ベルリオーズ 幻想交響曲 小澤征爾指揮
木の陰からあらわれた旅客機。
成田空港のそばです。
着陸するところの、ブリティッシュ・エアライン。
こちらはデルタ航空機。
写真だとそうでもないけど、実際に見てるとなかなかの迫力なんですよ。
海外からの各国機が、ひっきりなしに飛んできて、また飛んでゆく。
ここから一望すると、すごいラッシュだし、空港のキャパは満杯。
成田空港まで、我が家から車で高速利用で30分。
羽田より近いのがなんとも・・・・。
でもこうして誰がみても、問題ありすぎの空港だけど、ずっと海外への玄関だったことに変わりはなく、思い出もそれぞれ。
思い出といえば、昨日、食道癌から復帰した、小澤征爾さんに関してはたくさんあって、それも中学・高校時代の懐かしい思い出と結びついているんだ。
サザンの桑田さんは、大学時代の身近な存在だったし。
その小澤さんも、もう74歳。
昨日の会見で、痩せてお爺さんみたいになってしまった姿を見てびっくりした。
病からの復帰というのは、とても嬉しいことだけれど、すごく体力を消耗してしまったのでありましょう。
さっそく指揮する小澤さんの映像が流れていたけれども、痛ましいくらいに思った一方、鬼気迫る尋常ならざる気迫、そして同時に極めつくした修行者のような澄みきった目を感じた。
胃癌克服の時のアバドの壮絶な指揮ぶりも思いおこしてしまう。
ともあれ、小澤さんの復帰を心から祝福したいと思います。
今日は、ちょっと早いけど、月イチ「幻想」。
たくさん集めたベルリオーズの幻想交響曲を、毎月聴くシリーズ。
音楽史上でも実に長かったコンビ、小澤征爾とボストン交響楽団の音楽監督就任後の初録音だったと記憶する。
RCA時代にいくつかあるけれど、ボストン響がDG移籍後、小澤と入れた第1弾で1973年の録音。
当時サンフランシスコと掛け持ちだったけれど、名門オーケストラを前に少しも委縮せず、切り込み鮮やかで清々しいベルリオーズを堂々と聴かせてくれる。
まだ38歳の小澤さん。その年齢を考えれば、もっと大胆に振る舞っていいのではと、かつては思えたが、さわやかとも思える抒情味と豊かなリズム感がいま聴いてみると実に特徴的で、スピード感あるしなやかさも誰の幻想にもないものだ。
早めのテンポで、一気に駆け抜ける感もある後半は、欧米の伝統あるクラシック社会に、刀一本で切り込む若武者のようであり、実に爽快。
私はふた周り下だけど、小澤さんの若き日の自伝にある通り、船で苦労しながらヨーロッパに渡り、ブザンソンまで駆けあがっていった冒険心とバイタリティに、大いに共感した世代であります。
いまや隔世のストーリーだけど、日本人が西欧音楽を、しかも西欧のオケを目の前にして指揮することが奇異だった時代を切り開いた小澤さんは、本当に私たちのヒーローといってもいい存在であります。
この爽快な幻想を聴いて、小澤さんの今後の活躍がまた楽しみになりました。
ユナイテッド・エア機。
かつてのアメリカは、パンナムだった。
小澤&ベルリオーズを暑い夏にちょっと特集しようかしら。
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コメント
おはようございます。小沢先生、TVやネットで拝見しました。大丈夫か。。。。考えてみると私の親と同じくらいの年齢なんですね。74歳か。以前から痩身で「ちゃんと食べてますか」と心配したくなるくらいだったのですが、今は痩身じゃ済まないレベルになってます。ボストン時代の小沢先生演奏の感想。①すっきり②ムダにいじらない③言いたいことはストレートにいう、と、こんな印象です。若かった私は、その演奏の大ファンでした。指揮ぶりも大好きです。不健康のせいで、指揮の動きが少なくなるとかなんでしょうか。その昔、マタチッチもベームもなんならムラビンスキーも大振りだったと聞きました。その後、晩年にはすっかり体力もなくなり枯れ果てて小振りな指揮になったと聞いたことがあります。小沢先生には、最後まで元気な指揮であって欲しいと思います。
投稿: モナコ命 | 2010年8月 4日 (水) 07時51分
モナコ命さん、おはようございます。
小澤さんの痩せてしまった姿に痛々しい思いを抱きましたが、自身で第二の人生とおっしゃるように、今後の音楽がどのようになってゆくか、見守りたいです。
ご指摘の3つの特徴、多いに賛同です。
ボストン時代の小澤さんは、一番聴いていた頃でもあり、後年より好きです。
しっかし、ムラヴィンスキーの大振りは想像もできませんねぇ!
冗談で、ライナーとともに、望遠鏡で覗かないとオケからはわからない指揮と言われてた閣下でした(笑)
投稿: yokochan | 2010年8月 4日 (水) 08時39分
さまよえる様の書き込みから、もしかして、さまよえる様と私は同い年かもしれません^^;
これからもよろしくお願いします。
投稿: モナコ命 | 2010年8月 4日 (水) 15時04分
モナコ命さん、こんばんは。
今日はコンサート後、飲んだくれでして、ただいま帰宅途中です(笑)
たぶん、コメントのやり取りの端々に、わたしも同世代でありましょうことは感じておりました。
こちらこそ、よろしくお願いします!
投稿: yokochan | 2010年8月 4日 (水) 23時03分
小澤征爾さんのあのお姿を思い出すと、頑張っていただきたいと思う反面、胸が痛みます。
でも、最後に「パンナム」の文字を目にしたときは目頭が熱くなりました。
世界のパンナム、あれほど憧れた航空会社は今までもこれからもきっとないことでしょう。
わたくしは若干若い世代かな~、なんて。
投稿: moli | 2010年8月 8日 (日) 13時44分
moliさん、こんにちは。
小澤さんの復帰は喜ばしいですが、あんまり早くから無理しないでいただきたいですね。
まだ心配ですしね。
パンナムに反応いただけるなんて、ウレシイ!
もはや、私にとっては、ノスタルジーの象徴であります。
父親の仕事の関係で、小学校時代にパンナムの下敷きをもらってとても大事にしてました。
それと、なんといっても「兼高かおる 世界の旅」でございましょう。
八十日間世界一周のテーマとともに、パンナムは世界への窓口みたいな憧れの存在でしたぁ!
完全に古い人間でございます(笑)
投稿: yokochan | 2010年8月 9日 (月) 12時35分
初めまして!!Guinnessと申します。
最近yahooブログでの拙ブログにて幻想交響曲の聴き比べを丁度行っており、貴兄のブログにヒットしました。
小澤の演奏DGのボストン響との物ですが、LP以来20年振りのCDでの視聴ですが、私が持っているLPよりCDの方が録音が鮮やかで、想いの他いい演奏だと改めて感じてた次第です。
以前のトロント響やサイトウキネンとの演奏は未聴ですが、小澤にとっての幻想は只ならぬ曲なんだなーと勝手に想像します。
投稿: Guinness | 2010年9月 9日 (木) 13時02分
Guinnessさん、はじめまして。
コメントありがとうございます。
幻想の聴き比べをされてらっしゃるとのこと。
この曲は、いろいろと聴きたくなる魅力を秘めてますよね。
私もそのひとりです(笑)
私も、小澤盤はレコードから入りましたが、強奏では音がビリ付いてしまいました。
CDでは心配いりませんし、繊細さが際立った感じです。
私も小澤さんのほかの演奏は聴いてないのですが、欲をいえば、パリ管あたりとも録音しておいて欲しかったものです。
早く元気になって、円熟の幻想も望みたいところですね。
ありがとうございました。
投稿: yokochan | 2010年9月 9日 (木) 21時59分