フォーレ ピアノ四重奏曲第1番 ユボー
ガクアジサイ、「墨田の花火」という粋な名前がついてます。
気がついたらそこらじゅう、紫陽花が満開になってる。
そして、鬱陶しい梅雨に色どりを与えてくれる。
意外に思われるかもしれませんが、レクイエム以外のフォーレの音楽に目覚め、音盤を鬼集したことがあります。
フランスに初めて行って、おフランスの香りを嗅いでしまってからであります。
もう20年以上も前のことにございます。
ヨーロッパは地続きだけど、川や国境を超えると国柄も人柄も全然ちがう。
そんなことを思い知ったのは、ドイツからフランスにひとっ飛びしたときだ。
なにもかも違う。驚いたね。
さらに後年、英国と仏国を交互に訪れたときもそう。
いろんなフランス系作曲家の作品を集めたけれど、いちばんしっくりきたのが、フォーレでありました。
浮ついたところがなく、でも適度にフランス的な官能と情熱が溢れている。
でも宗教的なストイックなところもあったりで、なかなかに多面的な作曲家でもあるんだ。
日曜の夕方、室内楽作品や歌曲、ピアノ曲などを聴きつつ、葡萄酒などを傾けたりするのが最高の楽しみだった。
いまは、そんな呑気なことしてらんないけど、今度は休日の朝早く起きて、熱いお茶をすすりながら、フォーレを聴くのが好きだったりします。
フォーレの室内楽曲は全部で10曲あって、そのなかでも一番有名で、メロディアスで聴きやすいのが、ピアノ四重奏曲第1番ハ短調。
作品番号は15で、フォーレ34歳の比較的初期作品で、4つのそれぞれ明確な楽想を持つわかりやすい構成となっている中にも、豊富な溢れ出るメロディが耳に心地よく、4つの楽器の対比も明快。
なかでも夢幻的で陶然となってしまう第3楽章のアダージョが素晴らしくて、ここが大好き。
ロマンの極みであります。
その極みといえば、第1楽章。一度聴いたら忘れらない熱っぽい素晴らしい旋律で開始され、次の主題は、うって変わって愛らしい。この二つの旋律が絡みあうさまが素敵すぎ。
スケルツォは、コロコロと転がるおフランス調。
終楽章は、ロンド形式でとらえどころがないが、フォーレ独特のリズムの刻みが心地よい酩酊感を生む・・・。
平日の夜だけど、久しぶりのフォーレのこの作品。
3回も聴いてしまった。
テレビでは、NHKで「ミス・ポター」をやっていて、美しい英国の湖水地方に見入りながら、フォーレを聴くという、なんともアンバランスなことになってしまったけれど、曲は止められず、これはこれで何だかマッチしてたような、してなかったような・・・・。
ピアノ:ジャン・ユボー ヴァイオリン:レイモン・ガロワ=モンブラン
ヴィオラ:コレット・ルキアン チェロ:アンドレ・ナヴァラ
(1969.5月)
このメンバーで、フォーレ室内楽を全部そろえてしまった。
まったくもって芳香にあふれた、素晴らしい演奏であります。
これを機に、フォーレ作品もシリーズ化しよっと。
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コメント
こんばんは。
あじさいの写真、とてもキレイですね。
本物も見たいものです。
というか、もうあじさいって咲いてるんだっけ?
などとまったく季節感の無いことも思っていたりします。
このまま行くと夏頃になってから今年はあじさい見てないな~、とか言い出しかねません(^^;)
今回のフォーレのピアノ四重奏曲、聴いたこと無いですね。
ヴァイオリンソナタは聴くので、何度か他の室内楽曲も聴こうかとは思っているのですがなかなか。
とりあえず(予算の都合で)図書館で探してみようと思います。
投稿: ライト | 2010年6月16日 (水) 21時23分
LP時代、レクイエムにハマり、歌曲やオーケストラ曲も素晴らしいと思ったフォーレですが、何故かピアノ〇重奏曲で挫折しました。2、3枚買ったのですが、どうしてなのか馴染めなくて。
再チャレンジしなきゃとずっと思いながら今日に至っております。
投稿: golf130 | 2010年6月16日 (水) 23時17分
golfさん、こんにちは。
昨日は飲み過ぎて、前後不覚、ご返事遅れました。
フォーレの室内楽に関しましては、わたしも似たようなもんでして、時折、しっかり聴いてやろうと思い、連続聴きにチャレンジしますが、長続きしません。
ついつい、日頃のジャンルに流されてしまいます。
これを機に、シリーズ化してみます。
と、宣言してみます(笑)
投稿: yokochan | 2010年6月17日 (木) 19時36分
ライトさん、こんにちは。昨日は酔っ払いでした。
朝から、お腹いっぱいだな、と思って、ごみ箱見たら、牛丼食ってました(笑)みんな忘れてしまいます。
さて、あじさい。
満開ですよ、各所で。
強い花ですから、思わぬところに咲いてますから、探してみて下さい(笑)
で、フォーレ。
ピアノの重奏曲では、三、四、五とありますが、こちらの曲が一番聴きやすいかと思います。
是非聴いて、うっとりしてみて下さい。
投稿: yokochan | 2010年6月17日 (木) 19時45分
こんばんは。今日は梅雨の中休みでしたね。
ユボーのCD。エラートの「全集」2枚組を2つ揃えてます。フォーレの「室内楽曲」何を聴けばいいかわからなくてね。「ピアノ曲」もあります。ユボー独断の場でしょう。これで一通り聴くことができます。ローカル色がありますね。
ガクアジサイって盛りが過ぎるとボロボロ落ちてしまう。
明日から梅雨に戻ってしまいます。でも、紫陽花にとっては最適な気候でもありますね。
投稿: eyes_1975 | 2010年6月17日 (木) 20時52分
eyes_1975さん、こんばんは。
ユボーのこれらのフォーレは、もうまさにフランスそのものです。
ピアノソロの録音もフランスものでありますので、いずれ揃えていきたいと思ってます。
このアジサイも、ポロっと落ちちゃうんですが、枯れて焼けてしまうより、潔くていいかもしれませんね。
明日からまた梅雨空。紫陽花が映えそうです。
投稿: yokochan | 2010年6月17日 (木) 23時42分
こんばんは。フォーレは僕も凝って色々聴いたことがあります。独特の雰囲気があっていいですよねー!
僕の1番のオススメは、弦楽五重奏曲です。特に2番は好きです。こんな曲、フォーレ以外誰も作り得ないと思います。
(因みに僕もニャンコ飼ってます!)
投稿: 山元 光 | 2012年9月 7日 (金) 19時42分
山本光さま、今回もコメントどうもありがとうございます。
フォーレはレクイエムやベルガマスクばかりでなく、ピアノ曲と室内作品にも、その真髄がありますね。
シリーズしようと思ったのに、結局そのままだったりするところが、フォーレのまたとらえどころない、音楽の不思議な魅力でして、熱中しなくてはいけないのでしょうね。
本格的な秋になったら、おすすめの五重奏を聴いてみたいと思います。
我が家では、猫飼いが無理な環境なので、野良で遊んでます(笑)
投稿: yokochan | 2012年9月 7日 (金) 23時07分