神奈川フィルハーモニー@ミューザ川崎 金聖響 指揮
あちぃ~川崎です。
フェスタサマーミューザKAWASAKIの、神奈川フィルハーモニーの演奏会に行ってきました。
それも、水曜日の午後3時、という誰が行けるんだ、というシチュエーションのコンサートにさりげなく。
シューマン 歌劇「ゲノフェーファ」序曲
劇音楽「マンフレッド」序曲
交響曲第2番
金 聖響 指揮 神奈川フィルハーモニー管弦楽団
(2010.8.4@ミューザ川崎)
酷暑の平日昼に、このような渋くも意欲的なプログラム。
シューマンイヤーに相応しい、正味70分のコンサートだったけれど、会場は6割ほどの入り。
そりゃそうですね。
しかし、暑さを一時忘れさせてくれる爽やかなシューマンが期せずして聴くことができた。
それにしても、シューマンのオーケストラ作品のなかでも複雑な佇まいを見せる晦渋3作品。
唯一のオペラ作品にして来年2月本格上演が予定されている「ゲノフェーファ」は、そろそろ聴きこみ準備に入りたかった曲で、オペラの開始に相応しい、喜ばしい雰囲気も聞かれる桂作。
そして演奏回数は多いけれど、その暗い雰囲気に息が詰まるくらいで、緊張に満ちた「マンフレッド」。
昨年のシュナイトさんの壮絶な長大な演奏がまだ耳に新しい。
そして、第2交響曲は、そのシュナイト翁の指揮で、まさに耳から鱗(?)の歌う大交響曲的演奏を聴いたのが一昨年。
聖響&神奈川フィルは、こうした忘れえぬ前任者の演奏とはまた違う次元でもって、わたしを納得させてくれるシューマンを紡ぎだしてくれた。
ロマンがどうのコクがどうのこうの言っても始まらない。
マーラーやメンデルスゾーンの時と同じように、聖響さんが感じたままを何の作為も要せずに、素直に表出していて、それを神奈川フィルがすんなりと受け止めて、ただでさえ美音のオケが良質のサウンドでもってホールを満たしてゆくっていう感じ。
その瞬間の連続が極めて好ましく、薄口ではあるけれど、こんな音楽造りは私はとっても好きだな。
聖響さんのピリオドへのこだわりは、今回も少なめ。
教条的なまでのピリオド奏法と、通常奏法の中間に位置するような、ヴィヴラートやや弱めの立ち位置か。
曲やホールなどによって、フレシキブルに変えつつ思考錯誤していけばよいと思っている。
それもこれも、素晴らしいマーラーを聴かせてくれたものだから、毎度聴いてるこちら側にも気持ちのゆとりと、愛着が出てきているのであります。
ともかく、彼等は若い。
若いゆえに、その時にしか聴かせてもらえない若竹のような演奏をしてくれればいいのです。そして、成長や停滞もあるかもしれないが、それもまた楽しみたいのです。
げんきんなもんです、あんなにブーブー言ってたのに。
まだ油断はできないけれど、私の方もだいぶ受け止め方がわかってきた。
でも、「田園」やったあっちのゲルとかいう若造はもうイカンよ!
第2交響曲は冒頭、金管がまともにこちらを向いていて、モロに耳に飛び込んできてバランスがどうかとも思ったけど、手探りの状況から主部に入っての弾むような音楽の運びにワクワク感を募らせることができたし、爽快な2楽章もキマってる。
そしてなんといっても、第3楽章。
シュナイトさんが歌うことに徹底してこだわり、そこに甘味なまでの陶酔感を漂わせていたのに比べ、ここに聴かれた美しい歌は、日本の風景、それも稲の匂いを感じさせるようなグリーンな風景。
とってもよかったし、神奈川フィルの魅力満載だった。
そのあとの終楽章も一転、アタッカで突入するところも効果的。
それにしても、シューマンは弦楽器が大変。常に、すばやいパッセージをギコギコこなしていなくてはならないし、それが浮かび上がってしまってもいけないし、埋没してしまっても中声部がスカスカになってしまう。
シューマンをライブで聴く楽しさは、そのあたりを観察することにもあって、神奈フィルの皆さん、最後のティンパニ連打の大団円まで、聖響さんとともに大いに盛り上げてくれましたね。
とっても気持ちのいいシューマンでした
9月定期は、最愛のR・シュトラウス。「ドン・キホーテ」であります。楽しみ
平日でも、どこからともなく、いろんな理由をこじつけて集まってしまう「懲りずに応援するメンバーたち」。
ホールを出たらまだ16時30分。
ぎんぎんに明るい
あそこに行くしかない・・・・、ディープな川崎らしい朝からやってる大衆酒場
「丸大ホール」であります。
味ありすぎの、おばちゃんたちと会話しつつも、白昼堂々と飲む。
まわりは満席で、それこそ職種の坩堝。
愉快愉快、安い安い・・・・・。
ねっとり感ある、まぐろ刺し。 そしてデカ盛りポテトサラダ。
そして、神奈川らしく、キスの天ぷら。
これ絶品でしたわ
で、またもや懲りずに終電コース。
湾岸半周したら、日付が変わってましたよ。
どんだけ飲んでんでしょうね。お付き合いありがとうございました。
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コメント
わたしもこのコンサート聴いたのですがね、うーん、困りました。
今年のサマーフェスタ、1Fのほぼ同じ席で東響、都響と聴いてきての神奈川フィル。こんなにも硬く乾いた痩せた弦の響きでは楽しめません。指揮者は気持ちよさそうに軽やかな身のこなしで踊っていまし、オケも指示通りの音を出していたように見えましたが、如何せん無意味な音の羅列にしか聴こえない、あの第3楽章でさえどうにも心に語りかけてこないのです。こんなにしらけた思いでコンサートを聴いたのは初めてでした。もしかしたら金氏とはどこか波長が合わないのかもしれません。
明日は東フィルを聴きに行きます。ワーグナーはもうひとつだったエッティンガーですが、実は楽しみにしています。
投稿: 白夜 | 2010年8月 6日 (金) 02時43分
白夜さん、おはようございます。
暑い昼間のコンサートでしたね。
わたしは、2階の左寄りでした。
白夜さんがおっしゃる印象は、音楽堂シリーズでさんざん聴かされ、不満を抱いてきたことそのものでした。
ずっとこのコンビを聴きつづけてきて、マーラーは別格として、最後のメンデルスゾーンあたりから、音楽が語り始めた思いを持ってます。
まだ、奏法を含め試行錯誤は続くかもしれませんが、わたしのなかではやっと来たか、との思いが強く定期会員としても、安堵の演奏会でした。
金さんとの相性も、あるかもしれませんね。
わたしも、いつまでもブーブー言っててもしょうがないので、歩み寄った点もありますし。
エッティンガーのコンサート、オペラ関係とチャイコフスキーで面白そうな内容ですね。
投稿: yokochan | 2010年8月 6日 (金) 09時32分
こんにちは♪ 私も仕事休んで行ってきましたー! シューマン良かったですね~!ヽ(´▽`)/
自然で素直、爽やかで優しく美しい演奏でしたね♪
復活の時は悪く言っちゃってごめんなさい、聖響さん。これからも応援し続けます!
川崎出身なのに、丸大ホールは知りませんでした... 今度行ってみます♪
投稿: vodka | 2010年8月 6日 (金) 11時02分
vodkaさん、こんにちは。
いらっしゃいましたね。
真夏の白昼にシューマンを聴くというのも、いいものでしたね。
金さんの音楽のあら捜しに飽きたら、マーラーなどを経て、若さの特権のような美質を見出だすことができるようになりました。
神奈川フィルの美しい音色も味わえましたし。
前任のもとでは、もっときれいな音を出していたオケだけに、まだまだ楽しみが先送りされてます。
応援しましょう!
丸大は、男の世界ではありましたが、途中から女性もいらっしゃいました。
普通に定食食べてもOKな丸大さんです(笑)
投稿: yokochan | 2010年8月 6日 (金) 19時59分
どうも先日はありがとうございました。
それにしても、神奈川フィルのシューマンはどうしてあんなに音がきれいなのでしょう。
シュナイトさんの時も今回も、まるでメンデルスゾーンかと思うくらいオケが美しく響いています。
そして彼の爽やかで伸びやかな演奏はそれを更にフレッシュにしていたように思います。
ときおり響きが薄くなりがちなところもありましたが、このオケらしい響きが楽しめたことが嬉しかったです。オケが鳴っていました。
このコンビ、私はちょっと目が離せなくなりました。
楽しみなことです。
投稿: yurikamome122 | 2010年8月 6日 (金) 22時05分
yurikamomeさん、こちらこそどうもありがとうございました。
神奈フィルのシューマンは、ちょっと定番になりそうですね。
オケのメンバーの想いはどうあれ、前任者が植え付けた影響も大きいのでしょうね。
薄めな響きも、なんだか暑い夏にはちょうどよかったかもです。
冬には、もう少し厚みを増してほしいものですね。
私も、楽しみを見出すことができて、とてもうれしいです。
投稿: yokochan | 2010年8月 6日 (金) 23時37分
超亀コメ、失礼致します<(_~_)>。
金さんの指揮、楽しくなってきたようで何よりです。ワタシは2年前の復活を大いに愉しめて結構支持してましたが、あの曲はある意味どなたでも好演が期待できるのかな?とも思い、あんまり主張せずにおりました。
2年前のことなので今復活をやったらさらなる好演をなさるかも知れません。
今の神奈川フィルでは、指揮者の成長過程とその紆余曲折ぶりをじっくり見ることができるようにお見受けします。とても興味深い体験ができそうで、裏山しいとも思います、ハイ(^^;。
投稿: 左党 | 2010年8月10日 (火) 20時35分
左党さん、おはようございます!
金さん、油断はなりませんが、おそらく音楽スタイルを試行錯誤中のようで、よい方向に落ち着いていただければ万々歳なのですが。
そんな中では、マーラーはもっとも気質にあってるようです。
在京オケが、完成された指揮者との協力コンビになっているなか、神奈川フィルはご指摘のように見守るスタイルみたいになってます。
一時は、腹も立ちましたが、いまは目を細めて楽しむようになってきましたので、これもまたオケを聴く楽しみかと。
仙台のヴェロさん、素晴らしいので、聴いて下さいまし(笑)
投稿: yokochan | 2010年8月11日 (水) 08時42分