べてまったく遜色ない音が響いている。
この録音は、1990年。80年代末期あたりから、マリナーは我々がイメージする、さらさらアッサリ印象に加えて、時にびっくりするくらいの大胆な表情付けや劇的な演出効果を出したりするようになった。
このあたりの微妙な按配というか、不思議な並立がマリナーの面白いところで、ある意味予想もつかない意外性を秘めていると私は思っている。
そして、それらが品の良さと、ちょっと距離を置いた冷静さを保っているところが私は大いに好きなのであります。
人によっては没個性・特徴のなさを嫌うかもしれないけど、私はこんなマリナーが好き。
楽譜をあるがままに音にする能力と嫌味のない音楽作りが、ますます磨きがかかったマリナー。一昨年のN響への客演でのブラームスでも、驚きの名演を聴かせてくれた。
プレヴィンとともに、N響への客演を今後重ねて欲しいな。

全体に早めのテンポをとってぐんぐんと進めるマリナーのエルガー。
でも、憂愁に富んだ第3楽章で起きるマリナー・マジック。
そう、かなり熱中的な表現で、聴いていて大いに興が乗ってくる。
過去を慈しんで夢見るようなそのエンディング。儚いホルンの合いの手に、遠く美しき「いにしえ」を懐かしむロマンの響きが心に届く。
ほんと、素晴らしいんだから。この場面、バルビローリやボールト、尾高さんとともに、最高の瞬間を聴かせてくれるマリナー。
他の楽章も素敵です。涙がもう出そうになる冒頭部分に、低廻することない推進力あふれる2楽章、そしてコーダでテンポを動かさず何気ない盛り上がりを見せる終楽章。
こんなマリナーのエルガーであります。

今は入手できないこのCD。
即買いの基本にのっとり、15年前に取得した1枚は、私のCD棚の中での大事な存在なのです。

 エルガー 交響曲第1番の過去記事

 「尾高忠明/NHK交響楽団」
 「バルビローリ/フィルハーモニア管」
 「
大友直人/京都市交響楽団 演奏会
 「
尾高忠明/BBCウェールズ響
 
ノリントン/シュトットガルト放送響
 
プリッチャード/BBC交響楽団

Tokyo_tower2 東京タワー部分を拡大の図。
トラック邪魔ね。

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コメント

yokochan様今晩は。
 エルガーの第1交響曲をこの年になって初めて全曲聴きました。テイト&ロンドン響の演奏です。第2交響曲は、高校時代にショルティ&ロンドンフィルの演奏で聴いて感銘を受けているのに、どうしてオジサンと言われる年齢になるまで第1番を聴かずに来たのか自分でも不思議です。第1楽章冒頭の例の主題の崇高な美しさに涙が出そうになりました。それから例の主題が再現される終楽章のエンディングまで心を揺さぶられっぱなしでした。テイトの演奏はゆっくりめのテンポをとっているようですね。
 私はノリントン・ファンでもあります。時代考証派の指揮者の中ではガーディナーの次ぐらいに好きです。この二人はバッシングされればされるほど応援したくなります(笑)。ノリントン&シュトットガルトのCDも聴いてみたくなりました。

投稿: 越後のオックス | 2009年5月16日 (土) 00時09分

越後のオックスさん、こんにちは。
第1交響曲に感激していただいて、とてもうれしいです。
テイト盤は私も持ってますが上品でいい演奏ですね。

ノリントンの作り出す響きは新鮮です。
ワーグナーもさらさらしてて面白いですよ。

投稿: yokochan | 2009年5月16日 (土) 13時15分

こんばんは。エルガーの「交響曲」はシノーポリ、フィルハーモニア管が手持ちです。完全にイギリス・サウンドではないが、シノーポリはイタリア出身でありながら、エルガーの「管弦楽曲」は集中的に取り上げてました。イタリア・オペラを指揮していたのか、終楽章が歌い回しのように盛り上げてくれます。

投稿: eyes_1975 | 2009年5月16日 (土) 20時58分

eyes_1875さん、コメントとTBありがとうございます。
エルガー1番フェチのわたくし、当然にシノーポリ盤も持ってます。マーラーやプッチーニをも思わせるユニークなエルガーですね。
シノーポリの死は、本当に残念ですね・・・・。

投稿: yokochan | 2009年5月17日 (日) 00時57分

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» 交響曲第1番(エルガー)を聴いてみました [ミュージック・トリビアの世界]
 第1楽章:低音弦がゆったりと奏で、やがて、キレが出てトランペットやティンパニーと掛け合うようになった。オーケストラが渦を巻くようになり、ホルンやトランペットと掛け合い、オーボエから寂しげになる。オーケストラにキレが出てフルートからトランペットやトロンボーン、ティンパニーと掛け合う凄まじさ。オーボエから低音弦に目まぐるしいフルートが掛け合い、渦を巻くオーケストラへと変わっていく。オーケストラにキレがあり、ティンパニーやトランペットにホルンと重圧感も加わった。ヴァイオリン・ソロにオーボエと抒情的になり... [続きを読む]

受信: 2009年5月16日 (土) 21時00分

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