ベルリオーズ 幻想交響曲 バーンスタイン指揮
早いもんです、もう10月の小便小僧、そして幻想交響曲を取り上げる日がやってきました。
今回も法被を着たイナセな小僧。
一直線の放水がお見事ですな。
祭りじゃ、祭りっ
「小若」・・・間違ってたらごめんなさい。
福島県石川郡の浅川町の秋祭りに小若会という組織があって、毎年ナイスな山車を作っているそうだ。
そちらのことでしょうかね?
豊穣を祝う秋祭り。今年みたいな年こそ、盛大にやって欲しいですね。
今月のベルリオーズ「幻想交響曲」は、バーンスタインとニューヨーク・フィルハーモニックの演奏で。
バーンスタインは、11年前の今日、10月14日に亡くなったのでした。
享年72歳は、早すぎる死でしたが、酒と煙草の不摂生とはいえ、作曲家・指揮者・ピアニスト・教育者・文筆家・・・、幅広い音楽の顔を持ち、それぞれに充実した果実を残したその生涯は、思えば、人生極めてしまっていたのかもしれません。
そんなことを思いつつ、上り調子だった1968年の録音の幻想を聴きました。
このところ、バーンスタインについて書くとき、DG後期の演奏より、CBSからDG初期の頃のものがいい、と書いてます。
そんな中のひとつが、ニューヨークフィル時代の終わり頃のこの幻想。
70年の、来日演目として取り上げられていて、そのときの興奮たるやさぞかし、と思い続けてきた。
けれども、CD化されたこの演奏は、レコードの幾分けばけばしい、ニューヨーク・フィルのサウンドがかなり落ち着いたものになっていて、だいぶ印象が違うものになっていた。
わたしの今聴くCDは、90年頃にリマスターされたロイヤルコレクションンのひとつだが、このシリーズで、チャイコフスキーやストラヴィンスキー、ワーグナーなども揃えてみたけれど、やはりレコードとかなり違う。
いやむしろ、バーンスタインとニューヨークは、こんなにも渋かったっけ・・・、てな具合です。
この幻想もかなり落ち着いて、堂々たる佇まい。
枯れつつあるワタクシのチェックポイントは、3楽章の「野の情景」をいかに味わい深く聴かせるかだが、これがなかなかに渋くまとまっているのです。
中間部の恋人出現のアッチェランドもさほどではないし、夢見心地もほどほどに、田園交響曲のような自然讃歌・描写に聴こえるのです。
この清々しさは得難いものでしたね。
しかし、さすがにバーンスタイン。
1楽章のジワジワと盛り上がり、やがて飛び跳ねるのようなリズム感に支配されるさまや、ワルツの同じくリズムのよさ。
終楽章は、各楽器を思いきり鳴らしきり、デフォルメチックな様相も呈するが、最後の熱狂は思ったほどじゃなくて、的確な指揮ぶりでオケの突っ走りを巧みにコントロールしている印象。
わたしの印象がちょっと大人しすぎますかね?
でも、こんな生真面目なバーンスタインも微笑ましく好きだったりします。
後年のフランス国立管との再録は、もっとエキセントリックでしたが、そう何度も聴くことができないように思います。
そちらは、またいずれの小便小僧とともに書きたいと思いますが・・・・。
もうひとつ、63年のニューヨーク盤もありますが、そちらは未聴です。
このCDには、「ベンベヌート・チェリーニ」と「ローマの謝肉祭」のそれぞれ序曲の飛びきりイキのいい演奏が併録されていて、結構熱い興奮が味わえますぞ。
70年半ばから、DGに移籍したバーンスタインの録音は、「ライブで燃える」、ということで、その録音のほぼすべてがライブ録音でなされるようになった。
それからのバーンスタインは、また面白くなるのですが、CBS時代の啓蒙的な演奏の数々も、今でも色あせないその曲々の模範的な演奏を根差したものといえると思います。
そんな中にもパッションの爆発を見せて、突如の盛り上がりを示したりするレニーなのでした。
このレコードには、バーンスタイン自らが幻想について語った付録LPが付いてました。
「ベルリオーズのサイケデリックな旅行」(?)というものだったでしょうか。
70年に大量に発売されたバーンスタインのレコードの一環で、当時のジャケットはバーンスタインのかっこいい横顔。
懐かしいなぁ。
小学生の自分。
幻想は、現実にとって変わり、夢は遠くになりにけり・・・・です。
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コメント
こんばんは
バーンスタイン/ニューヨーク・フィルの「幻想」は、私の大好きな演奏なので、コメント致します。
中学生の時に最初の録音をLPで聴き、その後、同じNYとの再録音をCDで聴いていました。再録音の方が、一層よく練れていると思います。
フランス国立管との演奏録音もLPで持っていますが、色彩感はありますが、NYとの方が聴きごたえがあるように思います。
バーンスタイン/ニューヨーク・フィルの「幻想」は、ゆったりとした中で、この曲の特徴を聴かせてくれる、とてもいい演奏だと思います。
投稿: HABABI | 2011年10月14日 (金) 20時40分
は、早い!
ありがとうございます。
投稿: edc | 2011年10月14日 (金) 21時37分
HABABIさん、こんばんは。
コメントどうもありがとうございました。
63年盤は聴きたいと思っておりまして、機会をうかがっております。
そしてパリでの録音は、とてもいいのですが、どこか違うような気が・・・。
再度、じっくり聴き直して記事にしてみたいと思ってます。
わたしも68年録音が魅力的に思ってます。
ヨーロッパでの活動が活発になったころですね。
投稿: yokochan | 2011年10月14日 (金) 23時15分
euridiceさん、こんばんは。
毎月26日前後に、翌月に衣装替えするみたいです。
ほんとは、もっと早く私のほうは更新すべきなんでしょうね。
追いつきません(笑)
投稿: yokochan | 2011年10月14日 (金) 23時17分
おはようございます。
昨夜は、私もレニーを偲んで一人でミニミニ・ディスク鑑賞会してました。
ご紹介のロイヤル・エディション盤は、表記は68年録音ですが、中身は1回目の63年盤ですね。私も、かつて、レニー・ファン仲間からご教授頂きました。68年盤のCDは、ちょっと入手し難くなってますね。
どちらも、それぞれに面白さがあって甲乙つけ難いです。
そして、その68年盤の「オマケ付き横顔」LPは、私が中学生の時、お年玉で購入した初幻想でした。今でも大事に残してあります。
バーンスタインNYPの演奏は、派手で活発なイメージがありますが、意外に渋くて硬い演奏も多いですね。時に鈍重だったりもします。派手なアクションとは裏腹に、彼は曲を私物化することは注意深く慎んで振っていたように感じられます。作品と「同化」した時とそうでない時とのギャップが大きいところからも、そう思えます。
投稿: 親父りゅう | 2011年10月15日 (土) 09時38分
親父りゅうさん、こんにちは。
月一の幻想は、次はバーンスタインと決めておりましたが、命日を確認して14日のエントリーとしてみました。
しかし、このエディションの録音は63年盤だったのですか!
68年物と思いこんでの視聴でしたので、お教えいただき感謝いたします。
ということは、かつて聴いてたレコードは??
訳がわからなくなりました。
で、68年物を是非とも、いまいちど聴いてみたいと思います。
バーンスタインの音楽の持つ「渋さ」は、CD化やリマスター化によってよけいに目立つようになったと思います。
>作品と「同化」した時とそうでない時とのギャップが大きいところからも、そう思えます。<
ほんと、おっしゃるとおりですね。
同化の権化と化したレニーも、いまや冷静に聴くことができるようになりました。
歳でしょうかね・・・
投稿: yokochan | 2011年10月15日 (土) 12時41分
大変ご無沙汰しております。
バーンスタインの「幻想」は1970年の来日の際に大阪公演で聴いており、何とも思い出深い曲の1つです。他の方のご指摘通り、ロイヤルエディション盤は表記とは違い1963年録音ですね。1968年録音は1度だけ米盤でCD化されたようですが、なぜかその後は未発売のようです。私的には1968年盤が最高の演奏(ミスはありますが)なのですが、ロイヤルエディションの後発売されたリマスター盤も中身は1963年盤でした。ん~、CBSは何を考えてえるのでしょうね。
投稿: einsatz | 2011年10月16日 (日) 01時15分
Einsatzさん、こちらこそご無沙汰でした。
さすが、万博のバーンスタインをお聴きのeinsatzさんです!
レコ芸をため息つきながら眺めるのみの小学生でした。
そして、こちらが63年物だと知り、がっかりです。
アマゾンを調べたら68年とおぼしき米盤がかなりの高値で出てました。
CBSはEMIとともに、けしからんリリースが多いですが、BMGとの新生からこちらが復活するような期待もありますね。
投稿: yokochan | 2011年10月16日 (日) 11時44分
この記事から4ヶ月、68年盤を中古屋で探し続け、本日発見入手しました。CBSソニーのCSCR8163というCDで16分ほどの「ベルリオーズのサイケデリックな旅行」というバーンスタインの解説が併録されています。タイミングは1/12:32 2/6:06 3/15:04 4/4:28 5/9:27で、63年盤の1/13:15 2/6:13 3/17:11 4/4:49 5/9:48に比べて快速です。
投稿: faurebrahms | 2012年2月29日 (水) 22時02分
faurebrahmsさん、こんばんは。
わたしもショップでは、68年盤を常に探し求めておりますが、ついに手にされましたか!
70年に発売されたときには、「サイケ・・・旅行」のレコードが付録でついていたようです。
その組み合わせとなればまさに本物ですね!
タイムもご丁寧にありがとうございます。
1楽章と2楽章が短くなってますね。
バーンスタイン史上でも、ベト7と並んで、希少な幻想かもです。
わたしも引き続き、探索を続けたいと思います。
ご一報ありがとうございました。
投稿: yokochan | 2012年2月29日 (水) 23時12分