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2009年10月16日 (金)

バックス ピアノ三重奏曲 ボロディン・トリオ

Byoubugaura4 イギリスのドーバーの断崖を思わせるような岩壁。

こちらは、千葉県です。
飯岡から銚子にかけての屏風ヶ浦。

もう少し飯岡よりに行くと、岩ガキがとれる。
大きな身の濃厚なカキ。
日本じゃないみたい。

Bax_bridge_piano_trio

アーノルド・バックス(1883~1953)は、私の好きな英国作曲家のひとり。

ロンドンっ子でありながら、ケルトに魅せられ、生涯スコットランドやアイルランドを愛し、ロンドンに拠点を置きながらも始終かの地へ赴き、亡くなったときもアイルランドにあった。

オペラやオラトリオを除く、あらゆるジャンルに作品を残している。
いずれも3楽章形式の7曲の交響曲を軸に、幻想的ないくつもの交響詩や、映画音楽(オリバーツイストまで!)、室内楽曲、ピアノ曲、合唱曲など、どれも最初はとっつきが悪いが、聴きこむほどに味わいの増す、そしてその語り口を覚えてしまうと、たまらなく好きになってしまうのがバックスの音楽なのだ。

室内楽曲においても、さまざまなスタイルの作品があるバックス。
珍しいところでは、ハープやホルンを使った曲や木管のための作品もある。
オーソドックスなものでは、ヴァイオリン・ソナタや弦楽四重奏や五重奏、そしてピアノ五重奏に、こちらのピアノ三重奏曲

この曲は、室内楽作品としては、もっとも最後に書かれていて、1945年頃の円熟期のもの。友人のピアニスト、ハリー・イサックスに捧げられている。
バックスが、王道スタイルのピアノ三重奏をなかなか作らなかったのは、ドヴォルザークの「ドゥムキー」のような名作を書けないと思っていたようだ。
しかし、ここに聴くバックスのトリオは、バックスらしいムードがばっちりあふれていて、立派に存在を誇れる作品だと思う。
3楽章形式で、1楽章はスコッチ・スナップというリズムを多様したり、美しくも幻想的かつ詩情味豊かな緩除楽章を挟んで、妖精たちが踊るようなバックス独特の弾むような3楽章で完結する桂品であります。

ボロディン・トリオの芯のしっかりした響きはとてもいい。

バックスもディーリアスと同じように、ひっそりと楽しむ類の音楽で、あんまり有名になってほしくない。
だめな人にはダメな音楽で、晦渋さもあるものだから、人を寄せ付けないところもあるのだ。それはそれでいいのかもしれない。
 ちなみに、カップリングされたブリッジの作品は、さらにミステリアスな雰囲気の音楽。

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コメント

バックス、いいですよね。ブリテンより僕は好きなんです。ピアノ曲が素敵なので、交響曲や交響詩より、器楽曲や室内楽曲に向いているとは思っていたのですが。そういう意味ではピアノ・トリオってねらい目かもしれません。
追記;今週のMET、観ていました?「トリスタン」は映像作家の処理が煩わしく、耐えられませんでしたが、「ピータ-・グライムズ」良かったです。ナタリーの可愛い姿も拝見させてもらったし。EMIのDVDではカットされているはずだから、貴重でした。

投稿: IANIS | 2009年10月17日 (土) 13時56分

IANISさん、こんばんは。
ただいま、プレヴィンN響を聴いての帰りです。
デイム・フェリシティの歌うカプリッチョ、絶品でしたよ。

バックスはともかく好きで、全作品を揃えつつあります。
これほど、アイラモルトの似合う音楽はありません!
ピーターもトリスタンも、映画館で見ました。
あの分割カット映像には腹がたちますな!
こちらはスーザン、ピーターはナタリー。
ナタリーは完全に仕切ってましたね(笑)

投稿: yokochan | 2009年10月17日 (土) 21時26分

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