コルンゴルト シンフォニエッタ アルベルト指揮
美しいでしょう、おいしそうでしょう
野菜とツナとハムとチーズ。
色どりまでも麗しい。
バゲットサンドです。
私の職場の近くのパン屋さんの一品でして、これで270円ざぁますわよ。
ランチは、これとコーヒー一杯あれば充分。
でも、食いしん坊のわたくしは、さらにトーストしたブレッドサンドなんかも食べちゃって、お腹一杯にしてしまう。
これも、経済活動と自己暗示にかけるのだからしょうもない・・・・。
こうした手作りパンを避難所の皆さんに届けたいな。
パン焼き機などが、避難所にあればいいのに。
おいしい思いをして申し訳なく思います・・・・。
エーリヒ・ウォルフガンク・コルンゴルト(1897~1957)を久しぶりに。
神童の名を欲しいままにしながら、政治や時流に翻弄され失意のままその名を埋れさせてしまった才人。
10歳に満たない少年時代から作曲してたし、何よりも、親父の音楽ジャーナリストのユリウス・コルンゴルトが、かのアマデウスに因んで付けたのがウォルフガンクなんだから。
2007年の記念の年に来日して、シティフィルでコルンゴルトの交響曲を指揮したアルベルト。
そのコンサートは、仕事でチケットをフイにしてしまった。
(仕事のないような日々、いまなら考えられないこと・・・・。)
そのコルンゴルトや世紀末系、ジークフリート・ワーグナーなどのレア音楽の専門家アルベルトが、CPOに管弦楽曲を数枚録音していて、その第1弾がこちら。
バレエ音楽「雪だるま」 から
「劇的序曲」op4
「シンフォニエッタ」op5
ヴェルナー・アンドレアス・アルベルト指揮
北西ドイツフィルハーモニック
爽やかなまでの爽快さと、R・シュトラウスばりの爛熟オーケストラサウンドをコンビネーション化した少年期コルンゴルトの音楽。
シュトラウスや、マーラーやツェムリンスキー、その時代の先輩たちからアドバイスや影響を受けつつもすでに完成型にあったその音楽スタイルは、のちの作品以上にハリウッド風であるところがおもしろい。
「雪だるま」の全曲CDは、いまだ未入手なのだけれど、こうして数曲聴いてみると、後の充実期のコルンゴルトのメロディが先走って登場してるし、若気のいたりみたいな、超甘々のとろけるような旋律も出てくる。
甘味さだけが残ってしまうところが、のちのほろ苦さも感じさせるようなオペラ作品の比ではないけれど、コルンゴルト好きにはたまらない瞬間が続出。
劇的序曲は、のちの大交響曲に似てる。
そして、シンフォニエッタといいつつも、4つの楽章からなる43分の大作は、素直に美しくて、可愛く甘いミルクチョコレートみたいな音楽。
低音軽め、中音から上っかわだけの響きで勝負したような、耳当たりの良さが光るソフィスティケート・ミュージック。
驚きの15歳の作品。
後に妻になったルイジが夫から聞いた話では、その頃のコルンゴルトは日に12時間は、作曲し、音楽に打ち込んでいたそうな。
寝るか食事するか、最低限の営み以外は音楽漬けだったというから、なんだか気の毒な気もしますが、いまこうして若書きの幸せに満ちた曲を聴く限りは、作者の明るく前向きな心情と満ちあふれる若さが感じ取れて、むしろ羨ましく感じてしまうのだ。
「Motiv des frohlichen Herzens」=「Theme of the Happy Heart」とされたテーマ。
活気あふれるスケルツォの第2楽章の中間部で現れる緩やかで抒情に満ちた部分。
室内楽風な様相になり、新ウィーン楽派の流れを感じさせる特筆すべき個所かもしれないし、その豊かな歌はシュトラウスそのもの。
映画のラブシーンみたいな3楽章はお休みまえにどうぞ。
シリアスながら、幸せハートが打ち勝ってしまう終楽章。
軽く聞き流すこともできる口当たりのよい音楽だけれど、若いコルンゴルトが、老シュトラウスにおおいなる尊敬を持ちつつ意識して書いたシンフォニエッタ。
恵まれた環境に育った、天才のぼんぼんの音楽は屈託がなく、明日も、何気なく聴いてしまいそうな音楽なんです。
しかし、そんなコルンゴルトにも、長じて厳しくも悲しい明日が待ち受けているのでした・・・・。
身につまされてしまいます。
そして、明日もおいしいパンが食べれれるといいと思ってます。
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コメント
この曲、Youtube上で聴けたので、聴いてみました。
分割アップもされていて、そちらの方が、音像は安定しています。
初見の印象は、映画音楽的だな、軽やかだけど、交響曲嬰へ調と比べて印象薄いなとその時は思いました。
ブルッフの交響曲第3番、ツェムリンスキー交響曲第2番、そして聴いてはいませんが、同様の結論が出そうな曲として、ブラームス党時代のシュレーカー交響曲第1番の音楽を受け継いでいるな思えてくるのです。
その軽やかさ、がっちりした構成、洗練された響きに。このシンフォニエッタは、マーラーやR.シュトラウスを彷彿とさせる、楽器の使い方がありますね。とりわけ、鉄琴やチェレスタ。マラ8や、R.シュトラウスのアルプス交響曲と比べてです。おそらくその淵源を辿れば、コルサコフやくるみ割り人形に行きつきそうです。根本的に違う使い方をしている作品と言うと、有名どころだとラヴェルのボレロ以外思いつきません。
書かれた時代が、第1次世界大戦前夜。戦中、レーガーのクラリネット五重奏曲が書かれていることを考えるととてつもなく明るく垢抜けた作品ですよね。この、無邪気さ、天真爛漫ぶりこそが、モーツァルト的に思えてくるのです。寝る前に、ほっこりするのに良い曲のようにも思えてくるのです。スケルツォとフィナーレが劇的過ぎるかもしれませんが。年末にタワレコで予約します。
投稿: Kasshini | 2012年12月20日 (木) 15時38分
Kasshiniさんこちらにもありがとうございます。
この曲は大好きです。
シリアスでしっかりした音楽が好きな方からすると怒られてしまいますが、この甘さと豊穣サウンドには打ち勝てません。
チェレスタや鉄琴の多用は、コルンゴルトのサウンドの特徴ですね。
本文にも書きましたが、3楽章は寝る前に聴くのにほんとうにぴったりでした。
投稿: yokochan | 2012年12月22日 (土) 14時07分