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2011年2月10日 (木)

「ARMIDA」 アンネッテ・ダッシュ

Kihachi

キハチロールのひとつ、トライフルロールでございます。
美味しいという言葉以外のものを思い浮かべることができないスゥイーツ
こんなのを奮発して買って帰った日には、獲物に群がるハイエナがごとく、数分で家人の胃袋に収まってしまいます。

Kihachi3

なんて、美しいのでしょう。
宝石のように散りばめられた色合いのいい果実。
とけてしまいそうなスポンジロール生地に、味わい深いクリームが果実の甘さを引き立てるのです。
酒も、甘いのも食べ尽くすワタクシ。
こんなの1本食べちゃうかも。
ウィスキーのあてにも最高ですよ、ふふっ

Annette_dasch_armida

今週は、なにげに、私の好きな女声歌手を聴いているんざますよ。

今夜半から関東も雪の報が出されているけれど、関東で雪の降る前はどこか暖かったりして、今日もそう。きっと降って、積もったりするんでしょうな。
神奈川の海側に育った自分だけど、それでも子供時代は、始終雪が積もったもの。
雪でご苦労されていらっしゃる地方のみなさまには申し訳ございませんが、雪を何だか期待しちゃうのですよ。
そんな思いを抱きつつ聴くバロックならびに古典のオペラのアリア。
歌うのは、ベルリンっ子のアンネッテ・ダッシュ
モーツァルトのアリア集と昨年のバイロイト・デビューのローエングリンをすでに記事にしました。
モーツァルトでは、ストレートボイスが気持ちよく、曲者ノイエンフェルス・ローエングリンでは、ネズミ軍団に、矢射られてしまうエルザを自立する女のように歌いこんでいました。

アンネッテの声は、なかなかに力強いもので、モーツァルトではほぼすべての主役級、ウェーバー、ワーグナー、シュトラウス系の主役級をほぼ網羅するものと思われる。
そしてリリコ・スピント系プラスのコロラトゥーラの力量も併せ持った多彩なもの。
今回のCDは、モーツァルトより前の本格デビューのものだが、グルックやヘンデル、ハイドンといったバロック・古典をキリリと歌っていて、そのあとのモーツァルト、そしてワーグナーのエルザと、こうして幅広いジャンルへの適性を確認できることとなった。

イタリアの詩人タッソー(あのリストの交響詩の人)「解放されたエルサレム」に出てくる「アルミーダとリナルド」の物語を題材にしたオペラのアリアを集めた1枚。
とても知的なプロダクションなのです。
魔性の女ともいわれるアルミーダは、数々の男をその虜にしてしまう。
エルサレムのキリスト教陣営に飛び込んだ彼女は、その戦士たちを夢中にさせてしまい、戦意衰えメロメロになってしまう。
これはイカンと英雄リナルド。リナルドはそんな女には目もくれず、アルミーダは意地でもリナルドを落とさんとし、ついにには恋に落ちてしまう・・・・。

この劇作は、数々のオペラやオラトリオを生みだした源泉。
リュリ、ヘンデル、ヴィヴァルディ、グルック、ハイドン、ロッシーニ、ヨメッリなど。
リナルドでは、これまたヘンデル、ブラームス。
タンクレディも関係していて、モンテヴェルディやロッシーニ。
ほんと、たくさんです。

アンネッテ・ダッシュは、このアルミーダにまつわる作品の中から、グルック、ヘンデル、ヨメッリ、ハイドンらの作品を集めて歌っている。
実は、2年前のパトリシア・プティボンのアルバムでも、「アルミーダ」はグルックとハイドンの作品を対比して歌っていた。
2007年のほぼ同じ時期の試み。
昨今のクレヴァーな歌手たちは、たんに有名アリアの垂れ流し選曲はあまり行わず、こうした一貫性ある知的なプログラミングを行うものです。

 グルック 「アルミーダ」
 ヘンデル 「リナルド」
 ヨメッリ  「捨てられしアルミーダ」
 ヘンデル 「捨てられしアルミーダ」(カンタータ)
 ハイドン  「アルミーダ」

    S:アンネッテ・ダッシュ

  デイヴィッド・サイラス指揮  バイエルン・カンマーフィルハーモニー
                          (2007.4.20@ミュンヘン)


先のプティボンのアルバムで耳になじんだ曲もあり、とても聴きやすい1枚。
そもそもアルミーダが魔女にたとえられることなんか、こんな素敵なアリア集を聴くかぎり、想像もつかない。
普通に可愛い女性だし、ときに感情の高ぶりを示すことはあるにしても、いにしえのバロック・古典の時代における感情表現は表面的にはおとなしめ。
このあたりをいかに、いまあるわたしたちの世の中、すなわちリアルな感情表現、何でもありの時代の耳に、どう響かすか。
プティボンさまには、そのコケットリーなまでの小悪魔表現にて、わかりやすく自在に歌ってみせてすっかりアルミーダに魅惑されてしまったわけ。

で、アンネッテさまは、もう少し大人というか、お隣のお姉さんみたいな落ち着きある表現にて、逆に親しみあるアルミーダを歌いこんでくれた。
グルックのものは、フランス語で書かれているから、しっかり歌うように聴こえてよけいにそう感じる。(あっちの、パトリーの方は、自国の言語だから自由自在)

期せずして、私のアイドル、独仏の違いが楽しめてしまった。
ダッシュには、今後、ドイツオペラ系の先達が歩んだ道が期待される。
モーツァルトは当然に、ワーグナーにおいてはエリーザベト、エヴァ、ジークリンデ。
シュトラウスにおいては、マルシャリン、アラベラ、アリアドネ、ダフネ、伯爵令嬢・・・。
とっても楽しみなアンネッテ・ダッシュなんです。

ここで指揮をしてるのは、新国でポネル版「チェネレントラ」(素晴らしかったカサロヴァとシラクーザ)を指揮したサイラスでした。

Lohengrinneuenfels1

ローエングリンでカウフマンと。

Dasch

ドイツでも、テレビでひっぱりだこみたい。
新国にも来ていたのは不覚のことだったけれど、今度はいつ来てくれる?

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コメント

>お隣のお姉さんみたいな

いいですね~。音だけですが、エルザも清潔感があってよかったです。
ぜひ日本で聴きたいものです。

投稿: コバブー | 2011年2月11日 (金) 02時59分

コバブーさん、こんばんは。
そうです、なんだか甘酸っぱい感じのする、お隣さんなんです(ちょっとやばい表現かも)

エルザもよかったですね。
再度の日本登場を望みたいです。
美人はいいです!

投稿: yokochan | 2011年2月12日 (土) 00時40分

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