MY MEXICAN SOUL~メキシコ管弦楽作品集 アロンドラ・デ・ラ・パーラ指揮
新宿のゴールデン街。
初めて行きました。
怪しい過去を持つ木造長屋風の飲み屋街は、いったい何店舗あるのだろう。
店の名前も、内容も、外観もそれぞれに趣向に富んでいて、一見には入りにくい。
外国からの団体さんも数十人でうろうろしてたけど、手分けしないとひとつの店には絶対入れないよ。
そこで、意を決して入った店がこちらのバー。
このバーは女性店主で、アメリカンミュージックの流れる正統バーでございました。
左手にモヒカンいますが、ゴールデン街は安全で楽しく飲めるナイスな横町ですよ。
皆さんも是非
美人にほだされて音楽を聴かずして記事にしてましたが、デビューCDを購入してみました。
アロンドラ・デ・ラ・パラーラ、メキシコ生まれの女子指揮者。
早くも出来たばかりの自分のオーケストラを手にして、南米・北米、欧州各地で活躍中。
日本にもいずれ近いうちにやってくることでしょう。
そのCDは、故郷メキシコの作曲家ばかりを収めた2枚組。
ラテンリズムたっぷりのものから、哀愁ただようメロディアスなもの、基本は明るく楽しい13曲をワクワクしながら聴くことができるんです。
1.ホセ・パブロ・モンカージョ 「ウアパンゴ」(1941)
2.グスタボ・エルネスト・カンパ
「ヴァイオリンと管弦楽のためのメロディア」Op.1(1890)
Vn:ダニエル・アンダイ
3.リカルド・カストロ 「アツィンバの間奏曲」(1900)
4.カンデラリオ・ウイサル 「イマジネス」(1927)
5.マヌエル・マリア・ポンセ 「南国協奏曲(ギター協奏曲)」(1941)
G:パブロ・サインス・ビジェガス
6.フベンティーノ・ロサス 「波濤を越えて」(1884)
7.アルトゥーロ・マルケス 「ダンソン第2番」(1994)
8.シルベストレ・レブエルタス 「センセマヤ」(1938)
9.カルロス・チャベス 「馬力」組曲~第3曲 (1954)
10.フレデリコ・イバッラ 「シンフォニア第2番」(1993)
11.エウヘニオ・トゥサイント 「即興的ピアノのための協奏曲」(2006)
P:アレックス・ブラウン
12.マリオ・ラヴィスタ 「クレプシドラ」(1990)
13、エンリコ・チャペラ 「イングエス」(2003)
アロンドラ・デ・ラ・パーラ指揮
フィルハーモニック・オーケストラ・オブ・ジ・アメリカズ
ここまで書いて、外は雷が鳴り響き、停電
メキシカーン・サウンドに雷がいやにマッチしてて、これはこれは、と思ってにんまりしてたら、ブッツンと切れまして暗闇に。
記事はセーブしておいてよかった。
5分で復帰。
いまや、外は激しい雷雨が吹き荒れてますぜ。
中米旋風が雷を呼び込んだのか。
恐ろしいオナゴ指揮者、アロンドラ
ポンセとチャベス、レブエルタス以外は、まったく見たことも聞いたこともないメキシコ人たち。
正直言って、どれがどれだか、さっぱりわからない。
外盤だし、解説も読むのも今日は、目がくらくらしてしょうがない、ただ聴くのみ。
ラテン・テイストを十全に感じるのだけれども、ラテンとひとくくりにした場合、その範囲はあまりに大きく広範。
メキシコ・カリブ・ベネズエラ・ブラジル・アルゼンチン・アンデスなどなど、赤道を交えての南北はとても大きい。
それぞれにある近代クラシック音楽も、そのルーツを各エリアの民族音楽や、その言語の元へとも遡ることができるから、それぞれに特徴的なはず。
クラシック音楽を愛好していても、やはりこのあたりの音楽は一番縁遠い部分で、スター性のあるオロンドラちゃんが、こうして果敢に自国の音楽を集成して録音してくれたのは、文献的な意味でも、かの地の音楽を世界に広める意味でも、極めて価値のあることだと思う。
美人指揮者のデビューだったら、ベートーヴェン7番とか、シェエラザードとか幻想とかの華やかな曲で、大衆路線となるところだが、自国音楽を広めようとの使命感すら漂う本盤は、とても潔くも本格志向で、応援のしがいがあるというものだ。
日本のメーカーの某女性指揮者の売り込みかたと比べると、SONY MUSICのその姿勢の違いは明らか。
アロンドラは、解説書への寄稿で、「メキシコのオーケストラ作品は、あらゆるオーケストラのコアなレパートリーとして、しっかりと位置づけられるべき!」と語っています。
そして、2010年は、メキシコがスペインからの独立抗争開始から300年の節目の年ともあります。
まだ2回しか聴いてなくて、これから聴きこんでいきたい2CD。
簡単に、それぞれ触れておきます。
まず、1曲目モンカージョの「ウァバンゴ」は、おおらかで、メキシコの豊かな自然や風物がやがてリズミカルでダイナミックなダンスミュージックのように盛り上がってゆくのが気分よろしい。元気モリモリであります。
ちょっと感傷的で、古風なつくりのヴァイオリンをともなった2曲目のカンパ「メロディ」。
カストロの「アツィンバ」は同名のオペラの間奏曲。
メロディアスでヴェリスモ風な感傷あふれる曲。オペラってどんなだろう、興味深々。
チェレスタやハープのグリッサンドに涼しげな鳥のさえずりのような木管、大地のような低弦、かなりいい雰囲気の印象派風な4曲目、ウイサルの「イマジネス」。これいい
有名なポンセのギター協奏曲は、ロドリーゴにも通じる、スパニッシュな雰囲気。
超有名なワルツは、これがオリジナルだった、ローサスの「波濤をこえて」。
思わず体が動きだしちゃうマルケスの「ダンセン(ダンス)」は、テキーラなんぞ飲んで興じたら、知らぬ間に踊っちゃうんでしょうな(笑)
映画音楽のようなサスペンスに満ちてる曲。かっちょええぞ、レブエルタスの「センセマヤ」
いつ襲ってくるかもしれぬ野生の動物や昆虫たちのいる密林をゆく決死隊なり(古い)。
オケうまいし、アロンドラちゃん、どんな形相で指揮してんのか見てぇな~。
チャベスの「馬力」は名前ほどでもなく、やや不甲斐ないぞ。
おどろおどろしいイバッラの「シンフォニア」。なんだかよくわからん曲
そして、このアルバムで、わたくしが一番気にいって、心なごんだ曲が、トゥサイントの「即興的ピアノのための協奏曲」。
たぶんにクロスオーバーっぽい曲で、そのピアノは晩年のビル・エヴァンスみたいに、ちょっと水っぽいのだけれど、アメリカとメキシコの両方を感じさせる夜の音楽だ。
バーボンとテキーラを交互に飲りつつ、海辺で夕日を見るの図であります。
アロンドラちゃんのセンスばっちりよ
ラヴィスタの「クレプシドラ」は、サン・アントニオ川をイメージした曲で、その河の岩々がギリシアのクレプシドラを思い起こさせたのか(たぶん)。
オスティナートのような繰り返しの神秘音楽。
チャペラ「イングエス」、解説によれば、FIFAメキシコ対ブラジルのサッカーの戦いを描いてるみたい。ホイッスル鳴るし、太鼓系も賑々しい。でもそれ以上ではない。よくわからん。
というわけで、デコボコありますが、総じて楽しいメキシカンでございました。
アロンドラ・デ・ラ・パラーラさま、しっかりオケを整理してコントロールしてます。
そして音楽への共感ぶりも感じさせてくれます。
果敢なスタートをきった彼女、次の1枚がどう出てくるか、試金石でございましょう。
自宅から適当にシャッター切ったら、雷がこんな感じで撮れましたぞ。
夏はようやく終わりそう。
今週は、逝く夏を偲んでの最後の暑い夏特集。
まずは、美人のメキシコ・ミュージックでした。
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コメント
アロンドラ・デ・ラ・パラーラ!美人ちゃん!
えらい!さまよえる様!よくもまあ、こんだけビジュアルにこだわって美人プレーヤーを探し出せるものです。メキシコ交響楽団が5年くらいまえから話題になっていますよね。私はちょっと聴いて「ふ~ん」くらいにしか思っていませんでした。
しかし!アロンドラ・デ・ラ・パラーラ!君が指揮者なら話しは別だ^^CDでもDVDでもAKBでも買います。コンサートがあるなら見に行きます!
でもー。。。さまよえる様がご紹介のCDの曲目の中に知っている曲が1曲もないんですよ^^;コンサートの間中、爆睡かましそうです。
投稿: モナコ命 | 2010年9月15日 (水) 15時55分
モナコ命さま、こんばんは。
美人を求める音楽視聴。
現実からの逃避と憧れといっても過言ではございません(笑)
手の届かない美人音楽家に、ホワッ~としてれば、山の神も安心のようですし、それで満足のつつましい自分を誉めてあげたくもなります(笑)
つーか、情けないですかね・・・。
それにしても、アロンドラ嬢は、ビジュアルだけじゃないかもしれません。
アメリカも含めて、南北アメリカ音楽を集大成してもらいたいところです。
ですが、きっと、売り手としては有名大衆曲をやらせることになるのでしょうね。
彼女が来日したら、ぜひ、ご一緒しましょう!
サインもらいましょう、写真一緒に撮ってもらいましょう(笑)
投稿: yokochan | 2010年9月15日 (水) 22時43分
これは気になるディスクですね。
ポンセの「南の協奏曲」は大好きな作品(ポンセ自体偏愛する作曲家)ですし、何しろ美人指揮者!
同じくラテンアメリカ物で、ヒナステラを振ったウルグアイのベン=ドールという女性指揮者が(CDの写真で見る限り)可憐な美人でありながら、ド迫力の演奏で驚いたことがあります。(写真が付いているかは不明ですが、最近NAXOSに移行発売されています)
投稿: golf130 | 2010年9月16日 (木) 07時44分
golfさん、こんばんは。
ポンセのこの曲は初聴きでした。ポンセといえば、ホエールズの助っ人を思い浮かべてしまいますが、これからは、こちらです(笑) ウルグアイの美人指揮者のヒナスエラ、美人となると気になるまくりです。
帰ったらさっそくチェックです!
投稿: yokochan | 2010年9月16日 (木) 18時49分
こんばんは。
過日の美人特集で気にはなっていましたが、CD買うことにいたしました。
義弟がメヒコ出身で、その上ちょこっとお名前も似ている部分がありますし16日は独立記念日でしたものね。
でもクラオタさまの
”自国音楽を広めようとの使命感すら漂う本盤は”、
この一行にググッと来たからというのが本音です。
投稿: moli | 2010年9月20日 (月) 21時54分
moliさん、こんばんは。
CD購入決意されましたか。
老婆心ながら、店頭で購入するより、ネットでの方がお安いです。しかし、何枚か買うという条件が付きますが・・・。
メキシコ独立記念日は知りませんでした。
しかし、欧州の支配がなかったら、中南米はどんな国になっていたでしょうね。
そして、わたしなんぞの言葉を待つまでもなく、このCDをお聴きになれば、彼女の意気込みが強く伝わりますよ!
お楽しみください。
投稿: yokochan | 2010年9月21日 (火) 01時39分