第4回 津田理子音楽の集い in 横浜
開演30分前のホール。
こちらは、東神奈川駅直結の神奈川区の文化施設、かなっくホールです。
なかなかの音響と親密な雰囲気が味わえるホールでした。
第4回 津田理子 音楽の集いに行ってまいりました。
第1部 アンサンブル
プーランク 六重奏曲
ドビュッシー ベルガマスク組曲~「月の光」
前奏曲集~「亜麻色の髪の乙女」
R=コルサコフ 「くまん蜂は飛ぶ」
ラヴェル 「ハバネラのように」
シャブリエ 「楽しい行進曲」
編曲 徳備康純 (プーランク以外)
第2部 ピアノ独奏
シューマン 「子供の情景」
リスト パガニーニの主題による超越技巧練習曲
「トレモロ」「オクターブ」「ラ・カンパネラ」
ピアノ:津田 理子
山本 裕康 指揮 ノイエ・ムジカ東京
(2011.5.31@かなっくホール)
チューリヒ在のピアニスト、津田理子さんは、当地のトーンハレにおいて、ピアノリサイタルと室内楽のコラボコンサートを毎年行っているそうでして、その日本版ともいえるコンサートが、今回4回目を数えるこちらでした。
いつも、お世話になっております作曲家の徳備先生(ブログでは鎌倉スイス日記主幹の先生としてご存知の通りです)が顧問をつとめられる、ノイエ・ムジカ東京の主催。
そして、なによりも、われらが神奈川フィルハーモニーの首席チェロ奏者の山本裕康さんが指揮デビューという大注目のコンサート。
こうした顔ぶれによる素敵なコンサートが実現したのは、関係者のご尽力によるものです。ありがとうございました。
神奈川フィル勝手に応援メンバーとともに挑んだコンサート。
1曲目のプーランクは、ピアノと管楽アンサンブルによる六重奏曲。
津田さんが暖かくリードしつつ、若い奏者の皆さんの演奏は、音がほぐれる前に、終わってしまった感じもあって、ちょっと気の毒だったかな。
そして、いよいよ指揮者山本さんの登場。
10名の弦、木管・金管による編成。
チェロを持たない山本さんの登場を見るのは、もちろん初めて。
そして、舞台でその後ろ姿だけを見ることになるもの初めて。
初づくしだけれど、指揮棒を持たない山本さんの動きは、明快で、とてもしなやか。
その背中をみているだけで、いつもの誠実で気取らない優しいチェロ演奏を思い起こしてしまう。
あたりまえだけど、人間、前も後ろも同じ(笑)。
そして、きっと若いアンサンブルメンバーたちも、正面から氏の優しい眼差しと的確な指揮を受けて、とてもリラックスして気持ちよく演奏していたのではないでしょうか。
先のプーランクのときと大違い。
指揮が入ることで、一本芯がとおり、音楽の筋道が見えた感じ。
徳備先生の、洒落ていて、ここでこう来て欲しいというところで見事に決まるツボを心得た編曲による小品集が、それぞれ鮮やかに描きだされていたように思います。
ピチカートの使い方が絶妙の「月の光」と、小粋なシャブリエが、ことに楽しめました。
山本さん、あと1回ありますが、それで指揮活動引退なんてせず、指揮を継続していって欲しいものです。
いろんな指揮者の背中を見てきましたが、本格的な指揮者の背中をしてましたよ!
後半は、雰囲気がうって変って、津田さんのピアノソロ。
シューマンとリストというともにロマン派最盛期の音楽ながら、その趣きは全然違う。
シューマンは、シューベルトからブラームスという流れにあるのを感じ、リストはベルリーズやワーグナー。
こうして、津田さんの一音一音をないがしろにしない着実なピアノで聴くシューマンは、その最初の音から、すぐさまドイツの森へ誘ってくれるような深みのあるものでした。
いやぁ、シューマンってやっぱりいいなぁ・・・・とため息をつく。
そして、文字通りの超絶技巧のリスト。
技巧一点張りのピアニストには絶対出来ない味わいの付加。
自然体で、こんな難曲を無理なく聴かせてくれるピアニストってめったにいらっしゃらないのでは!
いやぁ、リストって、すごいわ、ワーグナーの義父だけのことはあるなぁ(?)・・・・とため息をつく。
そして、アンコールのプーランクの洒落た小品に、ヒナスエラ(アルベニス? どっちだ?)の南欧ムードの曲にと、楽しませていただきました。
若い奏者たちの可能性に満ちた演奏とそれを受け止め束ねた誠実な指揮、そして、深みある人生が織り込まれたような格段のピアノ。
両方が一晩で味わえました。
徳備先生の新曲を交えた、同じ出演者の皆さんによるコンサートがもうひとつ。
ノイエ・ムジカ東京第1回定期演奏会
~津田理子さんをお迎えして~
指揮:山本裕康
6月3日(金) 19:00 保谷こもれびホール
詳細はこちら→
このかなっくホールの下に、居酒屋の名店「根岸家」あり。
再開発で、この複合文化施設の1階に入ったとのことにございます。
yurikamomeさんのご案内で、待望の訪問。
飲んベの心くすぐる、気の置けない居酒屋で、音楽の余韻を皆さんで楽しみました。
どうもお世話になりました。
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