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2011年3月 3日 (木)

ラフマニノフ 前奏曲集作品23 アシュケナージ

Suzakayasoba2

新潟の郷土料理「のっぺ」。
こんなに色彩感ある郷土料理って他に知りません。
これ、栃尾の油揚げとともに、大好きな新潟の食べ物のひとつなんです。
冷たい状態で食べるのですがね、サトイモの粘りが決めてで、ねっとり感も楽しめるんです。
こちらでは、とり肉でしたが、鮭の方がそれっぽいですな。
しかし、うまい。
お酒がどしどし進むんですよ。

このところ連続してます、新潟の食は、別館「さまよえる神奈川県人」でも出しますので、よろしければご覧くださいまし。

Rachmaninov_preludes

マーラー交響曲第5番~第7番あたりの、同世代作品シリーズ。

今日は、ラフマニノフの10の前奏曲作品23(1902年作)

1902年から、1905年は、日本では、明治35年から38年という年代。
調べたら、日露戦争の最中なんです。
「坂の上の雲」の世界なんです。

そしてそのロシアで、活躍の途についたのがラフマニノフで、当時はモスクワで作曲と指揮活動をしていて、ピアノ協奏曲第2番は1900年に発表済みの頃。
ロシアがアジアに目を向け、南下するのを小国・日本が阻み破ったことは、西欧には脅威だったし、各地の民族運動にも影響を与えたとされる。
そのロシアが、いまやソ連体制以上に、南の四島に固執しはじめたのは、南下政策という歴史的な経緯があってのこと。
これを易々と許してしまったいまの日本は・・・・・。
あらやだ、わたしのブログは、そんなふうなことは触れずにおきたいですので、ここまで。

マーラーの音楽は、国情や政治のことはその音楽からあまり感じることが少なく、むしろ個人的な内面の発露という傾向が強い。
そして、ラフマニノフも民族主義的な傾向は少なめで、自身が幼いころに聴きなじんだ教会の鐘の音や、グレゴリオ聖歌などが、常にその音楽に顔を出していて、マーラーと同じくその内面をその置かれた状況に応じて表出してみせた、そんな音楽に思う。
後年、ロシアを出て、スイスやアメリカに暮らし没したラフマニノフは、「望郷」一筋の心情にあったことは、みなさまご存知のとおりです。

そのラフマニノフ。ピアノ独奏用の前奏曲を作品番号のあるものでは、生涯24曲書いている。
そう、その24といえば、バッハにショパンです。
あきらかにショパンを基本として、24の調性に前奏曲を残したわけであります。

今宵聴いたのが、作品23の前奏曲集で全部で10曲。
その10年前、1番目にあたる作品3の2。
さらに7年後、作品32の13曲の前奏曲集。
これらを合わせて、24の前奏曲集となるのです。
こんな風に、間を空けながらも、24の作品にしてゆく手法と考え方は、いかにもむっつり型のラフマニノフらしいところ。

全部聴くと2CD分。一夜のコンサート+アンコールみたいな感じ。

少し渋めな、あとの作品32の13曲よりは、よりメロディアスでかつリズミック。
アンコールピースとしても、よく取り上げられる作品も内包しているから、全般に聴きやすい音楽なのです。

流れで聴くのが一番よろしく、そこに身をゆだねる快感もありますが、気に入ってる作品は、ショパンの雨だれ風の物憂さのある1番。
同じくショパンのバラードのような華麗で劇的な2番。
あまりに美しい4番は、まんまショパンでノクターン風。
でもロシアの憂愁も濃い名作ですよ、これは素晴らしい名品なり。
これを聴くと、なぜかアシュケナージを思い出す第5番。ぎくしゃくした不思議なリズム感が一度聴いたら忘れられない、いかにもラフマニノフっぽい曲。
流れるようななかに、巧みに切ない旋律を織り込んだ7番。
ほかも、詩的で幽玄な雰囲気を持つ曲ばかり。

こんな曲を聴きながらお酒を飲むと、どんどん飲んでしまいます。
後の望郷のセルゲイの時期の作品は、ときに切なくなりますが、この頃のものは結婚もあって、幸せ感が素直に感じ取れ、旋律美でもって聴かせちゃいます。

あの頃は、本業でもってちゃんとしててよかった文句なしのアシュケナージのピアノ。
この手の作品の決定盤でしょう。
かつての昔、文化会館でこの作品のいくつかを聴きましたよ。
タートルネックで、そそくさと出てきて、ちょこまかしてると思ったら、いざピアノが鳴りだすと、そのスケール感の幅は、極めて広く、かつ繊細。
あとあと始めた棒振りの時と全然違うのでした・・・・・。

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コメント

Op.23は、私も大好きな曲です。
アシュケナージの演奏は、本当に素晴らしいですね!
田舎住まいをしている私は、この曲を聴く度に都会の夜が恋しくなるのです。高層ホテルのラウンジで、この曲を聴きながら飲めれば。最高なんですが…。
yokochanさんが、羨ましい!

投稿: さすらい人 | 2011年3月 4日 (金) 17時49分

こんばんは。のっペい汁・・・体が温まります。それにしてもいくらがあると豪華ですね。
アシュケナージはショパンとラフマニノフの他はショスタコとスクリャービンも録音していて「前奏曲集」を独り占めしているようです。いずれもショパンからヒントに作られているのですね。
ラフマニノフの「前奏曲集」きらびやかですが小規模のイルミネーションかな。

投稿: eyes_1975 | 2011年3月 4日 (金) 19時56分

今晩は。私は、ルース・ラレードがCBSに録音したラフマニノフ・ピアノ独奏曲全集に入っている演奏で主に聴いています。アシュケナージの演奏も勿論持っています。
変わったところではワイセンベルクも面白い演奏ですが、聴き手によって好みが分かれそうですね。
 アシュケナージにとってラフマニノフはレニーにとってのマーラーのような掛け替えのない作曲家だと思うのですが、彼は何故かソナタ第1番とか他の作曲家の曲からの編曲作品なんかを録音してませんよね。ラレードのラフマニノフもいい演奏ですが、アシュケのラフマニノフ・ピアノ独奏曲全集が是非欲しいですね。録音してくれないかなぁ・・・

投稿: 越後のオックス | 2011年3月 4日 (金) 22時21分

さすらい人さん、こんにちは。
わたくしも、作品32よりも、こちらの方が好きですね。
都会にいながらも私はいつも田舎の海や山を思い描いています。
そんな気分にぴったりなのがラフマニノフかもしれません。
>高層ホテルのラウンジ<
いやぁ、夢のようなシーンです。ほんと!
いつかは実行してみたいものです。

投稿: yokochan | 2011年3月 5日 (土) 15時18分

eyes_1975さん、こんにちは。
そうなんですよね。このいくらが見た目も味も豪華さをひきたたせていました。

そういえば、前奏曲を根こそぎ録音してるのはアシュケナージだけかもしれませんね。
ピアノでは文句なしです。
夜景が似合うようなロマンテックな前奏曲集です。

投稿: yokochan | 2011年3月 5日 (土) 15時38分

越後のオックスさん。
ラレードとは、これまた渋いところできましたね。
私が高校時代にCBSソニーで活躍していた女流です。
そして美人です。

アシュケナージは、指揮もいいけど、やはりピアノをもっと弾いてほしいですね。
しかし、バレンボイムとともに、指揮もピアノも精力的だし、どこに勉強する暇があるのでしょう。
ある意味超人です。

投稿: yokochan | 2011年3月 5日 (土) 15時41分

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