マクダウェル ピアノ協奏曲 アマート
旭川の市民の憩いの場、常磐公園。
出張時、ホテルで朝からおいしい食事をとってしまったあと、腹ごなしに散策。
ちょうどほころび始めた桜がピンク色になりつつあるころ。
春はこれからといった、ちょっと寒い雰囲気だけど、今頃は一気に初夏に向けて駆け抜けるような雰囲気になっていることでありましょう。
北国の春と夏は境が希薄で、ある意味うらやましい。
でも冬&雪の厳しさは大変です。
エドゥワルド・アレクサンダー・マクダウェル(1860~1908)。
ご覧の生没年のとおり、早世組の世紀末作曲家。
両親がアイルランドとスコットランド系のアメリカの作曲家であります。
でもですね、われわれがイメージする後期ロマン派・世紀末音楽とは無縁の、ロマン派どっぷり一直線の作曲家。
しかし、もう少し長生きしていれば、アメリカの風土に根差し、かつ映画音楽なども意識した、そう、コルンゴルトのようなアメリカ輸入発信の作曲家になっていたかもしれない。
そう思うのは、マクダウェルはヨーロッパ、それもフランスとドイツで学んだ本流であり、ラフの弟子となり、リストと交流をもったことで、ピアノ音楽を極め、当時のヨーロッパの本格的な流れに身を置くことができたゆえに、帰国後も完全なロマン派作曲家として生きたから。
でも、アメリカ先住の民謡などを研究したりしたみたいだから、そんなミキシングが、後年どんな結果を生んだかは、想像するだに楽しいものがある。
ピアノ音楽の多いマクダウェルの作品の中でも、もっとも充実しているのが、ふたつのピアノ協奏曲。
どちらも初期の作品ゆえ、ロマン派臭満載であります。
1番イ短調は、22歳の作品。
北欧の民族的な雰囲気を感じさせる点で、これはまさにグリーグ。
でも、一方でかっちりした構成とドイツ風な生真面目さを感じさせる点で、英国のスタンフォードみたいにも聴こえる場面もあり。
マイナー曲の宿命で、○○に聴こえる、と言われ、例えられてしまうのが申し訳ないけれど、これはこれで、2楽章など、あらたなグリーグ作品の登場とも思わせ、うっとりとさせてくれます。
それでもって、弾みはじける3楽章は、一度聴いたら忘れられないんですよ。
いい曲だわ。
2番ニ短調。こちらも短調がメインの作品。
マクダウェル28歳。
さらにロマンテック、そして歌謡風になりメロディアス。
1楽章は、私には、イタリアのヴェリスモ作曲家のような抒情と激情の交差する音楽に聴こえた。さらに新世界の4楽章の旋律にも似てるし。
どうしても比較の聴き方になってしまいますが、マクダウェルの曲は亜流じゃなくて、後ろ向きロマンティズムがたまらなくいいんです。
この曲は3楽章形式ながら、ちょっと変わっていて、1楽章は緩→急、2楽章はプレストの急、3楽章が緩→急。
それで、2楽章のスケルツォみたいな楽章が、これは例えるならばサン=サーンス。
軽やかで、洒落た雰囲気。
3楽章は、まるで交響曲の終楽章。
冒頭の新世界みたいな主題が回帰し、それを中心にしてかなりあっけらかんとした展開と終結を迎える。
シンフォニックな2番です。
ピアノを弾く、アメリカのドナ・アマートも、ロンドン・フィルを指揮する同郷のフリーマンも、名は高名ではないが、快活でのびのびした演奏に徹してます。
これでいいのではないでしょうか。
歌曲に有名な作品があるらしいマクダウェル。
覚えておいて損はない、ヨーロピアンなアメリカン。
ちなみに、その死が不幸でして、馬車にはねられてしまって不随になってしまったことからといいいます・・・・。
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