神奈川フィルハーモニー創立40周年記念演奏会 金聖響指揮
新緑の日本大通り。
おいおい、ベイスターズ頑張ってよ。
強いんだか、弱いんだかわかんないよ。
今にも泣きそうな空のもと、今日はいつもの「みなとみらい」を対岸から望む。
日本で、新国が出来るまえの、オペラのメッカは文化会館に、NHKホール(?)、県民ホールでありました。
その県民ホールで、神奈川フィルハーモニーの創立40周年記念演奏会。
1970年、万博の年の創立。
世界的にも珍しいプロオケの複数乱立する東京圏のオーケストラの中にあって、神奈川という地元のみならず他県にも特化しつつ、首都圏のオーケストラとしてユニークな存在として独自性を築きつつある神奈川フィル。
40年前は、わたくしは小学生。
早くもクラシックファンでして、万博来日ラッシュバブルでスゴイ演奏家が来日しまくり、テレビや雑誌に夢中だったなぁ。
そんな時代がスタートの神奈川フィル。
40周年おめでとうございます!
そして、今後の発展も心より期待したい、郷里のオーケストラであります。
聖響マーラー、キターッ
マーラー 交響曲第2番「復活」
S:澤畑 恵美 MS:竹本 節子
金 聖響 指揮 神奈川フィルハーモニー管弦楽団
神奈川フィル合唱団
合唱音楽監督:近藤 政伸
コンサートマスター:石田 泰尚
(2010.5.29@神奈川県民ホール)
金聖響と神奈川フィルにしかできない、素晴らしいマーラーだった
ずっと感動しっぱなし。
終楽章、クロプシュトックの讃歌が合唱で静かに歌われだすと、涙がにじんできた。ついで、澤畑さんのクリーンなソプラノがそこに加わると、私は堪えてきたダムが決壊したかのように、涙があふれだした。
竹本さんの豊かなメゾも加わって、徐々に盛り上がりを見せ、いやがうえにも感動が高まってゆく。
ここで没頭のあまり興奮にのめり込まないのが聖響マーラーで、クリアーさを保ちつつも、音楽の力だけで、最高のクライマックスを築き上げたのだ
わたしはもう、もう、くちびるワナワナ状態で、涙ボロボロ。恥ずかしいくらい。
大きなホールは、ものすごいブラボーに包まれたのであります
先週あのゲルとかいう「へっぽこ指揮者」に惑わされたのがウソみたいな1週間後。
古典・ロマン派周辺音楽では、わたしには受け入れがたい金さん。
そんなものをすべて、忘れさせてくれちゃうマーラーの演奏の素晴らしさ。
ホールの違いも手伝って、より自然児的だった先月の「3番」の方がよかったけれど、今回の「2番」もホントよかった。
音像が遠くに感じられホールに戸惑ったのは、みなとみらいに慣れすぎてしまった贅沢か。でも、それも1楽章の最初の方だけ。
暗く破滅的な部分と、優しく美しい場面が交錯する奇矯な第1楽章をこんなにも見通しよく、すっきり聴かせてくれるなんて!
1楽章からして、本日のマーラーの成功を確信できた。
マーラー指揮者の試金石のような、第1楽章の中間部。
休止のあと、低弦がうごめくように、這い上がるようにして刻んでくる場面。
ここの間とピアニシモの加減が絶妙で、しかも一音一音が克明に聴きとれる。
山本さんと三宅さん、その後ろにも主席級が贅沢にも並んだチェロセクションの威力は最強。
2楽章も、そのチェロの素晴らしさが随処に聴きとれる場面が満載。
ビオラも存在感たっぷりだったし、そう、この日、対抗配置の良さを実感できたのが、第2ヴァイオリンの重要性。柳瀬さんと小宮さんの存在感が光るし、第1ヴァイオリンからシフトされた奏者の方々がますます機能して、石田イズムも行き渡っている。
マーラーはビオラや第2ヴァイオリンにも重要な役割を与えているのが、実によくわかり、それがしっかり見てとれたのである。
完全に歌曲の世界だった3楽章は心弾むようで、聴いていて指が、やがて体が動きだしてしまう。トランペットで歌われる中間部ののどかな夜想曲に酔いしれる。
そして、突如現れる、やがてくる悲劇の予感のファンファーレ。
こうしたジェットコースターみたいな、なんでもありのマーラーの世界を、聖響さんは、素直に、自然体で描いてくれた。
幽玄さよりは、優しい眼差しを感じた美しい「原光」の第4楽章。
そして長大な終楽章は、先に書いたとおり、頂点にむけ、私たちの新しいマーラーの誕生に向けてどんどんと高まっていった。
「復活」を初めて聴いてもう30年以上。その時からもっとも好きな、カッチョイイ場所。
アフターコンサートでも、その話題で盛り上がった。
弦の勇壮な刻みのうえにトランペットが行進曲風に復活主題を奏でる。
ここでの聖響さんの指揮。自分ならあんな風にして指揮してみたかったと思わず感じ、共感できる素晴らしさ。痛快かつ、解放的なマーラーの響きに陶酔してしまう。
豪華木管陣の活躍に、スコア通りの大盤振る舞いの金管、ムチの音が目立ちすぎたけど、毎度見事な打楽器のみなさん、真摯な合唱・・・、もうみんな誉めちゃう。
そしてカナメは、やはり石田コンマス。
聖響さんも、感謝のしるしを示されてました!
いつもけなしてしまうのに、手のひら返しと言われてもしょうがない。
聖響&神奈川フィルのマーラーは、素晴らしいんだもん。
何がいいかって。
まず、自然体で全体の見通しもよく、内声部まですっきり聴こえる。
ガンガン鳴る激しいマーラーとは縁遠く、とても繊細デリケート。
オーケストラの美音も堪能できるし、指揮者の素直な感性が、そのままマーラーの音になって出てくる。
これって、ワルターやバーンスタインではチンプンカンプンだった私が、マーラーに開眼したアバドやメータ、レヴァインたちの若いマーラーを思い起こさせるんだ。
聴いていて、あの若き頃を思い出してしまった。
ノスタルジーに浸ってばかりもいられない。
復活の思想よろしく、気持ちを甦えらせて、日々頑張んなきゃ
と、いう前向きな思いにさせてくれた素晴らしいマーラーでした。
松沢知事と金さんのツーショット。
終演後のレセプション。
神奈川フィルの顔のお二人のツーショット。
ポーカーフェイスで面白いこと、ポロっというお二人。
ナイスな方々でございます。
そして、こんな目の前で聴いちゃった。
ヘンデルの「パッサカリア」の唖然とするくらいに鮮やかでしなやかな演奏に、あやうくマーラーも霞んでしまうところだった。
この二人の音色こそ、神奈川フィルそのものですね
ここに、山本さん、石田さん、金さん写ってます。
おまけに、林市長までいらっしゃった。
いまちょうど、テレビつけたら玉木さんが喋ってる。
私の席の近くにいらっしゃいましたし、俳優さもちらほら。
こんなゴージャスな雰囲気だけど、鳴った音楽は、真摯なるマーラーでありました。
レセプションでビールと、保土ヶ谷「じゃがいも焼酎」=「ほどじゃが」を飲んでいい気分。
酔いが醒めないうちに、ホール裏手の蕎麦屋さんで、「勝手に神奈川フィルを応援する会」の定例会を。
日本酒利き酒。これを何度もおかわりしてしまう私たち。
だって、気分いいんだもん。
前回は、こんちくしょう、二度と来るな、だったけれども(笑)
そこで思いついたこと。
聖響さんのレパートリーは、ケント・ナガノを参考にしたらどうだろうかと。
後期ロマン派・新ウィーン楽派、近代ものあたりをどしどしと。
それこそ、勝手に言ってます、わたしたち。
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コメント
ははっ、前にもyokochanさんに申し上げましたでしょ、金印のマーラーはいいって。僕はりゅーとぴあで聴いてますもん、金印「復活」。ミッチーより数段上でしたからねぇ。今のところライヴで聴いた「復活」の№1です。神奈川フィルだから、東響よりもっと繊細な演奏でしたでしょうが。全曲、やるんでしたっけ。そしたら7番以降のコンサート、僕も来年は参戦しますよ。
投稿: IANIS | 2010年5月30日 (日) 18時54分
こんばんは。どうやら金さんは古典物よりもマーラーが合っているようですね。シエナ・ウィンドと共演したことも実績に入っている。
「復活」は十八番にしているメータ(2種)アバド(ウィーン・フィル)バーンスタイン(再録)。マニアックなところではブロムシュテット、サンフランシスコ響が近未来を思い起こさせるようでした。
投稿: eyes_1975 | 2010年5月30日 (日) 20時58分
IANISさん、毎度です。
そしておみそれいたしやした、兄貴!
いつも酔ってるから忘れてしまいました(笑)
金印マーラー、おっしゃってましたねぇ~。
いまさらながらに納得。
うれしい、われらがマーラーの誕生にございました。
今年から来年にかけて、横浜マーラー祭りでございます。
演奏しない番号もあるみたいですので、適宜ご連絡いたしますね。
ちょっと手前味噌ながら、横浜からマーラーの新風を発信したい、そんな素敵な演奏でした。
投稿: yokochan | 2010年5月30日 (日) 21時31分
eyes_1975さん、こんばんは。
そうなんですよ!
金さんはマーラーでした。
うれしくって、昨晩は大いに盛り上がり、飲みすぎちゃいました。
古典が振れなくちゃダメ、とかいった概念は、もう、かつてのことで、今の時代、いきなりマーラー指揮者でいいんじゃないかと思います。
ご指摘されたCDも、実に素晴らしい演奏ばかりですね!
ブロムシュテットは、確かにマニアックです。
サンフランシスコなところもうそうです!
自分的には、これらの名演CDに勝るとも劣らない聖響&神奈川フィルのマーラーでした。
一度お聴きいだきたいです!
投稿: yokochan | 2010年5月30日 (日) 21時39分
当日はお世話になりました。
金印の名品めっけ!と言ったところでしょうか?
本当に2度にわたって納得のマーラーでした。
都響の復活に行けなかったのが今になって勿体無かったかも。
今回ばかりは3番に次いで、手放しに賞賛です。
ニールセンとか?スヴェンセンとか?
ベルワルドとか?シベリウスとか?
が金氏は良さそうと思えた、そんな1日でした。
では、我らが現田氏のカルミナの時にまた。
投稿: スリーパー | 2010年6月 1日 (火) 01時24分
どうも先日はありがとうございます。
それにしてもいいマーラーでした。
神奈川フィルのシェフとして、いや、私たちの指揮者としてどうしても納得できなかったのでしたが、それもこれもこのマーラーで全部帳消しです。
楽しみになってきました。
本当に神奈川フィル、良かったです。
でもあの坂の上のなんとかはやっぱりああなのでしょうね。
今週末は現田さんです。
またよろしくお願いいたします。
投稿: yurikamome122 | 2010年6月 1日 (火) 12時59分
おヒサシでございます(^^)。
ヨカッタでしょっ?金さんのマーラー。だぁから云ったじゃないですか(爆)。。。云ってないですねm(_~_)m。
ワタシは2年前に聴いた東響との復活にたいそう感動しました。ワタシもマーラーを主に後期ロマン派が水に合っておられるような気がします。
投稿: 左党 | 2010年6月 1日 (火) 21時20分
スリーパーさん、こんばんは。
先日もどうもでした。
予想もしなかった金印マーラー。
定番となりますね、これ。
次のマーラー定期が待ち遠しいなんて、いいんでしょうか(笑)
北欧系、どうでしょう。
金印2号か、まったくの逆か、どちらかのような気がしまして、それはそれでめちゃくちゃ期待です。
なによりもオケの持ち味にあってますね、北欧系は。
カルミナ、楽しみにしております。
投稿: yokochan | 2010年6月 2日 (水) 00時38分
yurikamomeさん、こんばんは。
なにかとお世話になりました。
このコンビのマーラーのよさは、確信となりましたね。
ともかく胸をなでおろす思いです。
あの変な田園のあとだけに、よけいに良識を感じさせるマーラーでした。
坂の上、あと、ミューザ・シューマン太郎もありますが、それらは想定内として受け入れるゆとりも生まれた感あります~。
わたくしも、神奈川フィルを応援してまいりますので、よろしくお願いします。
投稿: yokochan | 2010年6月 2日 (水) 00時42分
左党さん、こんばんは。
こちらこそ、おヒサでしてすんません。
聖響マーラーにびっくりでしたよ。
すでにそのよさに堪能されてらっしゃるのですね。
そうと知ってれば、文句ばっかり言うんじゃなかった、と思うのですが、やはり好きになれない演奏もありますからね。
まだ若い聖響さんですので、適正ありそうな後期ロマン派を極めてから古典に行ってもいいのではないかと思います。
投稿: yokochan | 2010年6月 2日 (水) 00時49分
こんにちは。たくぽんです。
以前からずっと拝見させていただいております。
音楽への深い共感を文章に著されていて、「私も頑張らなければ!」と袖を正してきました。
聖響さんのマーラー、素晴らしいようですね!私が以前聴いたときは、味も素っ気もない棒だなぁ・・・と思ってしまいましたが(スイマセン
)、その時の曲目は確かベートーヴェンだったなぁ、と今思い出しました。神奈川フィルともども、私も今度聴きたいです。
さて、私事で誠に恐縮ですが、先日ブログを開設いたしました。若輩者の戯言ではありますが、遊びに来ていただければこれない喜びです。
投稿: たくぽん | 2010年6月 7日 (月) 20時28分
たくぽんさん、こんばんは。
どうもはじめまして。コメントありがとうございます。
日々、適当なことをダラダラ書きしてるだけに、恥ずかしい思いで一杯です。
お若い方にご覧いただいていると思うと、こちらこそ、しっかりとしなくてはと思います。
聖響さんの古典・ロマンは、いまのところ私には今一つでして、発展途上というところでしょうか。
ですが、マーラーは、彼と神奈フィルにしかできない素晴らしい演奏だと思います。
是非、お聴きになってみてください。
そして、ブログ開設おめでとうございます。
あとで、お邪魔しますね。
どうぞ、よろしくお願いいたします。
投稿: yokochan | 2010年6月 7日 (月) 23時19分