エルガー 交響曲第2番 ハイティンク指揮
某北関東の街の壮絶な夕暮れ。
眩しかったです。
沈む直前は、ものすごい輝き。
このあと、急速に光を失っていくのでした。
2曲あるエルガーの完成された交響曲。
いまや、補筆完成の3番も加えて、3曲。
わたしは、もうあれはエルガー(テイスト)の立派な作品だと確信している。
マーラーの10番がそうであったように、エルガーの3番も、しっかりと市民権を得る時期が来ていると思う。
しかし、レコード産業の不芳で、音源も少ないし、なかなか広まらないのが実情かも。
1番が大好きだけど、2番もとても好き。3番もすっかりお馴染みになった。
3曲ともに、万遍なく聴きたいエルガーの交響曲なのです。
3つとも録音しているのは、コリンとアンドリューのふたりのデイヴィスだけ(たぶん)。
尾高さんや、M・エルダーあたりにも完結していただきたいところ。
でも、今宵のハイティンクやプレヴィンは、絶対3番をやらないだろうと推測。
エルガー 交響曲第2番 変ホ長調
ベルナルト・ハイティンク指揮 フィルハーモニア管弦楽団
(1983年 ロンドン)
伸びやかだけど、重厚さと晦渋さも兼ね備えた2番。
ハイティンクの気質には1番よりも、こちらの方がしっくりくる。
なんといっても、荘厳なる第2楽章のラルゲットが素晴らしく、毎度おなじみの泣き虫の私は、いつにも増してうるうるとしてしまう。
でも今回、厳冬の晩に、しかも寒い部屋でマフラーを首に巻いて聴いた1楽章。
同じようなフレーズの繰り返しながら、それらが時に毅然と、時に諦念に満ち、そしてエルガーならではの高貴さに満ち、登場するのを20分間に渡って聴いていたら、体がジワジワと内側から温まってくるのを感じた。
一聴、しんねりむっつりのハイティンクの棒が、徐々に熱を帯びて神々しく輝いてゆくのは、彼の音楽を聴いていつも思うこと。
ブルックナーやマーラーのときと同じように、真摯な音楽造りがなしえる技であろう。
この楽章の最後は、そりゃもう感動しました。
そのあとに、あの2楽章なのですから。
快活な3楽章と、夕映えのような終楽章の完結感。
素晴らしい曲であり、演奏にございます。
ロンドン・フィルとの関係がちょっと薄くなったとき、フィルハーモニア管と結びついてエルガーやラフマニノフを録音したハイティンク。
EMIの録音にいつものことながら一言いたいところだが、くすんだロンドンフィルの音色に比べて、フィルハーモニアの弦楽器が柔和な響きなところがうまくとらえられているかも。
ともあれ、ハイティンクが、エルガーやウォルトン、RVWらの交響曲を録音しておいてくれたことがとてもうれしく、EMIさんには感謝したいデス。
以下は、過去のエルガー2番記事。
1番よりは少なめ。
ためしに、ググってみたら、結構上位にありました。
しかし、なんと、わたしの文章を完璧に使用しているブログがありましたがな(・_・)?
「尾高忠明 読売日本交響楽団」
「ハンドレー追悼 ロンドンフィル」
「大友直人 京都市交響楽団」
「大友直人 東京交響楽団」
「B・トムソン ロンドンフィル」
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コメント
こんにちは。ついついコメントしてしまいました。
エルガーの2番は、私の好きな交響曲第1位なのでございます。今後も変わることはないように思います、ハイ。
思い出します。ハイティンクの2番は発売されてすぐ、まだLPで購入しました。いやー、感動しました。こんなマイナーな曲でもこんなに真摯に丁寧に演奏されていて、そういう意味でも何度も涙しました。氏のRVWでも感じるのですが、何と言うかいろいろな意味で指揮者の格の違いみたいなものを。
1番はいろいろな人が取り上げても、それなりに成功しやすい曲だと思うのですが、2番はなかなか難しい。
1楽章を騒がしくならずに治めて、2楽章や4楽章のあの情感を…あぁ、すべてが過ぎて行きますなぁ…(遠い目)…おっと失礼、自分に酔っておりました(笑)。
ボールト、ハイティンク、トムソンは2番に合っていると感じます。ハンドリーは晩年に再録音してほしかったですね。
投稿: Tod | 2011年1月14日 (金) 17時29分
Todさん、こんばんは、コメントまいどありがとうございます。
そうです、久々にエルガーの交響曲いきました。
わたしは、ハイティンクのこのレコードは、輸入盤として手にとりつつ、いつかCDと、との思いで諦めた経緯がございます。
CD化されて即購入です!
ですから、Todさんと同じく、思い入れは強いです。
ほんとに、素晴らしい演奏ですよね。
あのハイティンクの顔までが浮かんできます。
あげられた指揮者たち。
いずれもいいですね。
ハンドリーの再録もそうです。
いま、いいと思ってるのが、M・エルダーです。
あと、高額ですが、ヒコックスはなんとか聴いてみたい。
1~3番、まだまだ続きますよ!
ありがとうございました。
投稿: yokochan | 2011年1月14日 (金) 23時48分
はじめまして。
以前からブログを拝見していましたが、ここのところ、エルガー、コルンゴルト、ツェムリンスキーと立て続けに僕の好きな作曲家が取り上げられているので、思わずコメントさせていただきました。
僕はハイティンクの1番のLPしか持っていないのですが、こうして記事を拝見すると2番のCDが気になります。ノーブルで気品ある演奏は、ハイティンクならではですよね。
今後も、コメントさせていただくことがあるかもしれませんが、どうぞよろしくお願いいたします。
投稿: Mario | 2011年1月21日 (金) 18時16分
Marioさま、こんばんは。
そして、はじめまして、ようこそ。
ご覧いただきましてありがとうございます。
おわかりのとおり、英国音楽とワーグナーとそれ以降の後期ロマン派系が大好きなブログです。
ハイティンクにも入れあげてまして、そんなハイティンク卿が指揮する英国音楽は、奥ゆかしく、かつ重厚で、とても好きなのです。
貴ブログ、拝見いたしました。
とても美しい写真がたくさんアップされていて、素晴らしいですね。
またどうぞ、よろしくお願いいたします。
ありがとうございました。
投稿: yokochan | 2011年1月21日 (金) 22時08分
大変、大変ご無沙汰しています。私もハイティンク盤を持っていますが、先日ふと聞きたくなってC・デイヴィスで聴きました。聴いているうちに東北震災のことがいろいろ思い浮かびました。特に第2楽章は犠牲者への鎮魂の歌に聞こえました。そして最終楽章最後の清らかで浄化されたような響きはたまりませんね。
両手を合わせて合掌していました。
投稿: crest | 2011年4月10日 (日) 14時37分
crestさん、こちらこそです。
お元気でらっしゃいますか。
大変なことが起きてしまいました。
この曲は、そうですね、いまの気分に相応しいかもしれません。
>第2楽章は犠牲者への鎮魂の歌に聞こえました<
ほんとうにわたしもそう思います。
今日で1か月。
黙祷を捧げたいと思ってます。
ありがとうございました。
投稿: yokochan | 2011年4月11日 (月) 12時47分