モーツァルト 交響曲第40番 スウィトナー指揮
静岡県島田市にある「蓬莱橋」。
大井川にかかる、世界一の長さの木造の橋。
1879年の架橋がそのルーツ。
この写真は、以前、従姉が亡くなったときにも出しました。
どこまでも続く一本の橋は、黄泉の世界に続いているかのようなデジャヴ感あふれるもの。
橋の下は、ちょっと怖い。。。
亡くなってしまった、オットマール・スウィトナーさん。
長い指揮棒を、やる気なさそうに振り回すしぐさで、ときおり体を縮ませたり、首をふりふりリズミカルに跳ねるようにしたりで、その指揮振りは結構ユニークだった。
興がものすごく乗ると、手をぶるぶると震わせたりして、そんな姿がオーケストラのやる気をめちゃくちゃ刺激してしまい、劇演が生まれたのだった。
死して思う、本物の芸術家。
飾り気なく、音楽のことしか頭になかったのでありましょう。
西側の人なのに、東で活躍したから60年代は日本のような島国では、完全に埋もれてしまった存在だった。
そのスウィトナーをN響が見つけ出したのは、まさにホームラン級のできごと。
71年に初めてN響定期に登場し、モーツァルトの交響曲や第9を指揮したものと記憶する。
N響アワーで、大木正興さんが大絶賛していた。
こうして、日本の全国放送で人気を得ていったスウィトナー。
ドイツ・シャルプラッテンの数々の録音に加え、同社と共同のデンオンレーベルのPCM録音。これらは、日本のファンが生んだ名録音である、と思っている。
忘れられないモーツァルトの数々。
交響曲第40番を聴いてみましょう。
あまりの名曲だけど、39番と並んで、わたしは好んで聴く交響曲。
アバド、ワルターと並んで、このスウィトナー盤。その3つが一番聴く機会が多い。
清々しく、背筋が伸びるような気持ちのよさ。
ドレスデンのオケからにじみ出てやまない温もり感と、柔和な表情。
音楽はどこまでも、手造り感を失わず、頭でっかちのピリオド奏法なんて、その足元にも及ばない。
中庸とか、適度という言葉は、褒め言葉ではないかもしれないけれど、この柔和なモーツァルトは、最高度の中庸ぶりと適度感に満たされていて、何百回も聴いても聴きあきることがないのだ。
うんうん言いながら指揮をする、スウィトナーの唸り声もしっかり収録さてます。
克明なアンサンブルながら、歌いまくる1楽章に、まさに天上を感じさせる2楽章。
このふたつの楽章が絶品であります。
明日(今日)は、金さんと神奈川フィルのミサソレに挑んでまいります。
そのあとまたスウィトナーの至芸を
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コメント
モーツァルトの大ト短調ならワルターとクーベリックとカラヤン&ウィーンフィルとカラヤン&ベルリンフィルとテル・リンデン指揮のブリリアント盤が好きです。
ベームとスウィトナーはまだ未聴です。
ベームが特にききたいですね。
スウィトナーのモーツァルト40番は
銀河英雄伝説でも使われていました。
投稿: 越後のオックス | 2010年1月16日 (土) 18時35分
こんばんは。まず、AmazonのCD曲目リストがどうやら復活したようです。これで一安心。シュターツカペレ・ドレスデンの「第40番」はブロムシュテットがあるのみ。未聴のスウィトナーは今でもあるのかな。
大木氏は東欧、ドイツは東側びいき。とくに朝比奈隆のブルックナーを袋叩きにしたのは有名な話ですね。
カラヤンはデッカでウィーン・フィルで。ベルリン・フィル録音はEMI、ドイツ・グラモフォンと3社で取り上げている自信作ですね。「第40番」はベーム、ベルリン・フィルやバーンスタイン、ウィーン・フィルも愛聴しています。シルヴィ・バルタンがイタリア語歌唱で「哀しみのシンフォニー」後、ポール・モーリア、レイモン・ルフェーヴルがポップス化した「愛よ永遠に」になるくらいフランス人が好んでいる。それくらい第1楽章は単独でも演奏されるのは言うまでもないね。
「ミサ・ソレ」は第九と共に春に初演された。春が近づいていますね。でも、今日は寒かった。
投稿: eyes_1975 | 2010年1月16日 (土) 21時29分
初めてブログ主様にメールを送らせて
頂きました。
長岡へお立ち寄りのさいは是非お寄りください。
昼間は大抵は家にいると思います。
両親と私の三人暮らしです。
今後とも越後のオックスめをよろしくお願いいたします。
投稿: 越後のオックス | 2010年1月16日 (土) 22時15分
越後のオックスさん、こんにちは。
こちらこそ、いつもコメントありがとうございます。
それからメールもありがとうございます。
長岡周辺は、今年は雪が深そうですねぇ。
仕事で上信越方面へ伺った際には、お言葉に甘えさせていただきます。
ベームの最晩年期のモーツァルト再録音は、やはりウィーンフィルの音色が魅力でありまして、ベームの凝縮された古典への眼差しはベルリン盤の方にあると思います。
でも録音もよく、忘れがたい1枚なのであります。
投稿: yokochan | 2010年1月17日 (日) 17時43分
eyes_1975さん、こんにちは。
Amazonサイトの正常化、よかったです。
客の立場になってませんよね。
実は何を隠そう、ブロムシュテットの名盤を聴いたことがないのであります。
それと一連のカラヤン録音も。
これではいけませんね。
バーンスタインは持ってますが、レヴァインは手放してしまいました。こうして何度もおんなじことを繰り返すほどの名曲なのですね、40番は。
ポップス調の40番もありましたねぇ。
まさに哀愁さそう音楽になりきってまして見事でした(笑)
ミサ・ソレの演奏は、なかなか美しく、聴きものでございましたが、横浜は寒かったです・・・・。
投稿: yokochan | 2010年1月17日 (日) 17時50分