ビル・エヴァンス 「POTRAIT IN JAZZ」
寒いです。
都会の真ん中の歩道の脇もこんな風に、銀杏の落葉が落ちて、いい感じになってます。
今年は暑かったせいか、葉の色づきがいまひとつのようで。
紅葉を愛でるまもなく、季節は冬に突入でしょうか。
被災地にも厳しい冬となってしまうのでしょうか。
こんな名作、いまさら取り上げるのも気がひけますが、本日はジャズ分野から、ビル・エヴァンスの「ポートレイト・イン・ジャズ」を。
秋から冬にかけての季節に聴くのに最適の音盤のひとつ。
まず、ジャケットがいい。
小学生からのクラヲタでありながら、中学生でビートルズに芽生え、高校生でブリティシュルロック、大学生で軟弱にAORや日本の歌に共感し、社会人となって大人酒をたしなみながらはまったのがジャズ。
なかでも、ビル・エヴァンスはそこそこレコードを揃えました。
まだCDが本格登場する前だったから、そのジャケットの数々は、スピーカーの上のジャケットスタンドとして、壁掛けのインテリアとして、その音とともに、大いに楽しんだのでした。
そうしたなかでも、最高位に素晴らしいジャケットがこのビル・エヴァンス。
いまでも、充分通用するかっこよさ。
神経質そうなビルの髪型とメガネ、そしてタイとシャツ。
スタンダードナンバーを集めた魅力ある選曲は、永年のリスナーも、初心者も、みんな虜にしてしまうようなスマートでかつ抒情的な演奏。
異論あるかもしれませんが、わたしにとって、このアルバムは、ジャズの平均律(バッハ)みたいな存在です。
1959年という年代の録音も聴いててうれしいものです。
少しデッドですが、雰囲気あふれる録音は実に親密な感じで、小粋なバーで、カウンターでひとり腰かけながら、ウィスキーグラスを傾ける、そんな雰囲気にぴったり。
CD化にあたって、モノラルによる異なるバージョンが収録されてます。
1.「降っても晴れても」
Come rain or come shine
2.枯葉(2バージョン)
Autum leaves
3.ウィッチクラフト
Witchcraht
4.ホエン・アイ・フィール・ラブ
When I fall love
5.ペリズ・スコープ
Peri's scope
6.恋とはなんでしょう
What is this thing called love?
7.スプリング・イズ・ヒア
Spring is here
8.いつか王子様が
Someday may prince will come
9.ブルー・イン・グリーン(2バージョン)
Blue in green
Pf:ビル・エヴァンス
Bs:スコット・ラファロ
Ds:ポール・モチアン
(1959.12.28@ニューヨーク)
冒頭の曲が始まるだけで、もうそこはシャープでキレのいいビル・エヴァンスの世界。
トリオのメンバーは、その後何度も変わったけれど、この頃の初期メンバーが、シャープさとアナログ的な温もり感でもって一番いいと思う。
枯葉はこんな風に聴くと、歌付きの女々しい曲とまったく違って聴こえます。
でもわたしは、冒頭の曲と④、⑦が渋くって好き。
この人の、少し湿っぽいピアノが心に響いてきて、お酒も愛おしく思えるから。
クラシック音楽好きの方なら、ビル・エヴァンスのピアノは絶対共感いただけると思います。
過去記事
「ビル・エヴァンス I will say goodbye」
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コメント
こんばんは!
これまでの人生、クラシック一辺倒、ジャズはほとんど聴いてこなかったのですが、
いろいろと気分転換したいこともあり、ジャズのボックスセットを買ってみました。
これがなかなかよかったです。
そのボックスにはビル・エヴァンスのものが入っていなかったので、
早速タワー○コードに行って買って参りました。
1000円(1100円だったか)で売っとるのですね。
どのジャンルも価格破壊が進んどります。
そして、このアルバム、ほんと素晴らしいですね!
おっしゃるとおり抒情的なピアノ!そしてリズムがシャープ。
ピアノもですが、ベースのノリのよさも際立ちますね!
こりゃ他のエヴァンスのアルバムも買ってこようか・・・。
ご指南いただき、ありがとうございました!
投稿: minamina | 2011年11月20日 (日) 23時05分
minaminaさん、こんばんは。
そうなんですよ、ジャズの名盤もみんな廉価盤になってます。
ロックやポップス系がそうでもないところが、なんとも解せませんが・・・。
そして、お聴きいただきましたか!
ビル・エヴァンスは年代を追って聴いてゆくと、その風貌とともに、繊細ななかにも陰りが増えていくことがわかります。
レコードで数十枚も集めてしまいました。
ジャズも懐深いですから、気をつけましょう(笑)
投稿: yokochan | 2011年11月21日 (月) 02時01分
過去記事に失礼致します
“渋い”のキーワードに、yokochan様の、ビルへの造詣の深さを思い知る気が致します
硬質なんですよね
何せ、マイルスみたいに吹かし(ダジャレ?)はしなかったもののヤクは人一倍、女房は泣かす(だけでは済みませんでしたが…)実はウラ番ですから
、“ブルー・イン・グリーン”も“フラメンコ・スケッチ”も、ビルあってこそだと思います(締めでヨイショ)
何気なくおとなしいスタイル(演奏フォーマット)の中で、実はとんでもない実験をし続けたのが、ビルだったんではないでしょうか
投稿: Booty☆KETSU oh! ダンス | 2013年3月 9日 (土) 21時29分
Booty☆KETSU oh! ダンスさん、こんばんは。
ビル・エヴァンスの音楽の思い出はたくさんありますが、ご指摘のとおり、硬質な音楽だと思います。
でもそれは、初期までで、晩年はだんだんと思いに沈むようになり、少しばかり水っぽくなっていったように感じます。それもまたエヴァンスの魅力で、ひとり、夜陰に聴くに相応しい音楽だと思います。
癒し系的に流れたクラシカル音楽ともクロスオーヴァーしてますね。
投稿: yokochan | 2013年3月11日 (月) 23時27分