ブルックナー 交響曲第7番 ベーム指揮
鴨南蛮や鴨汁のシーズンは、やはり冬。
濃厚な出し汁で、身も心も温まる。
そろそろ本物のおいしさはおしまい。
でも、ありがたいことに今や、蕎麦屋さんでは年中食べれる。
閉口したのは、観光地で鴨南を頼んだら、その鴨肉は、なんと燻製のスモーク鴨ちゃんだった・・・。
こちらは、そんなことありませぬ。
新座の名店、鞍馬。荻窪の暖簾別けで、清々しい店の雰囲気。
めちゃくちゃおいしかった。
この一品があれば、お酒を少なくともお銚子4本はいっちゃうな。
ブルックナー(1824~1896)の交響曲シリーズも、後期の充実の森へ分け入ることになってきた。
かといって、私は後期も前期も全然隔てなく好きで、音楽の構えが大きくなったただけで、ブルックナーの音楽の在り方は習作の時代から変わってないといつも思いつつ聴いている。
でも次の8番は、ベートーヴェンの第9に匹敵する巨大かつ深淵な作品だし、9番も未完ながら孤高の作品であることは疑う余地なし。
では今日の7番はどうだろうか。
1881年、6番の完成後すぐに作曲開始。
1883年にワーグナー逝去の知らせを受けて、その死を予感させつつ作曲していた第2楽章を葬送行進曲とした。
ニキシュとゲヴァントハウスによって初演。
この7番には、ややこしい版の問題はさほどないが、原典版・ハース版・ノヴァーク版がそれぞれ存在する。2楽章のクライマックスで、打楽器を高らかに鳴らすか否かが表面的には一番大きな問題。
たいていは鳴らされる演奏が多く、私もやはりそこで鳴ってくれないと寂しく、つい期待してしまう。
歌謡性に溢れた第1楽章。
荘重で神々しい第2楽章、その中に涙がでるほどに美しい第2主題が織り込まれている。
弾むリズムに一度聴いたら耳に残るトランペットの主題を持つ第3楽章。
長さ的にアンバランスだが、全曲の総括のようでいて演奏の難しい第4楽章。
私は、4番とともに相当早い時期から聴いてきたし、通常のブルックナー入門パターンも私と同じに、4・7番だと思うから、7番はどちらかというと、手垢にまみれてしまった超おなじみ有名曲という捉え方になってしまう。
ゆえに、1・2・6番を愛好する偏重ぶりにもなるわけ。
だからよっぽどの機会がないと聴かないし、音源も思い入れがないものでないと聴かない。
前者、つまりコンサートで記憶に残るものは、朝比奈&新日フィル、上岡&ヴッパタール、シュナイト&ジャパンアカデミーの3本。
それと音源では、マタチッチ&チェコフィル、カラヤン&ベルリンフィル(EMI)、ブロムシュテッット&ドレスデン、アバド&ウィーン・ルツェルン、そして今宵のベーム&ウィーンフィルなのだ。あと懐かしいところでは、コンサートホール盤のモコモコした録音のシューリヒト。
ベームがウィーンフィルとともに久方ぶりに日本を訪れ、熱狂の渦を引き起こしたのが1975年。当時、私は高校生で、招聘元のNHKに往復はがきでチケットを応募した。
何枚も出したけれど、かすりもせずFM生放送やテレビにかじりついたものだ。
アイーダで鮮烈デビューを飾ったムーティのチケットは簡単に取れてしまい、初ウィーンフィルをムーティで聴いたのも懐かしい思い出。
脱線するけど、その時の演目が、「プロメテウス序曲、ブラームスのドッペル、新世界」という妙なプログラムで、アンコールの「運命の力」が目もさめるようなすげぇ演奏だった。
大振りムーティもかっこよかったなぁ。
かたやライブで燃えるベームの真骨重は電波からも痛いほど伝わってきて、テレビの大映しで観るベームの眼の玉をひんむいたお顔が忘れられない。
そのコンビがウィーンに帰って、翌年録音したのがこちらのブルックナー。
LP3枚で、7番・8番をケースに収めた豪華なもので、当時6900円もした。
ライブでなく、ムージクフェラインでのセッション録音。
極めて落ち着いた、でも老いなどは一切感じさせない若々しい演奏で、ライブの熱に冒されたような興奮はないかわりに、堅固なまでの構成感とゆるぎない自信に充ち溢れている。2楽章はあくまで自然にじわじわと盛り上がり、そのピークを迎えた感じでカタルシスや悲壮感はまったくない。
この無骨なまでの自然体のベームの指揮に、ウィーンフィルの甘やかな音色が絶妙に色を添えている。
ムジークフェラインのリアルな響きをしっかり捉えた当時のDGの録音もうれしく思える。
あの黄金色のホールで、一度ウィーンフィルのブルックナーを聴いてみたいものである。
夢のまた夢なり・・・・。
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コメント
yokochan様今晩は。
私も初めて聴いたブルックナーの交響曲は4番でした。クラヲタになったばかりの中学1年生のときです。ベームとウィーンフィルです。そして次に聴いたのもやはり7番でした。シャイーとベルリン放送響のLPです。中学2年生のときのことです。7番は一時期あまりにも聴きすぎたせいか最近は少し食傷ぎみです。印象に残っている演奏はジュリーニ&ウィーンフィル、カラヤン&ウィーンフィル、インバル&フランクフルト放送響、ヴェルザー・メスト&ロンドンフィルなどです。メスト盤は第2楽章の驚くべき速さが印象に残っています。最近聴いたカラヤン&ベルリンフィルのグラモフォン盤も晩年のウィーンフィル盤とは一味違う面白さがありました。ヴェルザー・メストには私はとても期待を寄せています。ティートの慈悲のDVDが素晴らしい演奏でした。序曲からしてピリオド楽器風で私好みの爽快でしかも堂々とした演奏でした。彼がデビューして間もないころ、彼のブルックナーを酷評した老評論家がいましたが、その彼も今はクリーヴランドのシェフで、もうすぐウィーン国立歌劇場の総監督になります。件の老評論家はいまごろ涙目なのではないでしょうか(笑)。
投稿: 越後のオックス | 2009年4月 7日 (火) 23時36分
越後のオックスさま、毎度ありがとうございます。
ブルックナーの登竜門は、やはり4・7番ですね。
W・メストのブルックナーは聴いたことがないのですが、早めのテンポをとるメストですから、低回せずにスイスイいくのでしょうね。
この人はオペラの才能において並々ならないものを持ってますね。
重厚長大なティーレマンと好対照です。
チューリヒオペラの来日公演のばらの騎士でのスマートな指揮ぶりと見事な統率力がいまだに目に焼き付いております。
投稿: yokochan | 2009年4月 8日 (水) 22時18分
Decca原盤の『第3』『第4』には随分と御世話になりましたが、DGに入れたこの2曲は恥ずかしながら、未だに聴いて居ないのです。1975年頃以降のスタジオ録音には、活力が欠けたものが目立つ‥との指摘が結構目立ちますね。
投稿: 覆面吾郎 | 2019年10月19日 (土) 06時26分
当時、日本グラモフォンからでた3LPは、豪華なカートンケースに収納されていて、レコード棚でも、オペラの数々に交じって、存在のあるものでした。
そして、録音もムジークフェラインのあの響きをちゃんととらえていて、当時、ベーム&ウィーンフィル・フィーバーに沸いていた自分にとって、かけがえのないものでした。
ライブでこそ燃える、それは来日演奏会で実証されましたが、DGとウィーンフィルは、ベームが元気なうちに、ということで、スタジオ録音をいくつも企画し、実践したようにも思います。
トリスタンをノーマンと録音する、というような怪気炎もベームにはありましたし。
たしかに、ライブに比べると燃焼度が違いますが、私は違う次元で、ウィーンフィルを楽しめるということで、べームに感謝したいです。ブラームスなど絶品かと。
投稿: yokochan | 2019年10月21日 (月) 08時30分