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2011年4月19日 (火)

ブリテン 「パゴダの王女」 ロイヤル・バレエ

Kandamyoujin2

厳かなる神田明神。
狛犬も勇ましく、こちらでは右側が口を開き、左側は閉じている。
獅子でもない犬でもない狛犬はよく見ると不思議な存在である。
沖縄のシーサーも守り手だから怖い顔してるけれど、エジプトのスフィンクスはもっと穏やかな顔。
昔、これに似ている上司がいて、女子社員はみんなその人を狛犬と呼んでました。
でも、とても優しくて、いい人でした。

Kandamyoujin1

そして、本殿の手前、ここにも獅子がいましたよ。
獅子山だそうで。

Britten_the_prince_of_the_pagodas

ブリテンの唯一のバレエ音楽「パゴダの王女」をDVD観劇。
3年前に、ブリテン自演のCDを取り上げました。
その時、何度も何度も聴いて、とても気に入ってしまったブリテン作品となりました。
オペラに比べて、バレエにはまったく疎く、舞台も一度も観たことがないわたくし。
白鳥の湖やロメ・ジュリさえも映像ですら一度も通して見たことない。
バレエは、もっぱら音楽として聴くのみ。
怒られそうだけど、パフォーマンスのたびに起こる拍手で音楽やドラマが寸断されるのが、どうも気にくわない。
また、鑑賞用の演奏と実際のバレエが振りつけられる演奏とは、どうも違うような気もするし。

しかし、大好きなブリテン作品となると別で、あの素晴らしい音楽がどのように演じ踊られるのか非常に興味があった。
ということで、1年前に購入したDVDをようやくにして開封したのであります。

1989年の上演の映像だから、映像が鮮度的に最近のものとは比べ物にならないけれど、洒落たよく出来た音楽に、カラフルな衣装、ユニークな振り付け、そして目覚ましいばかりのバレエのテクニックに目も耳も釘付けになりましたよ。
しかし、1.2幕と3幕とでは、オーケストラ・ピットの音が全然違うように聴こえるんだけど。
そう前半はどことなく曇っていたけれど、3幕では鮮やかな響きがする。

この作品に関しては、こちら以前の記事をご参照

    バラ姫:ダルシー・バッセル    イバラ姫:フィオーナ・チャドウィック
    王子 :ジョナサン・コープ     王様 :アンソニー・ダウエル
    道化 :シモン・ライス        北方の王:アンソニー・ドーソン
    東方の王:ブルース・サンソン   西方の王:マーク・シルバー
    南方の王:アシュレイ・ペイジ   そのほか

    振付:ケネス・マクミラン

  アシュレイ・ローレンス指揮 コヴェントガーデン王立歌劇場管弦楽団

イギリスの名振付家マクミランは92年に、指揮のニュージーランド出身のローレンスは90年に、それぞれすでに亡くなっている。
ことにローレンスは、シュトットガルトバレエに伴って来日中の我が国で亡くなっていて、この舞台は何か運命的なものを感じてしまう、彼らにとっての「白鳥の歌」なのだ。

それはともかくとして、いかにもブリテンらしいクールでカッコいいサウンドに、チャイコフスキーやプロコフィエフ、ストラヴィンスキーなどのエッセンスが散りばめられ、日本も含む東南アジアの音楽への傾倒ぶりも伺い知ることのできる素晴らしい音楽なんです。
その音楽に、感情の細やかなな機微をバレエというパフォーマンスを通じて植え付け表出するさまに映像を見ていて驚嘆してしまった。
バレエ素人だから許して欲しいけれど、振付家の才能もあろうが、表現者としてのバレエダンサーたちにもびっくり。どうしてあんなことができるんだろう・・・・。

あらすじを前回記事からコピーして、このDVDに合わせて少し変更して、再褐しておきます。

第1幕

3

古代王国の宮殿、イバラ姫とバラ姫が住み、王位継承者の姉イバラ姫のもとに、世界中から求婚者が現れる。東西南北の4人の王である。

4

(王たちは、それぞれに自国の自慢のダンスを披露するが、猿と化した廷臣たちは、南方の王の激しいリズムに反応して、きゃっきゃっと動き回るのが面白い。)
北方は男性的でかつ紳士的、東方はしなやかで華奢、西方はハンカチを握りしめたおかまチックな雰囲気、南方はワイルドな原住民風。
(音楽の巧みな描写をそのままに、描き分ける振付の妙です。)

1

尊大で性格の悪~いイバラ姫は、彼らに好意を示さない。
彼女は、しかし美人です。

5

そこに心優しく美しいバラ姫が現れ、王たちも見とれる。
これを見た、イバラ姫は、怒りバラ姫をいびる。

6

「およこし!」 イバラ姫は、王様の王冠を取り上げてしまう。
そして、あらたな客人の訪問。なんと、4匹の蛙たち。蛙は箱を届に来て、これを空けることのできたバラ姫に、箱の中からバラの花が現れ、姫は受け取り、送り主の王子に会いにいくため黄金の網の中に入る。(このエピソードは今回の映像にはありませんでした)

第2幕

7

網が舞い上がり、道化に導かれて、空気・水・火の世界を旅するバラ姫。
やがてパゴダの王国に到着するが、その国の人々は身動きひとつしない。
姫が人々に触れると、回り出す。(このあたりもこの振付演出は違っている)
愛想よい人々の歓待を受けるが、目隠しをされる。

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(火トカゲじゃないけれど)やがて、火トカゲが登場するが、そのトカゲの醜い皮を脱ぐと美男の王子で、ふたりは恋に落ち優美に踊る。

10

しかし、目隠しを取ると再び火トカゲに戻り、姫を追いまわす。
(ここもそんな風に見えなかった)

第3幕

11

かつての王国では、イバラ姫が王冠を手にして父王を追放し幽閉している。
裏切られた父は悔やんでいる。


12

助けておくれ、と父王。
そこへ、バラ姫とそれを追う火トカゲがやってくる。

13

イバラ姫は、そのふたりを命じて捕らえるが、バラ姫は火トカゲを助けてくれるように懇願し、抱きしめる。ここで、火トカゲは再び王子となり、王国は滅び去る。

14

悪い諸国の王たちを立ち回りの末撃退する王子。

 王子とバラ姫、皇帝とバラ姫をかつて助けた気のやさしい道化は、パゴダの国に赴き、民衆たちも自由を得る。

17

ここで愛と自由をたたえて、数曲ディヴェルティスマンが登場人物たちにより踊られ、王子と姫は愛を誓い、明るいフィナーレを迎える


18

ブリテンのおしゃれなエンディング。
オペラでもいつも感じる、そのセンスのよさったらない。
若い二人の間から、ひょっこり顔をだす道化。
犬じゃないですよ(笑)

マクミランは、ブリテンの、そして作曲者死のあとはブリテン財団の了解を得て、内容を一部変更しているようである。

16

マクミランが見出したというバッセルが、そのスラリとした長身としなやかな動き、眼差しの豊かさでもってダントツに光っている。

15

その相方のコープ王子もすごい身体能力というかなんというかあきれてしまうほど。
あのトカゲのくねくねとした動きや、王子への早変わりの変貌ぶりなど見事なもんだ。
敵を倒し、道化を従える王子さま~

2

あと、王様のへろへろぶりも愉快かつ上手いもんだ。

来シーズンの新国のバレエオープニングは、この「パゴダの王女」。
観るかどうかわからないけれど、ビントレーの新演出だし、楽しみなものです。

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コメント

こんにちは。
東北関東大震災で被災した方のニュースなどで重苦し気もちが続く毎日ですが。ブログを読ませていただき、元気をもらいました。ブリテンのバレエ「パゴダの王女」は私もVDVょを持っていましたので、改めて見てもました。文化・芸術などは人に生きる力を与えてくれますね。
公演が中止されていた新国立劇場のオペラも再開され、早速鑑賞に行きました。ブログに「バラの騎士」の感想を書きましたので読んでくださるとうれしいです。ブログになんでも結構ですから、コメントなどいただけると感謝です。

投稿: dezire | 2011年4月21日 (木) 11時37分

dezireさま、こんばんは。
コメントどうもありがとうございます。
パゴダは味のあるバレエなので、秋の新国オープニングに選ばれたことは慶事といっていいかもしれません。
ともかく、素晴らしい音楽だと思います。

今回の「ばらの騎士」は、諸所あって当初からパスしておりました。
マノンレスコーがなくなり残念でしたが、新国は見事なばら騎士を上演したようですね。
うらやましいです。
記事も拝見いたします。

投稿: yokochan | 2011年4月23日 (土) 01時29分

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