« シャルパンティエ 「愛はすべてのもに勝つ」 クリスティ&プティボン | トップページ | プッチーニ 「トスカ」 チューリヒ歌劇場 »

2010年4月16日 (金)

フィンジ クラリネット協奏曲 ヒルトン&トムソン

Ninomiya1
寒ぅーい、ですねぇえ・・・。
人生、うん十年生きてるけど、こんな寒い春はなかったのではないかしら
今夜は関東は雪降るっていうし。
隠れちゃった春を呼び覚まそうと、パトリシア・プティボンを聴いたのに効果なし。

Bank_of_green_willow
ということで、ひとり寂しく英国音楽を。
それも、とびきり大好きな、フィンジクラリネット協奏曲を聴こう。

ジェラルド・フィンジ(1901~1956)は、白血病で54歳にして亡くなってしまうのだけれど、自己批判精神が強く、作品をかなり破棄してしまっていて、いま聴けるのは40曲あまり。
こうしたことや、父・兄・師の相次ぐ死による心の痛手と英国の田園風景・・・、これらは、こちらで何度も書いてきました。
 今後の可能性は、破棄したかに思われる作品の復刻。
こればかりは、わかりませぬが、出てくるかもしれない。

近代英国の作曲家たちは、多くが時代的にラップしていて、相互に交流があり、お互い影響しあっていたからおのずと自作に対して自ら厳しくなってしまうのではなかったろうか。
アイアランド、バックス、ハウェルズ、ウォーロック、みんな私の好きなナイーブ系作曲家たちがみんなそう。
ブリテンも、現在出版されている以外に、相当数の作品が残されていると聞く。

まだまだ楽しみの沢山残っている英国音楽であります。

死の淵をのぞき見てしまったような切実なまでに心に迫る音楽。

Hadano2
シリアスで、聴く者をいきなり思いつめたような状況に追い込んでしまう辛い音楽が第1楽章。ここには明るさを求めようと模索する気持ちも充満している。
 そして、最高に美しく甘味さまでも感じさせる第2楽章は、祈りと癒しの哀歌である。
せつせつと、涙に濡れたように歌われるクラリネットのソロに、弦楽オーケストラがこんどは楚々と答える・・・・。なんて儚く、悲しい、そして優しい音楽なのでありましょうか。
このところは、いろいろとあって、今宵はひとり、お酒を傾けながら聴いております。
外は春なのに、冬。
冷たい雨。
そんな自分の心に、ひたひたと寄り添うようにまとってきてくれる音楽。
そんなフィンジの音楽の典型が、こちらのクラリネット協奏曲の第2楽章なのだ。
思わず泣いてしまう。
 それが一転、終楽章のロンドでは音楽が飛翔し、こちらも心に光が射してくる。
明るく転結するかと思ったら、そうでもない。
どこまでも内面を見つめながら、聴く者を突き放すことのない美しい音楽なのです。

もし、まだ聴いたことがない方。
是非ともお聴きください。
たくさんCD出てます。

今日は、私のこれまた好きな指揮者、ブライデン・トムソンの指揮するBBCノーザンシンフォニー、そしてリヴァプール生まれの女流クラリネット奏者ジャネット・ヒルトンのソロ。
トムソンの指揮する一見無骨なまでのオケがこの曲の明暗すべてを表現しているようで素晴らしい。それと相和す、女性的な優しいクラリネット。

Hadano1
秦野市の名水・水無川沿いの桜並木。
Hadano3
夕闇せまる桜咲く街。
このあと、また冬がやってくるなんて、誰が予想しただろう。


フィンジの過去記事すべて

|

« シャルパンティエ 「愛はすべてのもに勝つ」 クリスティ&プティボン | トップページ | プッチーニ 「トスカ」 チューリヒ歌劇場 »

コメント

今朝は思わぬ雪景色に驚きました。
フィンジのこの曲、評判は色々目にしていて、是非CDを欲しくと思いながらも今だ未入手です。以前、NAXOS盤を買おうと思ってショップに行ったら、ちょうど品切れ。購入のきっかけを逃してしまいました。
今度是非入手して聴いてみたいと思います。

秦野にこんな素敵な桜並木があったのですね。
以前よく行った町ですが、知りませんでした。

投稿: golf130 | 2010年4月17日 (土) 10時17分

こんにちは(^^)

本当に4月かいな?って思うくらい寒かったですね。
雪が降ったところもあった様ですし。


さて、フィンジのクラリネット協奏曲ですが、先日モーツァルトの協奏曲とカップリングされた盤を見つけて買うかどうか迷ったのですが、今度ゲットしようと思います。

って、golf130さんと同じ様に品切れに泣かされたりして…

小さい町なのに(だから?)、結構そういう事があるんですよね。

よさそうなモノは即ゲットしなければ…。
↑などと言った結果が金欠病ですけど(^^;

投稿: ライト | 2010年4月17日 (土) 12時09分

golfさん、こんにちは。
ほんと寒いです。
熱燗がうまいです。

秦野は山に囲まれていて、高度・温度ともに差があるますからあちこちに自然があふれてます。
食べるものもうまいです。蕎麦も酒も。
そしてラーメンも、うまいぜベイビーですよ(笑)

あっと、フィンジですね。ナクソス盤はオススメですよ。見つかるといいですね!

投稿: yokochan | 2010年4月17日 (土) 20時13分

ライトさん、こんにちは。今朝は雪とみぞれと、激しい雨でぐちゃぐちゃでした!
これでいいのか、ニッボンって感じですよ!

フィンジのクラリネット協奏曲、是非聴いてみてください。
ご指摘の1枚は、ストルツマンのタワレコバージョンだと思います。
そちらよりは、ナクソス盤の方が私は好きだったりしますか・・・
あんまり先入観を与えちゃあいけませんね。
まずは素晴らしい音楽をお楽しみくださいませ。

投稿: yokochan | 2010年4月17日 (土) 20時21分

おはようございます。休日深夜労働でぼろぼろです。
フィンジで思い出したのですが、こないだネットで「フィンジのエクローグに出会えたことを神に感謝する」という意見がを読みまして、それを読んで「youtubeで聴いてみたらホントによかった。教えてくれてありがとう」って意見がその後2回も出てきたので、聴けば普通にみんなイイと思うんだなあと思いました。
フィンジは日本でももっと演奏されるべきですね。

投稿: naoping | 2010年4月18日 (日) 09時55分

naopingさん、こんにちは。
深夜労働ご苦労さまです!
厳しいですね、体気をつけてくださいよ!

そんなお疲れさまには、フィンジの心優しい音楽は最適です。
エクローグは、涙なしには聴けない名作ですね。
CDでもいくつか持ってますが、ひっそりとカップリングされていて主張しないものですから、どこに入っていたかわからなかったりします。
そんな類の音楽ですね。
そちらのyoutubeも見たことあります。いいです。
多くの方に聴いてもらいたいようでいて、人気が出ると困っちゃう、ひっそりと自分だけ楽しみたい音楽でもあったりします・・・。

投稿: yokochan | 2010年4月18日 (日) 11時21分

こんばんは。フィンジの「クラリネット協奏曲」
私が持っているストルツマンのは「5つのバガテル」やアシュモアが編曲したイギリス民謡「四季」「グリーンスリーヴス」と組み合わさっているリリックなコンビネーション。レギュラーで再発売して欲しいですね。
5月に入って今日までおてんと様の下でしかもこの日は真夏日。でも、明日から下り坂。また、気温も下がるし・・。天候不順はまだ、続きます。雨も降ると言われてます。そんな悲しき雨音と共に聴く曲となりそうです。
体調管理にはくれぐれも気をつけたいですね。

投稿: eyes_1975 | 2010年5月 5日 (水) 21時24分

eyes_1975さん、こんばんは。
私のストルツマンは、モーツァルトとのコンビでいまひとつなんです。
ほんとオリジナル盤の復活が望まれます。

連休も終わりましたが、やれやれです。
天気がよすぎるのも空しいものしたが、休み明けの不順天候もまた憂鬱なものです。
癒しの音楽ですね。

投稿: yokochan | 2010年5月 6日 (木) 00時09分

フォンジのクラリネット協奏曲、まだ生で聴いたことがないんですが、来月の芸大奏楽堂モーニングコンサートでやるんですよね。学生が貴重な舞台でフィンジにチャレンジする!というだけで無条件に応援したくなってきます。バックも湯浅卓雄氏のタクトとあって大いに期待できそうなのです。
問題は6月10日木曜日11時ということ。今から調整すれば休めるのか・・・・

投稿: 白夜 | 2010年5月 9日 (日) 15時08分

白夜さん、こんばんは。
ナイスな情報ありがとうございます。

フィンジの音楽は、歌曲以外は実演で接したことがないのですが、他の人と一緒に聴くのが怖い気もします。
ひっそりと聴きたい音楽の典型ですが、でもライブで聴いてどうなのか、どんな風に演奏するのか、とても興味があります。

なんとか、いろんなものをかなぐり捨てて聴きにいってみたいものです。

投稿: yokochan | 2010年5月 9日 (日) 21時48分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: フィンジ クラリネット協奏曲 ヒルトン&トムソン:

» クラリネット協奏曲(フィンジ)を聴いてみました [ミュージック・トリビアの世界]
 第1楽章:チェロから弦楽器が低音域で奏で、次第にキレが出てきた。クラリネットが柔らかく奏で、高音域まで伸びてきた。弦が高音域で揺らめいている。クラリネットも静かになり、次第にほんわかした奏で方となり、目まぐるしく変わってきた。弦にキレがあり、クラリネットがダイナミックになってきた。弦が渦を巻き、スピード感が出て目まぐるしいクラリネットが低音域まできて震えるように変わってきて締めくくる。  第2楽章:低音域で奏でるクラリネットが寂しげとなりながらスタート。クラリネットも高音域となり、静かな奏で方だ... [続きを読む]

受信: 2010年5月 5日 (水) 21時05分

« シャルパンティエ 「愛はすべてのもに勝つ」 クリスティ&プティボン | トップページ | プッチーニ 「トスカ」 チューリヒ歌劇場 »