ベルリオーズ 幻想交響曲 カラヤン指揮
8月の小便小僧はシンプル。
暑過ぎだからこれでいい。
帽子、海パン、浮き輪、タオルに放水。
8月のベルリオーズ「幻想交響曲」は、カラヤンとべルリン・フィルの巧みな演奏で。
カラヤンはフィルハーモニア時代と合わせて3回、幻想を録音している(はずです)。
長く60年代のDG録音が有名であったが、74年にあらたな録音会場となったフィルハーモニーザール、俗にいうカラヤン・サーカスにて収録した本盤がいまや、カラヤンの幻想の定盤。
その後の再録音はないが、この鳥の顔のジャケットとともに、わたしの高校時代の思い出のひとつでもあったわけ。
ともかく録音が素晴らしく良かった。
イエスキリスト教会での録音は、流麗さと響きの良さが、まさった感があるが、フィルハーモニーでの録音は、音の粒立ちが明確で分離も鮮やか、そして芯の通った力強いピラミッド型のオーケストラが眼前に展開するのを聴くことができる。
幻想には、名録音が多いが、このカラヤン盤もアナログ絶頂期の名録音に思う。
思えば、DGには幻想の名演・名録音が多い。
小澤(BSO)、こちらのカラヤン、バレンボイム、アバド、レヴァイン、チョン・ミュンフン、ミンコフスキ・・といった具合です。
このカラヤン盤。
オケの嵩にかかったような威力はものすごいものがありまして、最弱の繊細なピアニシモから、強大なフォルテまで、いくつもの段階が用意されてまして、聴き手は、その繰り出される魔法のような響きの引き出しの数々を畏れいりながら拝受する仕組みでして、いながらにして、カラヤン・サーカスの見事な出し物を次々と見物することができるのでした。
今日、ワタクシは、ビール片手に、「あらま」とか、「ほほう」とか、「やっぱりね」とか言いながら、カラヤンの幻想に舌鼓を打ったのでございます。
いつも書きますが、オジサンになってわかってきた、3楽章「野の風景」の美しさと味わい深さ。
カラヤンも聴かせますなぁ。
ともかく、微に入り細に入り、お上手。
かゆいところに手がとどき、誰かが孫の手でもって、背中を掻いてくれちゃう式ざぁます。
媚を売ったような歌い回しが、さわやかな野の情景からは少し離れて聴こえるが、これはこれで、ともかく芸術品級のうまさ。
次の断頭台とあわせて、ティンパニや打楽器にも音色があります。
最後の狂乱、ともかくこのコンビの的確無比なミサイル攻撃をしばし浴びることとしましょう。
もう、快感きわまりない、耳のご馳走なのです。
そこに何があるのかは、この際、置いといて、でも、立派で完璧きわまりない音楽創造芸術品であることには違いありません。
鐘の音は、実際の教会のものを集めて編集したらしい。
カラヤンのすごいところのひとつは、こうした贅沢によりをかけた完璧さにあるのです。
そして覚めたところが一切なく、そこに夢中さを感じるんです。
カラヤンの真髄はオペラにこそありますが、どんな曲を取り上げても真剣勝負の大一番を繰り広げてくれるプロ中のプロの「芸術家」だったのでありました!
久しぶりに聴いた「カラヤンの幻想」に大いに耳と心を動かされました次第です。
昔と違う聴き方もできて、元気がでました。
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コメント
カラヤン先生の幻想、結構ですな(いつもの調子です)カラヤン&ベルリンフィルの演奏は、こう「ずどーん」というか「ずしゃあーん」というか、とにかく素人の私にはデラックスに聞こえます。おそらく低音域の処理が他の指揮者よりも上手なのだと思います。ベルリンフィルのチェロとコントラバスは他のオケとはうまさがけた違い!
ご案内の指揮者達の中ではミュンフンの演奏が好きです。ただこのところ韓国が狂った行動ばかりするのでミュンフンの演奏も聴く気になれない。昨日の日本対韓国のサッカーも怒りの中で見始めて、「見たか!日本のすごさを知りやがれ」のコーフン状態で喜びのビールを飲んでいました。
どうもなー。。。こんだけ韓国の態度が悪すぎると、演奏家の質まで疑ってしまう私なのです。しかも、この態度は正しいと信じています。
見たか!韓国!サッカーでも勝てないだろ!
失礼しました^^;
投稿: モナコ命 | 2011年8月11日 (木) 22時05分
もう小便小僧のお着替えですね。さすがに暑くなりましたが、昨年のように長く続いてほしくないですね。
久しぶりに「幻想交響曲」聴いてます。カラヤンのはないみたいなので、ミュンシュのです。
投稿: edc | 2011年8月12日 (金) 08時58分
こんばんは。ついにきか。カラヤンの「幻想交響曲」!!!
何しろパストラルな仕上がりはこの酷暑に聴いても暑苦しくないし、フランス演奏家に負けていない極上の美しさ。レヴァインのベルリン・フィルはロック乗りと熱いサウンドとなっている。
京都の大文字焼きは陸前高田の薪からセシウムが検出されて中止になった。どこまで放射能騒動は続くのか不安になる夏になるでしょうね。
投稿: eyes_1975 | 2011年8月12日 (金) 22時28分
しばらく前に「さまよえるクラオタ人」を発見し、愛読させて頂いております。私も高校の頃、このジャケットのカラヤンの幻想を聴いていました。昔はカラヤンをけなす人が多かったですが、最近は素直に評価する人が増えて気分が良いです。
投稿: faurebrahms | 2011年8月13日 (土) 10時25分
こんにちは管理人さん。
お盆ですが暑さはますますで私の小部屋は音漏れしないように窓に内側から目貼りしてます!
サウナで聴いてるとこんなでしょうね…
カラヤンは今でも何時でもオ―ケストラの仕上がりが上手だったのと個性過ぎないスタイルが旧さをあまり感じさせなくドイツスタイルのスタンダードに感じられます。
インターナショナル化は私は好みません。
カラヤンはドイツ式です!
投稿: マイスターフォーク | 2011年8月13日 (土) 14時49分
モナコ命さん、こんにちは。
カラヤンの低音域のスゴサは、とくにワーグナーで感じます。
うなりをあげるようなトリスタンやローエングリンに強く感じます。
そして、ミュンフンの幻想は実にいいですな。
過激なご発言(笑)、わたしもタジタジですが、かの国の、国をあげての施策には、日本のような縦割りで複雑な社会システムと民間の競争社会システムからすると、まったく太刀打ちができません。
ともかくやること、決めることが早いです。
投稿: yokochan | 2011年8月13日 (土) 15時03分
euridiceさん、こんにちは。
1か月が早いです。
真夏の幻想はなかなか楽しい聴きものでした。
暑いお盆となってますが、ご自愛ください。
投稿: yokochan | 2011年8月13日 (土) 15時06分
eyes_1875さん、こんにちは。
カラヤンでました。
強靭な幻想でしたが、野の風景は夢見心地となりました。
ベルリンフィルとシカゴの幻想は、いずれもオケがすごいものがあります。
レヴァインもシカゴやボストンともう一度録音して欲しいと思います。
放射能は、熱中症の恐怖に少し影が薄くなってますが、厳然とした振りまかれた今ある継続中の恐怖なのですね!
隠していただけに、困ったものです。
投稿: yokochan | 2011年8月13日 (土) 15時14分
faurebrahmsさま、こんにちは。
コメントどうもありがとうございます。
同じ思い出をお持ちとのことでうれしいです。
かくいう、わたしは、オペラを除いてはかつてアンチ・カラヤンでしたが、いまは苦手だったベートーヴェンやブラームス、マーラーを中心に再評価できております。
偉大な指揮者です!
投稿: yokochan | 2011年8月13日 (土) 15時18分
マイスターフォークさん、こんにちは。
暑いですが、わたしは、ちまちまとヘッドフォン生活です。耳に汗もが出来てしまいそうです・・・・。
カラヤンは、ドイツ伝統のカペルマイスター指揮者ですね。
大曲を破たんなく仕上げる能力は、オペラたたき上げの指揮者ですね。
おっしゃるように、ドイツ式でした。
もうほとんどいなくなりましたね、こうしたタイプ。
投稿: yokochan | 2011年8月13日 (土) 15時22分