ブルッフ 交響曲第1番 マリナー指揮
陽光眩しい5月はツツジであります。
いつもこの時期満開の自宅の団地の斜面。
今年は、一進一退の冬と春のせめぎ合いで、初夏っぽくもないし、ちょっと開花が遅くて、まだ満開じゃないです。
地震で植物もびっくりしちゃったかもです。
ツツジ=アゼリアが発する甘くて、香ばしい香りといったらありません。
ロマン派の豊かな香りあふれる名作コンチェルトといったら、ブルッフ(1838~1920)のヴァイオリン協奏曲。
長生きしたブルッフは、たとえば、ブラームスより5年後輩、マーラーより22年も先輩だけれども、そのマーラーより8年長く生きた。
そんな活躍年代を思えば、ブルッフの音楽や人がなんとなく見えてくるようです。
そしてなによりも、ワーグナーが生きて、大いなる影響力を音楽家たちに及ぼしてた時代。
ワーグナーの濃厚なロマンティシズムと分厚い管弦楽法も当然に受け継いでいるものの、やはりブラームスに近いその響き。
ヴァイオリン協奏曲第1番と、スコットランド幻想曲、そして「コル・ニドライ」ばかりが有名で、そのほかの作品はまったく顧みられることがないといっていいブルッフ。
いつも気になりつつ、真剣に聴いたことがなかった3曲ある交響曲のうちの第1番を、わたしの大好きな指揮者のひとり、サー・ネヴィル・マリナーの指揮とアカデミーのCDで聴くことができました。
しかし、カップリングのパメラ・フランクの弾く協奏曲がメインのように扱われていて、ジャケットも彼女のポートレートになってる。
その協奏曲も桂演なのであるが、カップリングの交響曲と北欧情緒に溢れたスウェーデン舞曲のふたつが、実に素敵な曲なのであります。
35分くらいの、中規模な作品。
正統な4楽章形式で、メンデルスゾーンっぽいロマンティックで朗らかな明るい楽想の連続する交響曲。
ワグネリアン指揮者ヘルマン・レヴィから、オペラや合唱曲ばかりでなく、その豊かなイマジネーションで交響曲も書いてみたらとの勧めを受けて作曲された。
1868年の作で、1番の協奏曲の1年後。
ブラームスに献呈され、そのブラームスからも素晴らしい作品とお誉めをいただいた。
短い導入的な前奏を経て始まる第1楽章は、少し捉えどころがない。
暗から明・勝利へと続くベートーヴェン以降の交響曲のあり方をしっかり踏襲していて、荘重で慎重な出だしだが曲調は緩やかで明るい。
おっ、これは「真夏の夜の夢」そのものじゃん、と感じる第2楽章のスケルツォ。
中間部の4拍子の旋律がやたららと印象的で、この曲を聴き始めてからというもの、何度も頭に浮かんでくる。少しかっこよくて、とても気に入った楽章です。
次いで始まる第3緩徐楽章は、憂愁の雰囲気が、これまたスコッチ交響曲なんです。
この沈鬱としたムードと抒情は、かなり深いものがありますが、たった5分で終わってしまうのが残念。
そして、曲は休みなく、終楽章のフィナーレに続くが、これはまさにあの協奏曲の終楽章と同じ様相を呈している。健やかで伸びやかな終楽章。
なんて、気持ちのいい音楽なのでしょう。
春の日差しをいっぱいに浴びて深呼吸するみたいな感じですよ。
そして、わたしの愛するマリナー卿が、わが意を得たりともいうような、爽快きわまりない演奏を手兵のアカデミーと繰り広げているんです。
最後の緩やかななエンディングなど、マリナーの指揮姿が思い浮かぶような気がします。
ほかの2曲の交響曲もなんとしても録音していただきたいマリナー卿なのでした。
そして、ブルッフのオペラ作品なんぞ、是非とも聴いてみたいものです。
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コメント
ほほー^^ブルッフの交響曲。あるんですねー。Vn協奏曲しか知りませんでした。。。
え?ブルッフに?え?オペラ作品が?え?あるんですか?もっと知りませんでした。。。
投稿: モナコ命 | 2011年5月 6日 (金) 22時14分
モナコ命さん、こんばんは。
ほほー、なのです。
ブルッフには3つの交響曲と3つのオペラがあるんです。
そのほか、2時間に及ぶオラトリオ風作品とかも。
わたしも、それらを知りたくてしょうがないんです。
ブルッフ復刻を願います!
投稿: yokochan | 2011年5月 6日 (金) 23時08分
お早うございます。
マリナー卿のレパートリーの広さには驚くばかりです。
ブルッフの交響曲も録音していましたか!
マズアとナクソスから出ている確かザンデルリンク息子ぐらいしかレコードは無いだろうと思っていました。
交響曲とか管弦楽曲とかオケものばかり聴いていた私ですが、ブログ主様と知り合うことでオペラとか室内楽とか器楽とかも満遍なく聴くようになったと思います。
私のただでさえ薄い財布をますます薄くするのにいちばん貢献しているのはブログ主様かもしれません(笑)。
ブルッフの交響曲も聴いてみます。
投稿: 越後のオックス | 2011年5月 7日 (土) 10時06分
越後のオックスさん、こんばんは。
コメント、相前後してしまいました。
マリナーは、なにをやっても、それなりにソツなくうまく聴かせてくれますが、味合いの度合いも増しております。
このブルッフは、曲のよさにも気付かされる桂演でした。
ブルッフは、あと、コンロンも録音してますよ。
クラシックの道は深いもので、そのジャンルも多岐にわたっていて、油断するとえらいことになります。
でも幅広く聴くことは、それこそ視野も広がっていいですね。
投稿: yokochan | 2011年5月 8日 (日) 23時37分
はじめまして。
ブルッフの交響曲第1番についての記事を拝見させていただきました。
実は・・・今週末、ブルッフの交響曲第1番を演奏します!
当初はブルッフの交響曲に関する資料の少なさに戸惑い、演奏の難しさに困り果てていましたが、
少ない書籍で調べていくうちにいろいろと面白いことがわかり、練習を重ねるにつれて私たちもこの曲がとても好きなりました。
演奏会は、6月5日(日)の午後2時より、大田区民ホール・アプリコ 大ホール(JR京浜東北線「蒲田」より)にて、
ブラームスの交響曲第2番とともに演奏します。
指揮はドイツでブルッフと同じくコブレンツ→ゾンダーズハウゼンで音楽監督を歴任した増田宏昭氏です。
もしご都合がよろしければ、ご来聴いただければ幸いです。ご連絡お待ちしております。
ジャパン・クラシカ代表 山田智子
http://www014.upp.so-net.ne.jp/JapanClassica/
japan_classica@yahoo.co.jp
チケット前売:ローソンチケット(1,500円)【Lコード:37823】(6月4日まで)
投稿: ジャパン・クラシカ | 2011年5月31日 (火) 12時32分
ジャパン・クラシカ、山田さま、こんにちは。
コメントどうもありがとうございます。
そして、コンサートのご案内、こちらも感謝いたします。
ブルッフとブラームス、素晴らしい組み合わせです。
しかも、ブルッフの1番の実演などは、めったにありつけない演目ですので、大いに触手が動きます。
むちゃくちゃ伺いたいのですが、実はめったにないことに、コンサートが3日、4日と連続しておりまして、3連ちゃんは、家人の了解というか、理解が得られにくいものと思われ、涙を飲まざるをえません・・・・。
せっかくのご案内、ほんとうに残念ですが、申し訳ありません。
貴楽団のサイトも拝見いたしました。
実力派のマエストロのもと、ドイツものを中心の魅力あるプログラミングですね。
次の機会には、是非ともお邪魔したいと存じます。
コンサートの御成功を、心よりお祈りいたしております。
投稿: yokochan | 2011年6月 1日 (水) 09時12分