ブリテン 「キャロルの祭典」 ブリテン指揮
新宿のミロードのツリーイルミネーション。
クリスタル系の簡潔なもの。
去年とは大違いのシンプルぶり。 →去年のブログ記事から
透けスケだけど、それなりに美しい。
今年はそれでも、街のイルミはそれなりに華やかに感じるのだけれど、過去画像を調べてみたら、去年・一昨年の豪華絢爛ぶりに驚いてしまった。
これでいいのかもしれない。
ブリテン(1913~1976)の「キャロルの祭典」。
ここでいう、キャロルとは広義な意味で、われわれが「きよしこの夜」などで知っている、「クリスマス・キャロル」のこと。
同名のディケンズの小説は、強欲爺さんが、クリスマスの夜に亡霊に諭され、そしてあらわれる3人の精霊によって、その残りの人生を変えてゆく、というもの。
わたしも読みましたよ。
今読んだら、また印象が変わるかもしれません。
そして、熱心なカトリック信者だったブリテンのこの作品は、宗教曲ではなく、クリスマス典礼を模した、英国教会風の式典をコンサート風に再現できる合唱音楽といっていいかもしれない。
1942年の作品で、第二次大戦真っ只中、主力のオペラは、「ピーター・グライムズ」も生れておらず、明るい「ポール・バニヤン」のみ。
少年合唱とハープソロによる編成は、とてもユニークであり、いかにもブリテン。
少年合唱は、女声合唱でも代用でき、ハープはピアノで奏されることもあるが、女声だと劇性が強くなり色合いが増してしまうし、さらにピアノだと表現の幅が広がるものの、ピュアな感じが少し遠のいてしまうかも。
やはり、ブリテンチックに、少年とハープであります。
英国のイエス生誕にまつわる15世紀の詩によっていて、その詩による歌は全部で9編。
両端に、グレゴリオ聖歌の「Hodie」~「今日、キリストは生れた」を置き、真ん中に、ハープソロの間奏曲を置く形式。
これまた、美しく形式と構成をまとめるブリテンらしい考え抜かれた技。
最初と最後の、グレゴリオ聖歌は、合唱が会場に入退場しながら歌うので、音源で聴くと、フェイドイン・フェイドアウトする。
この方式は、のちに書く教会寓意劇3部作で、さらに精密な仕掛けとなって結実する。
個々の歌に関して云々することはできませんが、いずれも少年合唱という無垢で汚れない歌声が、キリスト者でなくとも、聴くひとすべてにイエスの誕生という、このうえない喜びと希望を伝えてやまない。
そこに付随する清廉なハープの響きも、耳に心地よいばかりか、時に深遠なまでの効果を導きだしている。
演奏は、コペンハーゲンの少年合唱団をブリテンが指揮したもの。
ハープはエニッド・シモンという人。
1953年のモノラル録音ながら、極めて鮮明で、ブリテンの唸り声まで聴こえます。
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コメント
クリスマスですね。こちらのブリテンの作品は合唱を少しでも経験した者であれば今の季節に何度も歌ったことがある曲です。
ブリテンの指揮したレコードには駄作がない!(あるかもしれないけど)
一般に作曲者の演奏は二流のレベルのものが多い。(たとえばリヒャルトシュトラウスやストラビンスキーやレベル等)ブリテンは唯一の例外といえます。残されているピアノ伴奏の演奏も極めて高い水準です。
さまよえる様のご紹介のこの曲の録音も入門用にして最終目標になりうるレコードです。
それにしても、クリスマスの時期になると子供用のプレゼントとかケーキとかを準備するのはいつも私の役割です。この年になるとかなりやっかいです。
私は無宗教ですので、ケーキを神棚と仏様にあげた後で、「さあ、みんなでクリスマスケーキを食べよう」という行為に全く抵抗がありません。
考えてみれば私たち日本人って世界でもまれな民族ですね。
投稿: モナコ命 | 2011年12月21日 (水) 14時48分
モナコ命さん、こんばんは。
わたしは合唱に高校以降は縁がなかったので、キャロルの祭典を知ったのはそんなに昔ではありません。
そして、「青少年」以外のブリテンを知ったのは、指揮者とピアニストでした。
前者は、ブランデンブルクとシューマンのファウストにモーツァルトの協奏曲。
後者は、アルペジョーネソナタ。
思えばスゴイものですね!!
24日は、日本中のお父さんたちが、ケーキを持って早帰りです。いつからこうなったのでしょうか?
アメリカナイズなのでしょうが、終わるとすぎにツリーを片づけ、1週間するとこんどは、初詣。
神様だらけの不思議な民族です。
投稿: yokochan | 2011年12月21日 (水) 22時25分