神奈川フィルハーモニー定期演奏会 現田茂夫指揮
暑い梅雨の中休み。
この日、「暑いぞ熊谷!」では、39.8度を記録。
東電の供給余力も9%となりましたぞ。
こんなとんでもない、蒸し暑さのなか、大いに気分爽快となるコンサートに行ってきました
團 伊玖磨 交響曲第1番 イ調
ラフマニノフ パガニーニの主題による狂詩曲
Pf:外山 啓介
チャイコフスキー 交響曲第5番
現田 茂夫 指揮 神奈川フィルハーモニー管弦楽団
(2011.6.24@みなとみらいホール)
ショスタコーヴィチと同じようにその出世作となった團伊玖磨の交響曲第1番。
おまけに雰囲気もショスタコっぽいその作品。
そして、ラフマニノフにチャイコフスキー。
現田さん、お得意のロシアン・ナイトでございました。
これは絶対に、聴かナイトいけない、ということで、汗だくになりながらホールに向かいましたが、走らナイトいけないぎりぎりのタイミングで飛び込みました。
マーラーと並んで、シーズン前から楽しみにしていた、チャイコの5番。
現田さんの指揮で、神奈フィルの音で、絶対に聴いてみたかった。
ホールに入ると、ほぼ満席で、女性や学生さん多数。
皆さんお目当ては、わたしのようなチャイ5じゃなくって、外山君の弾くラフマニノフのようでございます。
大正解のマーラーシリーズに次いでの大盛況。
嬉しいじゃありませんか!
そして、華々しいチャイコフスキーのエンディングのあとは、演奏のみなさんも、ホールのわたしたちも、満面の笑み。爽快爽快!
おっ、トゥーランドットじゃん、と思わせる威圧的なブラスの響きで始まる團1番。
連続する20分あまりの曲のなかに、4楽章の形式を埋め込み、さらに、おっ、ショスタコだ、F・シュミットだ、ムソルグスキーだ、日本民謡だ・・・・などなど、いろいろ感じる玉手箱的折衷音楽。
初聴きでしたが、なかなか親しみやすく、わかりやすい曲でした。
ことに、オーボエが歌う日本的な哀愁の調べが美しいものだ。
受取る私の方が、お疲れムードで、すこしぼぅっ~として聴いてしまいました。
オケもエンジン始動が遅めだったかもしれません。
次いで外山啓介氏登場。
ラフマニノフのこの曲は、ピアノ協奏曲と違って、歌わせどころが後半にあるのみで、あとはモザイクのように変奏を積み上げるのみだから、奏者にとっては難しい曲なのではないかと思う。
若い外山君は、外観のスマートさを崩さず、冷静に弾いていて、そのぶん、曲の外側に立っていたように感じた。
あまりに美しく、そして有名な第18変奏になって、ピアノもオケにも熱い血が通ったようになり生気にあふれた魅力的な演奏になり、その後は怒涛のように、洒落たエンディングに向かったいきました。
終わりよければ・・・、ということでございます。
あと、なによりも気になったのは、啓介君の「髪の毛」。
別に、ないもののヒガミでもないけれど、今風のイケメン風の前髪は、お父さんは嫌いだゾ!
気になってしょうがなかったゾ!
さて、気をとりなおして、お楽しみの後半。
小学校時代からの付き合いの長い曲のひとつが、チャイコフスキーの5番。
カラヤンとベルリンフィルのレコードを擦り切れるほど聴いて、その華麗な演奏がひとつの基準となってしまい、その後いろいろ聴いたソビエト・ロシア系のむせび泣きと勇猛な演奏にはついてゆけなかった。
この曲は華麗で、カッコよくなければだめなのです。
あとは、ハイティンクやアバドのようなヨーロピアン的な演奏も好き。
そんなワタクシを絶対に満足させてくれるであろう、と確信犯的に思いこんでいたのが、今日のコンビによる演奏。
そして、その思いはまったくその通りとなりましたよ
あのカラヤンでさえもほの暗い冒頭を足取り重くテヌートぎみに演出していたのに、現田&神奈川フィルは、その持ち前のきらびやかなサウンドを冒頭から隠そうともせず、(いや、出てくる音がそんな風に響いてしまうのだからしょうがない)眩しいくらいの鮮やかなチャイコフキーを描いてみせちゃう。
もう、うれしくって、わくわくしちゃって、体がオケの皆さんと一緒に動いてしまいそう。
そして、好きな曲すぎるので、指揮したくなって、腕が、指がむずむずしてしまう。
それにしても、楽員のみなさん、気持ちよさそうに弾いてらっしゃること
マーラーではずっと対抗配置だったけれど、この日は、久しぶりの通常(なにが通常かわからなくなったが)の配置。
右から低音、左から主旋律と高音域、間に中音・木管と、いわばレコード少年にとっての基本配置は、耳にとっても心地よく、安心感すら感じた。
いろいろ聴けて、試せて、そういう意味でも神奈川フィルは、バラエティ豊かなオーケストラなのだ。
2楽章へは、休みなくアタッカでつないだ現田さん。
3楽章へは、休みを置き、3と4楽章はよくあるように、こちらもアタッカ。
前半と後半、暗と明を明らかに際立たせる意図でしょうか。
しかし、どちらも輝きすぎ(笑)
その2楽章の美しいことといったら!
甘味なホルンに、優美はオーボエ、軽やかクラリネット、優しいフルート、透き通るような弦セクション、威圧的にならない金管。
もう、ほんとたまりません。クリスタルな耳のご馳走です。
夢見るように聴いてしまいました。
エレガントなワルツもオシャレ。
そして、超かっちょイイ終楽章。
オケもノリノリ、現田さんもいつものように背中に汗が抜けてきて踊るように指揮、コンマス石田氏もいつもより立ち上がり弾きが多い。
見て、聴いて、最後の大フィナーレに向かって、きらきら輝く大行進を目の前に、顔に笑いさえ浮かべてしまったワタクシ。
はたから見たら、にやにや笑いの不気味なオジサン。
見事にきまったエンディング。
イェーイ、カッチョええぞ
気持ちいいーーーーっ
会場は大ブラボーでした。
上気して、ふらふらと階段を下りると、下に待ち受けしは、現田さん、オケの女性メンバー、理事のみなさん。
手には、ブルーダル基金の募金箱。
すっかり術中にはまり、ご協力させていただきました。
こんな素敵な気分にさせていただき、ありがとうって感じですよ!
マーラーも大いに心に響きましたが、今回みたいに、気分よろしく、エンジョイさせてくれるコンサートもほんとに大事だと思います。
それにしても、現田さんは当然として、神奈川フィル向きの曲だと思いましたね、チャイコの5番。
次週は、神奈フィルで聴きたい曲、お願いランキングでも記事にしましょうかね。
アフターコンサートに、いつものメンバーと、いつもの店で、いつものものを飲み、いつものものを食べ、いつものように終電近くに帰りました。
暑かったし、気分よかったし、で、死ぬほど美味しいビール。
お昼ごはんから10時間ぶりくらいの食べ物、死ぬほど美味しいピザ。
こんな風にラスト・オーダーとなると、ピッチャーを在庫してしまう。
誰かが、大曲にはさまれた個性豊かなマーラー7番、なんて言ってました(笑)
みなさん、お世話になりました。
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コメント
ご無沙汰しております。
神奈フィルにも、そしてピッチャーの在庫にも(笑)
"輝きすぎ"で"かっちょいい"チャイ5ですか。
さすが現田さん(^^) 期待通りの演奏会だったようですね。
私の親がこの演奏会に行ったらしく、しきりに良かったと自慢しています。
行けなくて悔しい身にもなってほしいものです。まったく。
投稿: syllable | 2011年6月25日 (土) 20時44分
syllableさん、こんばんは。
お馴染みの懐かしい画像でしょ(笑)
そして、へろへろ電車ですよ!
期待どおりの、チャイコに、ジョッキのピッチもあがりました。
会場の誰もが、ニコニコの嬉しいコンサート。
親御さんも、楽しまれたのですね!
名フィルも、何度も聴きました。
神奈フィルと違う個性ですが、逆に羨ましいですよ!
投稿: yokochan | 2011年6月26日 (日) 00時38分
どうも遅くまでありがとうございました。
でも、演奏会のあとにその喜びを分かち合える仲間があると言うことに心から感謝をしております。
それにしても、楽しいチャイコフスキーでした。現田=神奈川フィルの面目躍如でしたね。
オケの鳴りっぷりも煌びやかかつ豪快で繊細。
いやいや、格がやはり違いますな。
投稿: yurikamome122 | 2011年6月26日 (日) 14時13分
yurikamomeさん、先日はどうもありがとうございました。
盛り上がったコンサートのあとのロビーは、いつも活気に満ちてますね。
金曜日もまさにそうでした。
その流れで挑む飲み会も、ほんとに気持ちよく、つい飲み過ぎてしまいました。
念願のチャイコの5番、大満足の出来栄えに、このコンビの真骨頂を聴いた想いです。
もっと聴きたいですね!
投稿: yokochan | 2011年6月26日 (日) 22時13分