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2011年8月27日 (土)

ワーグナー 管弦楽曲集 ショルティ&シカゴ

Namashirasu_1

生しらすで一杯。
生姜醤油でいただきましょう。

お盆に神奈川の家に帰ったとき、スーパーで普通に売っていたものです。
小田原で揚がったもの。
お値段、なんと189円。
海の恵みを、実家に帰ったときほど感謝したくなる時はありませんよ。

お酒は、秦野の地酒「白笹つづみ~弘法山」。
丹沢山系の美しい水が湧く秦野は、お酒や蕎麦がおいしい。
ついでにラーメンもおいしい。
「なんつッ亭」の本店もあります。

Namashirasu_2

つぶらな瞳で見つめられるけれど、一気にすくって食べちゃう。
甘くて食感もよし。
爽やかな生しらす。
キリリと冷えた辛口の日本酒にぴったりでした。

Wagner_solti

さわやかさとは遠い、いや、こってり濃厚じゃないけれど、音楽演奏という行為の行きついた先のひとつが、ショルティシカゴ響

野放図なまでの音の洪水に、ただただ感心し、果てをも知らぬ威力みなぎるオーケストラの底力に平伏するのみ。
ワーグナーなものだから、よけいに感じるスゴさ。
一曲一曲、どこもかしこもそう。
これが長大なオペラだったら、ちょっと辛いかもしれん。
実際、彼らの「オランダ人」全曲は、あっけらかんとしすぎていて、暗い宿命や闇の部分がなおざりにされた感があって、わたしのファーストチョイスにはならない演奏。
「マイスタージンガー」は、敬遠中。

ということで、ショルティのワーグナーは、ウィーンフィルあってのものと思っていて、シカゴとのものは少し距離を置いてます。
というか、オペラ全曲がふたつと、この管弦楽曲集のみだけど。

 1.「さまよえるオランダ人」序曲
 2.「タンホイザー」序曲
 3.「ニュルンベルクのマイスタージンガー」前奏曲
 4.「トリスタンとイソルデ」前奏曲と愛の死

   サー・ゲオルク・ショルティ指揮 シカゴ交響楽団
               (1972~77年 @シカゴ)


うますぎるし、輝かしいばかりの明るさはテカテカとしすぎていて、陰りが少ない。
特に神妙にふるまいつつも、それを強く感じてしまう「トリスタン」は健康的にすぎる。
同じシカゴを指揮したバレンボイム盤は、粘りと不思議な複雑さがあって妙によかった。
 よりオペラのベテランで、ヨーロッパでたたきあげのショルティ。
シカゴという強力な武器を得て、ザッハリヒなショルティはその機能と万能性を大いに気に入り、アメリカの新天地で新境地を築き上げた。

ショルティ&シカゴを聴くとき、どうしてもその威圧的な音響と、鳴りのよすぎるデッカ録音もあって、こんな風な印象の書き方になってしまう。
でも、ここにある完璧なまでのスコアの再現音楽。
カラヤンのような色やうねりがなく、そこにあるのはワーグナーのスコアのみ。
ただそれが、一部の隙もなく明快なだけなのだ。

そんな風に聴いた今日のワーグナーは、しばらくぶりだったし、このところバイロイトのスリムなワーグナーばかりを聴いてたものだから、やたらと耳のご馳走だった。

試みに、ショルティがウィーンフィルを指揮したワーグナー集も聴いてみた。
やはり、あちらはオペラのオーケストラ。
ショルティも一筋縄じゃいかないから、手綱を緩めてるからオケの持ち味が滲みでてる。

どちらも、ワーグナー。

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コメント

管理人さんモナコ命様との縁ありがとうございました。
これからもよろしくお願いします。

私の2階の部屋から日本海が眺められまるで「黄昏」そのままの太陽がパープルになり沈む様は沈黙する美しさです。

シカゴのブラスの連中は我々程美く柔らかい音でバランスよく鳴らせるのは?世界中でおらないと言ってますがこの価値感はアメリカの金管を支えてると思います…


最近ラッパで音大に入った若者に尊敬する奏者は?と伺ったら ハンスガンシュときました…良い趣味ですね。


投稿: マイスターフォーク | 2011年8月28日 (日) 10時13分

マイスターフォークさん、こんにちは。
こちらこそ、いつもあたたかいコメントを頂戴しありがとうございます。

海が見えるお部屋、最高ですね。
しかも日本海ですから、夕日。一番好きな光景ですから、羨まし過ぎます。
シカゴのブラスは、たしかにそれだけですごい存在感ありますし、聴けばそれとわかる音色です。

ワーグナーは、ヨーロッパ・トーンで聴きたいところですが、シカゴのものも、ある意味新鮮でした。
そして、ウィーンの顔、ガンシュ。
ウィーンフィルも格別でした。

投稿: yokochan | 2011年8月28日 (日) 23時21分

ワーグナー、とても好きです。
コンサート・ピースとして、ご紹介のシカゴ交響楽団の演奏はこの上なく強靭にして爽快で(カッコ良くて)かつての愛聴盤でした。
最近は、「トリスタン」ならば、バレンボイムの息遣いの妖しさに心惹かれます。
また、「ジークフリート牧歌」ならば、ショルティとウィーンフィルの室内楽版の美しさを凌駕するものを今もって聞いたことがありません。隠れたヴェラー・カルテットの遺産と思います。

投稿: 深夜便 | 2011年8月28日 (日) 23時40分

深夜便さん、こんにちは。
コメントどうもありがとうございます。
ワーグナー好きのかたは、とても親近感を覚えます!
冷静に熱中してます(笑)

全曲を聴かず、オーケストラ聴きする場合、ショルティ&シカゴは最強のひとつです。
ともかくスゴイと思います。
トリスタンを振らせれば、いまやバレンボイムは随一のツワモノですね。
映像が3つ、全曲音源がひとつ、オーケストラ版がふたつ。こんな人はかつてないですし!

そして、「ジークフリート牧歌」のご指摘。
わたしも強く同感です。
かつて、NHKの年末バイロイト放送のエンディングテーマは、ジークフリート牧歌で、ショルティ盤だったのです。懐かしささえ催す名演ですね。

投稿: yokochan | 2011年8月29日 (月) 21時55分

管理人さんおはようございます。

ワ―グナ―好きの私は管弦楽集をよく集めてきました。
意外とイケたのはブ―レ―ズ・ニュ―ヨ―クで安定したテンポと濃やかなスコアを浮かび上がらせた素晴らしい演奏でした。
ワ―グナ―を演奏するにはオケの透明度がとても大切だとおもいますがブ―レ―ズがシカゴを振ると、乾きぎみの弦セクションが実にしなやかなに美しく変貌し金管までがコンパクトになりクォリティもシカゴの名に恥じない響きになりますね。

投稿: マイスターフォーク | 2011年8月30日 (火) 06時06分

マイスターフォークさん、こんにちは。

わたしもたくさん集めてしまいました。
そして、ブーレーズとニューヨークフィルのもの。
私もレコード時代からの愛聴盤です。
あのゆったりとした「マイスタージンガー」に快速の「トリスタン」、美しい「タンホイザー」に「ファウスト」。
あとオリジナル盤の「ジークフリート牧歌」もありましたね。
おっしゃるとおり、透明感あふれるワーグナー。
シカゴでも録音してもらいたいところです。

投稿: yokochan | 2011年9月 1日 (木) 00時10分

 お早うございます。私が中1の時に初めて聴いたワーグナーがこのアルバムでした。クラヲタ初心者だったころのことです。私の母は変な人で、時々クラシック音楽全集や文学全集の衝動買いをします。学生時代には大枚をはたいて河出書房かどこかの「世界大音楽全集」なるLPのセットを買っています。私が中1の時はソニー&デッカのカセットテープのクラシック音楽全集を買っています。そして私が高1の時は、また性懲りもなくソニーの90枚組のCD全集を…そして買うだけで聴かないんですよね。文学も同様です。岩波の漱石全集とか源氏物語とか福永武彦全集とか三修社のドイツ文学全集とかいろいろな全集を衝動買いするのですが、積読状態で読みません。得するのは愚息の私です。音楽ヲタ・読書ヲタの愚息ですからもうウハウハです。息子の私が言うのもなんですが先見性のある人ではなくて、息子の将来の情操教育のためにとかそういう考えは全然ない人ですね。
 そんなふうにして中1の時の私は、母の乱費癖におかげでベームのブルックナー4番やワルターのベートーヴェンやレニーのマーラーや春祭やショルティの件のワーグナーアルバムを聴くことが出来ました。今はCD化されたので聴いています。皆さん書いておられますようにショルティ&シカゴの豊麗で豪快な音の饗宴は圧倒的です。
  R・シュトラウスのDVDダナエの愛とダフネのレビューを投稿させていただきたいのですが、まだ十分に鑑賞しておりませんのでもう少しご猶予をお願いいたします。

投稿: 越後のオックス | 2012年12月 1日 (土) 08時31分

越後のオックスさん、こんにちは。
なるほど、素晴らしいお母様ですね。
わが家は本もレコードも、そんなことがまったくありませんでしたので、羨ましく存じますよ。

かつてあった名曲全集には、往年の名演奏がふんだんに使われておりましたから、巧まずして耳が肥えていかれたのでしょう!
ショルティ&シカゴは、いまでは考えられない音を出してますね。時代的には、過去のものかもしれませんが、忘れてはならない大きな存在ですね。

投稿: yokochan | 2012年12月 1日 (土) 13時23分

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