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2009年4月12日 (日)

NHK交響楽団定期演奏会 エド・デ・ワールト指揮②

Nhkso_20094 エド・デ・ワールト指揮のNHK交響楽団の2本目の定期演奏会を聴いた。
前回はシュトラウスとワーグナー、今回は、シュトラウス、あれ、前半は何だっけ?
と、プログラム見てからチャイコフスキーの協奏曲と知ったしだい。それだけ、アルプス交響曲が燦然と私の頭なか(が、ではありません)で輝いていたわけであります。
だって、最愛のシュトラウスだし、ライブ初アルペンだし、シュトラウス得意のデ・ワールトだし~

 チャイコフスキー ヴァイオリン協奏曲
      
 バッハ 無伴奏ヴァイリンパルティータ2番
            サラバンド

      Vn:ジャニーヌ・ヤンセン

 R・シュトラウス アルプス交響曲

           エド・デ・ワールト指揮 NHK交響楽団
                         (4.11 @NHKホール)


ところがですよ、チャイコフスキーなんてあんまし聴く気分じゃねぇなぁ~っと、期待せずに始まったヴァイオリン協奏曲。
これがなんと、なかなかに個性的で、すんばらしい演奏だったのである!
大柄なジャニーヌ・ヤンセン嬢、バリバリに弾くかと思ったら、その出だしはソットヴォーチェで囁くような繊細な弾きはじめだったのだ。
対するオーケストラも、音を抑えきって静かに寄り添っている。
繊細なばかりでなく、いざ立ち上がると、ぐいぐいと技巧の限りに弾きまくる。
こうした対比が全曲あらゆる場面にあり、その濃淡ぶりが面白い。
表層的ともとれようが、私は普段は聴かなくなってしまった名曲ゆえに、不思議と新鮮に聴こえたものだ。2楽章で素晴らしかったクラリネットに乗って歌うカンツォネッタは、本日一番美しい場面だった。
オランダの同郷同士の競演。お互い完全な同調のうえでの演奏に聴こえた。

後半のアルプス登頂に備えて、ビールで喉を潤おし、登山準備完了!

2 ステージにぎっちぎちに乗ったフル&フルオーケストラ。
デ・ワールトは、今回も指揮台に飛び乗り、若々しさをアピール。
そして始まりましたよ、夜の場面が、静かにうごめくように鳴りだすと、私の耳は完全にシュトラウスモードに。
やはり、シュトラウスはいい。時代(1915年頃)を考えると、マーラーはすでに亡く、新ウィーン楽派の時代。古えに軸足おいたシュトラウスの最良の姿はオペラにこそあるけれど、「ばらの騎士」の頃に書かれた「アルプス交響曲」は、シンフォニーというよりは、波瀾万丈のシュトラウス流オペラのよう。
そんなことを、今日確信できた。
これは交響曲でなく、シュトラウスのオペラ。
静かに始まり、中間部で最高潮に達し、そのあとはカーブを描くようにして終息していく。
これはシュトラウスのオペラの常套なのではないか!
「英雄の生涯」にも通じるオペラの世界。
デ・ワールトの「アルペン」は、まずは全体の見通しの構図をしっかりと押さえ、鮮やかさや劇的な迫力よりは、流れの豊かさと起伏のうまい盛り上げ方が勝った演奏だった。
 シュトラウス・オペラを制覇してから、若書きの管弦楽曲にも歌やオペラの要素を見出すようになり、その聴き方が変わってきた自分。
おこがましいけれど、そんな耳で聴いたデ・ワールトのアルペンは私の耳にとても心地よく、安心して身をゆだねることができた。
 先のワーグナーでも強く感じたことだけど、デ・ワールトの紡ぎだす音は、その指揮棒から奔流のようになって流れ出ている。
指先を見ているだけで音楽が語られているようだ。
本当に、音楽的で巨匠とかいう次元とは違う別な意味での大きな存在のデ・ワールト。
わたくし、一押しの素晴らしい指揮者だ。
N響の唸るような低音と正確無比の木管群、破たんのなかった金管、とりわけ素晴らしかったホルン。実力のほどを、前回にも増して思い知らされることとなった。

難敵ホールだが、1階R席は、音がとてもよかった。
1 パイプオルガンの真下にいただけに、その重圧音は、まことにうれしい。

脳天直撃か

実演では、こんな攻撃に平伏すばかりじゃないっす。

3

拡大画像。
ちょっとボケてますが、雷を鳴らすサンダーマシン。
こんなの家にあったら大変。
でも我が家にはいつもありますし、打たれてますし・・・・。

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コメント

羨ましいですな~。行きたかった演奏会ですよ。
ヤンセン嬢の演奏が聴きたかったんですが、
土曜に仕事が入ってしまい行けなくなって・・。
金曜も仕事が終わらず・・・。

注目の演奏家さんです、J・ヤンセン。

投稿: スリーパー | 2009年4月12日 (日) 02時28分

スリーパーさん、ヤンセン嬢がお気に入りなんですね。
人気者の彼女目当てか、会場は満席でした。
アルペンではブラボーがかからなかったのに、チャイコでの歓声はすごかったですよ。
確かに、なかなかの実力派と見ました。
美人だし(笑)

投稿: yokochan | 2009年4月13日 (月) 00時19分

おはようございます。

チャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲、改めて聴くとやはりいい曲ですね。演奏が良かったからかもしれませんが。

ヤンセン嬢?はあの巨大なホールを目いっぱい鳴らして存在感が高かったと思います。

アルペンシンフォニー、ライブだと視覚効果と相まってとても楽しめました。

>我が家にはいつもありますし、打たれてますし・・・・

面白い!

投稿: ニョッキ | 2009年4月15日 (水) 08時05分

ニョッキさん、こんにちは。
ヤンセン嬢(なのでしょうかねぇ?)のヴァイオリンはほんと、よく鳴っていましたね。
久しぶりに聴いた名曲。名曲たる由縁だと思いましたし、大いに楽しみました。
そしてアルペンも観て聴いた感じで、ワクワクものでしたし。

我が家のサンダーマシンは、いざ発動するとすごいですわ!

投稿: yokochan | 2009年4月16日 (木) 23時19分

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