シューマン 幻想曲 ペルルミュテール
淡い紫に見えるばら。
ふと見つけて、必死にカメラを構えました。
ばらの花は怖くて、美しい。
でも、それに惹きこまれる自分はもっと怖い。・・・(笑)。
7月29日(金)は、企業の役員・役職クラスにとって、その卒業の日であった方々も多かったのではないでしょうか。
今日、訪問した先様の方は、本日で最後だと淡々とおっしゃいました。
その会社で受け付けをしようとしていたら、これまた散々お世話になった客先の社長とばったり。
その方も、実は今日が最後で、その某会社会長にお呼ばれしてらっしゃいました。
雲の上のような方々に非公式で出会い、瞬間、そのお寂しさを感じとることができました。
某湾岸地区の高層ビルの出口には、黒塗りの車が待機してました。
自分の仕事にも密接に関わっていただいた方々のご卒業。
わたしは、いまや会社勤めではありませんが、世代交代の流れを切実に感じとることができます。
まして、こんな不確定な日々なのですからね。
お天気もさらに増して不可思議。梅雨はまだ終わってなかったのか?
梅雨も、盛夏も、晩夏も秋も、もしかしたらいっしょくたで、日本的な緩やかな切り替わりなんぞ、もうなくなってしまったのではないのでしょうか。
のっぺりした、日本の四季なんて、考えたくもないですよ!!
感情もまた機微がなくなってしまいました・・・・・。
失敗の許されない、抜き差しならない会社生活なんて誰が想像したことでしょうか。
わたしが学卒の頃も就職難でしたが、会社生活は、そりゃ楽しいものでしたよ。
植木等みたいな人が、そこらじゅうにいましたもんね。
そして、いまは独立のわたくし。
失敗やそそうは、即、自分の命と引き換えであります・・・、キビシイーー
侘びしい前段を書いてしましました。
そんな日々の中に、感情の濃淡や人間的な喜びを与えてくれるのが音楽。
今日は、シューマン(1850~1856)の155回目の命日。
いつもお世話になってます、ビール仲間(?)のはるりんさんから、お教えいただきました。
手術を施され、順調回復中のはるさん、また、皆さんとビールジョッキを傾けるのは、もう少し先になりそうですが、今日はロマンティーシュなシューマンのピアノ曲を聴きましょう。
「幻想曲」ハ長調op17
数あるシューマンのピアノ作品のなかでも、もっともロマンティックで、かつ形式的にも3つの楽章を得て、バランスのよい構成とあふれ出る抒情に満たされた名曲。
よくいわれるように、ベートーヴェンの最後期のソナタの透徹感に、ロマンの芳香を加えてしまったような夢見心地と現実に狭間に遊ぶかのようなシューマンならではの音楽。
いまを去ること、35年以上前の高校時代。
FMの午後のリサイタルで初めて聴いた。
ピアノ音楽や室内楽のレパートリーを広げるのに、そのFM放送はとても貴重で、録音しては曲を覚え、そして音盤購入へと向かっていった。
ポリーニ、アルゲリッチ、ブレンデルなど有名どころをみんな聴いたけれど、不思議なもので、いまやあのFM放送が懐かしい。
モノラルだったはずだけど、日本人若手演奏家が全身全霊をかけて演奏する、その番組。ともかくいい時代だった。
貴重な音楽放送をいくつしむように聴いていたものです。
そんな、感覚的に遠くで鳴っていたピアノ。
それに雰囲気近い音像。
ウラド・ペルルミュテール(1904~2002)の奥ゆかしい、でも知的な演奏が、いまこうして聴いても昨今の優秀なピアノ演奏に比べても、味わいの点でまったく遜色がなく、明快で剛毅な打鍵と、柔らかでシューマネスクな少し曖昧チックな響きが、見事なバランスをもって聴かれることに感銘をおぼえてしまう。
1950年代前半のモノラル録音。
EINZATSレーベルの雰囲気豊かな復刻盤です。
(そしてCD解説は、こちらもいつもお世話になっておりますブログ仲間のN(R)さんでございます)
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コメント
楽譜をひろげて、左手の模糊とした響きの中、燦然と光り輝く響きを引き出すのにいつも苦労させられる冒頭です。右手の冒頭は、不協和音なのに、形容することば探すのを絶望させるほど美しい音楽ですね。その第1楽章から、エネルギッシュな第2楽章を経て、夢の中の出来事をそのまま音楽にしたような第3楽章の音楽まで、どこをとっても完璧なこの曲。それとは全く対照的に、どこまでも自分の幻想に忠実に従ったような「クライスレリアーナ」とともにシューマンの音楽の中の最高峰ではないでしょうか。
大家の演奏を挙げておられたyokochanさんですが、今、最も気に入っている演奏は内田光子。サントリーのアンコールで、彼女が弾いたシューベルトを覚えておられれば、内田の幻想曲の素晴らしさをお分かりいただけると思いますよ。
投稿: IANIS | 2011年7月30日 (土) 08時32分
こんばんは。
今日、かみさんとファウスト聴いてきました。最前列でしたが、楽譜が大変大きく演奏姿はあまりみれませんでした。ビブラートがなく、大変素敵な重音でした。以前朝日ホールで聴いた時よりも優しくなったような気がしました。
投稿: Mie | 2011年7月30日 (土) 23時52分
IANISさん、こんばんは。
シューマンの数あるピアノ曲のなかで、実はこの曲が一番好きだったりします。
クライスレリアーナは、最初ホロヴィッツだったもので、ちょっとイメージが掴みにくくいまだに苦手意識を持ってます。
書きやすかったので、大家の名前を列挙しましたが、わたしの脳裏には、記事で書いた名前も忘れてしまった日本人奏者です。
誰だったのだろう??
内田光子さまなら、そう、きっと素晴らしいのでしょうね。
あの心えぐられるようなシューベルトはいまも忘れられません。。。。
投稿: yokochan | 2011年7月31日 (日) 00時16分
Mieさん、こんばんは。
イザベル・ファウストの無伴奏ですね。
それはよいコンサートをお聴きでした!
王子ホールは、歌曲やソロ楽器にうってつけの素敵なホールです。
譜面が大きいのは、ちょっと面白いお話ですが、充実のバッハをお聴ききになられて、とても羨ましく存じます。
涼しめの今日の東京も気持ちがよろしかったのではないでしょうか。
投稿: yokochan | 2011年7月31日 (日) 00時21分
ペルルミュテール!またまたオヤジ心をくすぐるピアニストをご紹介下さりありがとうございます。
でもシューマンはまだ聴いたことがありません。リストを弾いている印象が強いからです。あとはドビッシーですね。それにしてもこちらの方は長生きされたんですね。1904年生まれっていうのもすごいけど2002年までの98歳!ご長寿様だったのですね。
私の祖母が昨年102歳で亡くなりました。こちらは私の一族で最高年齢を記録したおばあちゃんです。100歳を過ぎたことで県からも国からもいろいろ表彰されていました。
よし!これから祖母やペルルミュテールみたいに長生きを目指すぞ!周りに疎んじられようが、嫌われようがどんな手を使ってでも。。。
ちょっとペルルミュテールの演奏から外れてしまいました^^;
投稿: モナコ命 | 2011年8月 4日 (木) 22時16分
モナコ命さん、こんばんは。
ペルルミュテールに反応いただきありがとうございました。
この長命ピアニストは、コンサートホールレーベルで知りました。
ショパンの名曲集やワルツ、皇帝でした。
ほんと、長命な爺さんでした。
そしてモナコ命さんのおばあさまもそうですか。
長寿をまっとうされましたね。
どんな手練手管を使っても、一族郎党長生きを目指してください!
きっとそうなります。
ちなみに、わが家系は早世の家でして、そろそろお迎えが・・・・。
頑張るぞ、です。
投稿: yokochan | 2011年8月 4日 (木) 23時35分