エルガー チェロ協奏曲 ナヴァラ&バルビローリ
銀座のミキモトのショーウィンドウ。
昨年2010年バージョン。
今年、今頃はどうなってるのか、まだ見にいってません。
エルガーのチェロ協奏曲。
初秋に聴くに相応しい音楽。
驚くべきことに、エルガーの名曲、チェロ協奏曲は演奏会の記事では何度も書いているのに、単独で取り上げたことのない、「さまよえるクラヲタ人」。
好きなのはやはり、デュプレだし、これは星の数ほどたくさんの皆さんが書いてらっしゃるしで、なかなか機会を持てなかった。
ハレルとマゼールという、おおよそこの曲にイメージしない演奏が結構よかったりであったけど、そんな記事を書くのも気が進まないところに、念願だったアンドレ・ナヴァラとバルビローリ&ハレ管の57年の録音を手にすることができたのです。
デュプレと同じバルビローリの指揮、オケはこちらはハレ管弦楽団。
1957年ステレオ最初期の録音で、昔はテイチクからでた一連のパイレーベルのレコードで出ていたものと記憶します。
ここでのソリスト、アンドレ・ナヴァラ(1911〜1988)は、フランスの名手であります。
フランスのチェリストというと、フルニエ、トルトゥリエ、ジャンドロンに代表されるように、気品としなやかさ、そうして香気の豊かさ・・・・っていうようなイメージに彩られているように思います。
そしてナヴァラのチェロも確かにその路線にもあると言っていいかもしれないけれど、もっとより剛毅で、一音一音が克明で、ハッキリしているように聴こえる。
エルガーのみの比較でありますが、無伴奏なども出ているようなので、ほかのフランス系チェリストの大家との比較も、実に興味深いのであります。
演奏家であると同時に、教育者としても高名なナヴァラの弟子にはH・シフがいるそうな。
冒頭のいきなりのカデンツァからして、ナヴァラの豊かだが、決して媚びのない真っ直ぐ一直線のチェロに耳が惹きつけられる。
そして、それをうけてのバルビローリの全霊を込めた指揮とそれに食らいつき一体となったハレ管の一生懸命さ。
冒頭で決まってしまった。
あと素晴らしいのが、3楽章の男泣きのようなチェロ。
甘さは微塵としてなく、淡々としたなかに、エルガーの優しい思いが伝わってくるようなチェロに、バルビローリの合いの手。
そして、終楽章の渋いことといったら。
もともとそんな曲調だし、悲壮感が漂う曲だけれども、くっきりとした輪郭を描きつつ、そこにエルガーらしいノーブルさと荘重さも漂わせているように聴こえる。
多くは語らないチェロだけれども、バルビローリとともに、聴けば聴くほどに味わい深いエルガーなのでありました。
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コメント
ご無沙汰しています。
今日は夕刻から急に冷えてきました。
こんな日にぴったりの曲ですね。
ナヴァラとバルビローリの演奏、テイチク盤CDで昔から愛聴しております。読ませていただいて、にわかに聴きたくなりました。このあと、台所で聴こうかな(?)。
ナヴァラの他盤、手元にはスーク、アンチェルとやったブラームスのダブル・コンチェルトのLPがあるのみですが、これもなかなか味わい深いと思います。
投稿: 親父りゅう | 2011年10月 1日 (土) 22時46分
親父りゅうさん、こんにちは。
こちらこそ、ご無沙汰しちゃってました。
昨日と今日とでは、気温がかなり違うようで、長袖生活の始まりです。
秋はこれからですので、こうした曲がじわじわ沁みる季節になってきました。
テイチク盤、覚えておいでですか!
うれしいです。ツルツルじゃない網々(?)のジャケットは、センスあふれるヨーロッパの画像でした。
詰め込みもすごかったですね。
ナヴァラにはダブルコンチェルトもあるのですねぇ。
しかも、スークとアンチェルという渋さ。気になります。
投稿: yokochan | 2011年10月 2日 (日) 00時42分
エルガーは「威風堂々」「愛の挨拶」「エニグマ」以外は、交響曲・協奏曲などにあまりCDの選択肢がないですよね。
投稿: | 2011年10月 2日 (日) 07時42分
faurebrahmsさん、こんにちは。
英国作曲家でも最愛のエルガーですが、3つの交響曲とエニグマ、ヴァイオリン協奏曲は愛するあまり、相当数のCDを揃えてしまいました。
わたしの場合、好きすぎて、どれが一番といった按配に選択肢がありません(笑)。
しばらく交響曲を取り上げてないので、ぼちぼち聴こうかと思ってます。
投稿: yokochan | 2011年10月 2日 (日) 14時45分