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2010年9月 1日 (水)

モーツァルト セレナード第10番「グラン・パルティータ」 ベーム指揮

Azumayama11
オレンジ色のコスモス。
このキバナコスモスは、白やピンクのコスモスより先駆けて晩夏より咲きはじめます。
なんだか、秋でもなくて、盛夏でもない様相をしてて、夏休みが終わって、通常の日々が始まったような元気を感じさせてくれる。
花は、人の手が加わらなくても鮮やかな色を自分で出すところが、まったくすごいですな。

Mozart_wien
で・・・、うぇーーん、大ショック

今日、聴こうと思ってたCDを久方ぶりに取り出したら、CDの鏡面部分がご覧のように、粉を拭いたように真っ白けっけ。さらさら状態。
愕然とした。
ウィーンフィル面々によるの柔らかな演奏のモーツァルト「グラン・パルティータ」。

こうした現象は、かつて、サヴァリッシュの「影のない女」、インバルのマーラーの大半に起こっていて、経験済みだけど、ひさしぶりの出来事に、しかも貴重な1枚にこれが起きて、ショックだわ・・・・・・。
おりから、昨日の記事にあるように、へなちょこ野球を見たあとのことだけに、ダルさもひとしお。一気にやる気がうせましたよ。
しかも、今日もおんなじ状況が、走馬灯のように繰り返されておりますがね・・・・。

しかし、こうなると、自分のコレクションがどんだけいかれてるか確認してみたくなりますが、膨大なCDの山を前にしては、そんな気もおきないのは、多くの愛好家の皆さまにはご理解いただけることと存じます。

で、今日は「グラン・パルティータ」を聴くに、身も心もなっていたし、手持ちはあとベームしかないので、再度ベームべルリンフィルの管楽アンサンブル盤を取り上げることとなった次第にあります。
再発、申し訳なしです。

Mozart_gran_partita_bohm_2
ケッヘル361。モーツァルト25歳の頃の作品。
モーツァルトに限っては、いつもそもそもの話になるけど、なんでそんな若造が、どうしてこんな愉悦と深淵さにあふれたスゴイ曲を書けてしまうのだろう、ということになる。
オーボエ2、クラリネット2、バセット・ホルン2、バスーン2、ホルン4、コントラ・ファゴット(コントラバス)1=13管楽器のためのセレナード。

しかし、モーツァルトは、どれだけ、いろんな楽器のために作品を残したろうか。
当時存在してたあらゆる楽器に音楽を付けたのではなかろうか。
単独の管楽器のための作品もさることながら、管楽器のためのセレナードやディベルティメントはたくさんあって、それぞれが個性に満ちた捨てがたい名曲だから始末に負えない。
R・シュトラウスが、ミュンヘンオペラのブラームス派だった保守的なホルン奏者の父も意識しつつ書いた作品に同じ編成のセレナードがある。
シュトラウスが、交響詩やオペラにおいて、モーツァルト的な部分とワーフナー的な部分を合わせ持っているのは、こんな編成の作品があることでも推し量ることができる。

この13楽器のための「グラン・パルティータ」は、かのアインシュタインも最高傑作と絶賛した管楽のための作品としては名曲中の名曲で、全7楽章50分の大曲ながら、少しも弛緩することなく、聴く者を微笑みの境地に誘う天国のような音楽なのであります。

全7楽章。
快活な1楽章、最初のメヌエット楽章である2楽章、深淵な雰囲気の3楽章、第2のメヌエットである4楽章は明るいなかにも陰りもあったりして、管楽のモーツァルトの代表的な雰囲気。ロマンツェの5楽章は、夜曲という名が相応しいナイト・ミュージック。
クラリネットの旋律からはじまり、それが変奏されてゆく長大な6楽章は、これだけ取り出しても、各楽器の名技性も味わいつつギャラントなムードにも浸れます。
最終7楽章の快活さは、モーツァルトのオペラの終曲そのもの。
あっけないくらいだけれど、何かまだありそうで、そうでもない、でも人生ってそんなもの・・・って的な音楽であります。

ベルリンフィルの面々による演奏は、もう完璧すぎて、ベーム翁の指揮下にあって最大限のモーツァルティアンぶりを発揮してます。
個々の奏者の鮮やかぶりもさることながら、合奏というスタイルの中でのバランスのよさと音のブレンド感は、日頃の演奏において、つねにお互いを聴きあい尊重するというスタープレイヤーの枠を超えた演奏ぶりなんです。
粉がふいておジャンになったウィーンフィル盤も、まったく同じ傾向の演奏。
そちらは、もう少し色があったりでした。
この頃になると、ベーム翁はいるだけで・・・ってなオーラ爺さんかもしれませんが、さすがの気品ぶりと、まとまりのよさでありました。

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コメント

ご無沙汰で~す
暑くて参ってます。音楽どころではありません(^^ゞ

グラン・パルティータは大好きです
モーツァルトの作品から5曲、いや3曲選ぶとしたら必ず選ぶ曲です。
ベームの演奏は最初に買ったこの曲のLPで刷り込みになっています。同じベルリン・フィルで指揮者無しの演奏も甲乙つけがたいもので、最近はこちらを好んで聴いています。

投稿: 天ぬき | 2010年9月 2日 (木) 14時03分

こんにちは。デル・マーのイギリス物に反応したTodです。グランパルティータ、いい曲ですよね。私事ですが、もうずいぶん昔のこと、学生時代オケで管楽器をやっていまして、今思えば、イギリス物一辺倒だったその頃…今はそうではないととても言える状況ではありませんが(笑)…この曲や同じ作曲家のピアノと管楽器の為の五重奏曲などに対して、自分では「意外なほど」抗し難い魅力を感じた記憶があります。編成が特殊ですが、管楽器に興味ある無しにかかわらず、広く聴かれてほしい曲ですね、って十分有名ですかね。遅い楽章は心に沁みますねー。久々に聴きたくなったので、コーヒーでも淹れて楽しむことにします。ウィーンのも聴いてみたいっす。

投稿: Tod | 2010年9月 2日 (木) 17時13分

こんばんは。実はベームの2枚組「セレナード集」は持ってますが、なぜか、「グラン・パルティータ」だけは持ってません。
その代わり、オルフェウス室管があります。指揮者なしというのが宮廷楽団を意識した試みなのでしょう。数少ないアメリカの室内オーケストラの水準に仕上がってます。マーラー、ブルックナーといった後期ロマン派も真っ青なのか、取り上げる演奏家も敬遠しているのが現状でしょう。
CDは残念ですね。今の日本は高温多湿と考えられない現象です。DVDに置き換えられたのか、昔、録画したVHSを調べてみたら、テープにカ○が生えてた。少し、不安になってきました・・・。

投稿: eyes_1975 | 2010年9月 2日 (木) 21時47分

天ぬきさん、こんばんは。
こちらこそ、ご無沙汰しちゃってます。

暑くてブログ夏休み中ですか~
元気一杯のピグモンくん、美味しそうなお食事にお酒。
こちらを拝見する限り、お元気そうですので、安心しました!
ゆっくり、ぼちぼちいきましょう!

この曲はほんとうにいいですね。
指揮なしベルリンフィル盤もあるのですか。
それは気になるところです。
ポストホルンもハフナーも、ベームが刷り込みでした。

投稿: yokochan | 2010年9月 2日 (木) 23時00分

Todさん、こんばんは。
この曲のファンは多いですよね。
私も高校時代管楽器をかじったことがありますが、すぐにほっぽり出してしまいました・・・。
ピアノと木管の曲もすてきな曲だと思います。
一連の協奏曲もそうですが、モーツァルトには木管のための素晴らしい音楽が多いですね。
いまは暑いですが、秋の深まったころ、また寒い冬の晩などにまた取り出したい名曲です。
そうですね、コーヒーいいです!

投稿: yokochan | 2010年9月 2日 (木) 23時29分

eyes_1975さん、こんばんは。
オルフェウスにもこの曲の録音があるんですか。
彼らはスマートで若々しいですね。
気持ちよさそうです。
オーケストラ演奏会でもなかなか、かかりにくい曲ですが、メータが不思議と得意にしてて、コンサートで取り上げたりしてます。録音もCBSにあるはずですよ。

しかし、このまっ白のCDには、文字通り、頭の中が真っ白になりました・・・。
この現象は、やはり湿気と関係あるんでしょうか?
吸着面に隙間があって水気が入り込んだのでしょうか・・・。恐ろしいことです。
VHSも、カセットも不安にかられ、軒並み調べたくなりますが、そんな時間もない毎日なところが悲しいです。。。

投稿: yokochan | 2010年9月 2日 (木) 23時37分

遅くなりましたが、新年あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願い致します。

私は、去年コンサートに行けずじまいでした。せっかくの読売日響9月定期サントリーホールS席が水の泡。
モーツァルト3大交響曲の定期に行ければラッキーですが、半分あきらめています。
せめて、ハイレゾ音源&DSD含むアップサンプリングできる外部DAC兼ヘッドホンアンプと良質なカナル型イヤホンと、可能であればカスタムイヤーチップを作成して、スタジオライクなオーディオシステム構築ができれば幸いでしょうか。

さて、ここ2-3日グラン・パルティータを聴いていました。
映画アマデウスで使われた第3楽章も、それぞれ2つづつのメヌエットも、緩徐楽章も素敵です。
私の場合、漢方医学の体質からも、氏名の音素分析からも、木管楽器に惹かれやすいようですが、実際にそうでして。もろやかなで周囲の音色と融け合う、クラリネットとホルンの奏でるメロディー、そして最低音域で夢幻かつ甘美なバセットホルンに魅せられました。途中、長調単調と行きかいますが、その辺の曲想の変化も素敵で。
ほっこりするのに、いい曲だなと思っています。
演奏は、youtubeで聴いたフルヴェン、ヴィーンフィル演奏が、マッケラスよりもよくて、先ほどAmazonで購入しました。楽しみです。

投稿: Kasshini | 2015年1月10日 (土) 15時36分

Kasshiniさん、遅ればせながら、新年のご挨拶をさせていただきます。
今年も、こちらこそ、よろしくお願いいたします。

オーディオの方は、わたくしは、さいきん、さっぱりで、それ以前に、家庭内での環境が年々寂しくなっている状況です。。。

フルヴェンの13楽器は聴いたことがないです。
いつも、必ず、このベーム盤でして、あとはウィーンフィル盤でしかありません。
ご指摘のとおり、この曲は、いろんな顔があって、とてもいい曲ですね。
老境に入った、小澤さんあたりに、向いた音楽じゃないかなと思います。
コメントに刺激され、ちょっとCD屋さんに行ってみようと思います!

投稿: yokochan | 2015年1月17日 (土) 00時40分

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