2010年11月30日 (火)
「グラナダ」 ホセ・カレーラス
南欧州の雰囲気ただよう川崎のシネチッタ周辺。 アフターコンサートで、飲んでさまよい歩きました。
冬の街は、イルミネーションだらけ。 酔ってさまよう楽しみもたくさんありますな。
ホセ・カレーラス。噂のあったリッチャレッリと。
あと数日で64歳。 あまりに有名なテノール。 三大テノールなんて呼ばれてたけれど、パヴァロッティ亡く、カレーラスはその活動をほとんど絞ってしまって、もちろんオペラの舞台に立つこともいまはないから、ドミンゴの息の長さは驚異的であります。 三大テノールの誕生は、カレーラスが白血病から生還し、自ら創設した白血病を救う財団と、彼を勇気づけるために始まったコンサートから生まれたものと記憶するが、回を重ねるとミーハーの感がなきにしもあらずで、最初は熱狂したわたくしもすっかり醒めちゃったものです。
3人のなかでは、カレーラスが一番好きでして、小柄で真剣な眼差しによる歌いぶりは、いつも好感を持って聴いていた。 カレーラスの日本デビューは、まだ駆け出しの頃の1973年。 NHKのイタリアオペラでの「トラヴィアータ」で、スコットとブルスカンティーニの超ベテランに囲まれ、紅顔の青年に、テレビ観劇ながら、中学生にわたしはすごく親近感を覚えた次第。 そのときまだ20代。
そして、忘れもしない、76年のイタリアオペラ。 「アドリアーナ・ルクヴルール」を観劇したわたくし。 「シモン」とともに、体験した初の本格オペラに、興奮しまくり。 そして、カバリエ、コソットの巨大(?)な存在にまったくひけをとらない、情熱的でかつ陰りを持った理想的テノールとして、日本のファンに強く印象付けたのでした!
そのあとの世界を股にかけた大活躍は、申し上げるまでもありませんね。 有名なエピソードとしては、コヴェントガーデンの来日公演でデイヴィス指揮の「トスカ」に出演中、ベルリンに飛んで、「カラヤンのトスカ」のレコーディングに参加し、またとんぼ帰りして、日本のトスカに出演したという人気者ぶりの件。 すごいですな。
わたしのもっとも愛するカレーラスのレコード。 「グラナダ」をはじめとする、各国のポピュラーな歌を歌いまくった78年の録音。 レコードが実家にあって、画像は、拾い物です。
1.ララ 「グラナダ」 2. トスティ 「魅惑(マリア) 」 |
3. ビキシオ 「マリウ,愛の言葉を」 4. デ・クルティス 「忘れな草」 |
5. カルディッロ 「カタリー、カタリー」 6. ブロドスキイー 「ビー・マイ・ラヴ」 |
7. デ・クルティス 「君を愛す」 8. ブッチィペッチャ 「ロリータ」 |
9. ガスタルドン 「禁じられた音楽」 10. レハール 「君はわが心のすべて」
T:ホセ・カレーラス
ロベルト・ベンツィ指揮 イギリス室内管弦楽団 (78.7 @ロンドン)
こうしたラインナップ。 擦り切れるほど何度も聴いたレコードで、お酒にちょっと酔って聴くと、一緒に歌っちゃたりして近所迷惑なワタクシでございました。 全部歌いましたよ。 カレーラスになりきって、片足を前に踏み出して、片手を少し上げてしまったりして。 ともかくカレーラスの歌声ってのは、私の声にあってる、なーんて勝手に思いこんじゃってました。 ドミンゴやパヴァロッティの歌声では、どちらもテカテカ・ぴかぴかしてて、どうも合わない。一番しっくりしてた。
「グラナダ」ももちろんいいが、英語による「ビー・マイ・ラブ」のきっちりした真面目な歌いぶりと、イギリス室内管を指揮する才人ベンツィの甘いバックが最高なのです。 訥々として、まるで人見知りしているかのようなシャイな「カタリ」。 そして、このカレーラスの歌によって、最高に好きになり、私の好きなテノールアリアにも選定された「君はわが心のすべて」。 大先輩ステファーノも得意とした曲だけど、ドイツ語がまったく外人っぽくて、かえって異国情緒がにじみ出て、レハールの名歌が、カレーラスの几帳面な歌によって燦然と輝くのを今でも喜々として聴くワタクシです。 この曲は、まったく覚えてしまって、カラオケがあれば歌いたいくらい(笑)
これらの曲もいくつか取り上げ、珠玉のオペラアリアも歌いまくってくれたリサイタルを後に文化会館で聴きました。 冒頭、スペイン語でカレーラスに声がかかりましたね。 カレーラスは、シャイに笑ってました。 あの時の「アンドレア・シェニエ」は絶品でした! そして、アンコールは「グラナダ」。 もう会場は熱狂の渦。 NHKに映像があるはずなので、復刻して欲しいもの。
カレーラス最高 テノール最高 |
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コメント
こんばんは。カレーラスのフィリップス音源。私は別CDがあります。選曲は違いますが、「グラナダ」も収録されています。
クラシックを聴き始めた時、何を聴いてみればいいかわからない。そんな時、オペラ・アリアが併録されたベスト盤を購入。本命はアリアや歌曲だが、ポピュラーまでこなせられる。「ビー・マイ・ラヴ」やスタンダード・ナンバーを分厚い歌声で聴くと違った味わいがあります。
投稿: eyes_1975 | 2010年11月30日 (火) 23時18分
このCDは持っていないのですが(すいません・・・)、彼のナポリ民謡集はよく手に取ります。
私はどっちかというとドミンゴ派なのでありますが(唯一、生で聴いたことがあるというのが単なる理由)、
実にあっけらかんと歌う(そのくせハンカチがないと歌えなくなる)某テノールなんかより、
私は好きでございます。
私がクラシックをかじり始めたときはもうカレーラスはスーパースターでありまして、高嶺の花でございました。
チケットもあっという間に売り切れ。
そんなわけで当時売り出し中でありましたアライサにはまったのでありました?!
アライサの「グラナダ」も大変よろしゅうございますよ。
しかし、写真のカレーラス、太めですなぁ~、人のこと言えませんが(笑)。
ああ、カレーラス、生で聴くことなくおわっちまいそうな私でございます。
投稿: minamina | 2010年11月30日 (火) 23時37分
eyes_1975さん、こんばんは。
ナポリ民謡が後の録音も含めて素晴らしいのはともかくとして、英語や独語のナンバーが極めて新鮮。
のちの、ウエストサイドの全曲につながるオールマイティぶりですね。
で、スパニッシュのグラナダは文句なしでした。
オリジナルでの復刻を望みたいです。
わたしもCDでは、寄せ集めとなります。
投稿: yokochan | 2010年12月 1日 (水) 00時04分
minaminaさん、こんばんは。
実は、これ、CD化されてないのです(はず)。
希少なLPですが、実家でカビ生えてます(たぶん)。
フィリップスは、なんどもカップリングをいじくりまわして、結局ズタズタにしてしまいました。
デッカでの再発に期待です。
ともかく、ピッチピチのカレーラスが味わえますよ。
わたしもハンカチ王子は、70年代まででして、その後巨大化してからどうもいけません。
ドミンゴも嫌いじゃないけど、なんでもかんでも出過ぎなので、ちょっとやりすぎかと・・・・。
あの写真のころに、わたしは、カレーラスとリッチャレッリを聴いているのですから、自分の老いを感じたりもするわけです。
カレーラスのあとは、そうアライサですね。
わたしは彼は聴きもらしましたし、その後のアラーニャもまだ実演は接してないのですよ。
テノール歌手の流れも思えば楽しいものですね。
投稿: yokochan | 2010年12月 1日 (水) 00時14分
お久しぶりです。カレラスですね。私も好きなテナーです。好きなテナーというより、テナーでキライな歌手というのがほとんどいないのです。
以前、バーンスタインとウエストサイドを録音している時、バーンスタインから、またディレクターからいじめられているカレラスを見て「ああ^^;この道はきびしんんだな」と思っていました。
カレラスの誠実な歌い方は大好きです。確かに、3人の中で一番自然な「がんばれば私もこれくらいになれるかも!」と思わせる歌い方と声質です。でも絶対に同じようには歌えませんよね。
私もさまよえる様と同じことをモナコのレコード(CDではなく)でやります。つまり一緒に歌うのです。まあ、声に悪いこと悪いこと。しばらくはノドが痛く、歌うなんてとんでもない、会話もおぼつかないくらいノドがヤラレてしまいます。テナー歌手と一緒に歌うのは、まあ30代が限界かと思います。
でも私も時々一緒に歌ってはノド荒れをやらかしています。
投稿: モナコ命 | 2010年12月 1日 (水) 13時46分
モナコ命さん、こんばんは。
わたしもテノール好きですが、なかでもカレーラスは日本人向きですね。
デル・モナコを歌うとたしかに喉をやられますね(笑)
そうした意味では、カレーラスは喉に優しい。
でも、ベルカント系はさっぱり歌えません。
あと、お得意は、ワーグナーの全作です。
車乗って、大音量で、オランダ人やウォータン、ジークムントを歌っているのはわたしです。
ちなみに、ワーグナーも喉に悪い、いけない作曲家です。
酒飲むとよく声が出るのですが、さすがに運転中はいかんですから喉やられてます(笑)
投稿: yokochan | 2010年12月 1日 (水) 19時40分