神奈川フィルハーモニー定期演奏会 広上淳一指揮
横浜みなとみらい地区は、ピンク色に染まってました。
前回お休みしたうえ、11月は公演なしだったので、なんだか久しぶりの神奈川フィル。
ブラームス 「ハイドンの主題による変奏曲」
チャイコフスキー ヴァイオリン協奏曲
パガニーニ 「ネル・コル・ピュウ」(アンコール)
Vn:三浦 文彰
ドヴォルザーク 交響曲第8番
広上 淳一指揮 神奈川フィルハーモニー管弦楽団
(2011.12.02@みなとみらいホール)
誰しも嬉しい名曲路線。気楽に、肩の力を抜いて楽しめる一夜。
ブラームスと、ブラームスを私淑したドヴォルザーク、そして同年代のチャイコフスキー。
いい組み合わせであります。
ホールは、寒い中、8割方埋まりました。
演目に、もうひとひねり欲しいところですが、それはまた来シーズンのお楽しみということで、メインの神奈フィル・ドヴォ8を待ちかねつつ時間ギリギリ着席。
ハイドン変奏曲から、広上体操全開
見ているだけで、面白い、というか疲れちゃう。
楽員の皆さんは、よく平然と演奏できるものだ、と、この夜ずっと思いつつ聴いていましたよ。
P席の方々も笑わずに聴いてるし。
これは、きっと楽員も聴衆も指揮者を見ないようにしているのだな、と思うことにしました(笑) 。
これ系で、見た目も同質なのがロジェストヴェンスキーとノリントンでしょうか。
でも、そんなジャンプや、ラジオ体操を見るにつけても、出てくる音楽は普通で奇抜さはない。
そのあたりの不可思議なギャップが、どうもこの日は、しっくりこなくて、ブラームスの馥郁たる音楽や、ドヴォルザークのしみじみとした郷愁が、どっかに置き忘れてしまったように感じたのです。
なによりも歌がない。
これが広上スタイルなのでしょうが、わたしにはちょっと辛いものでした。
メインのドヴォルザークでは、随処随処に、新鮮な歌いまわしや響きが聴かれたけれど、それらが曲全体としてどうだったかというと、どうも印象が薄く、結果的に流れが寸断されてしまう結果に聴こえてしまった。
1楽章の終結部は大人しいものだったし、終楽章もテンポの揺れが気になった。
とはいえ、大好きな愛らしい2楽章や3楽章では神奈フィルならではの美音を楽しむことができたし、石田コンマス不在ながらも、大フィルより客演の長原さんの伸びやかなソロも聴きものでした。
指揮者とオケが、完全燃焼したのは、終楽章のコーダに至っての大爆発でありました。
終りよければすべてよし。
熱い心を持つ、広上さんを、違う機会で、もう少し確かめてみたいと思ってます。
そして、ドヴォ8は、素敵な曲だから、神奈川フィルで聴くなら、現田さんでもう一度。
もしくは、聖響さんももしかしたらいいかも・・・・・(ってなことはないか。いや待てよあるかも、いやそんなことはないか)。
そうそう、この日、スターとなったのは三浦文彰クンでございます。
紅顔の18歳の青年。
いや、わたしにはまるで息子を見る思いでございまして、親目線でいたわるようにそのシャイな登場を迎えたのでありますが、オケの前奏のあと弾き始めた三浦君の繊細かつ甘やかな音色を聴いて、こりゃ息子どころか、大人びた表情付けにびっくりこきまくったのでございます。
抜群のテクニック、動じない物腰に安定感ある弾きぶり。
音色や音量も、数々の段階があって驚きの連続の1楽章。
しかし、どうにも音楽に心が乗ってないといいますか、キレイに弾いてるだけに聴こえちゃう。
2楽章のはかないロマンも同様だし、3楽章も途中までそうだった。
指揮台に乗ってるのに、目線が同じくらいの広上さんが、ゴンゴン熱い視線を送るのに、クールに弾く三浦君。(というか自分のスタイルを貫いている強さか)
でも、3楽章の後半にいたって、コンマスを目を合わせ、微笑んだように見えたと思ったら、オケも三浦クンもアクセル全開。
広上さんも、負けじ劣らず、ガンガン煽って、すさまじい熱狂のエンディングを迎えることとなったのであります。
これには、お父さん参りました。
彼を見て聴いて、私は最近の男子諸君のことを思うのでした。
韓流の美しいお兄さんたち、遼君や斎藤祐樹クンなど見目も麗しく、実力満載。
かれらの、ビューティでクールな実力と、三浦君のヴァイオリンを重ね合わせてしまうのです。
ガッツや根性とは、また別次元。
きっと、ものすごい努力をしてるし、それは並み大抵ではないとは思うのですが、それを表にださないところが、また天才性の証し。
わたしは、若いのだからもっと情熱をむき出しにして、音楽にくらいつくような夢中さを見せて欲しかったのです。
なんという贅沢かつ実績ある若人への言いようでしょうか。
あいすいません。
音楽には、苦しい時も、悲しい時も、楽しい時も、いろんな顔があると思うのですから。
アンコールのパガニーニは、悪魔に魂を売り渡したと言われた作曲者の超超絶技巧の難曲。
二挺のヴァイオリンがあるのではないかと思われるほどの凄まじい曲と、その演奏に、オケの皆さんも含めて聴衆が度肝を抜かれてしまった。
並々ならない青年の実力にびっくりこきまくり。
この曲を弾き終わった瞬間に、それこそ一瞬見せた、三浦君のドヤ顔。
わたくしは見逃しませんでした。
そして、ここにこそ、彼の若さと感情の発露を感じ取ったのでございます。
それでこそ、若い! よろしい! っと思いましたね。
アフターコンサートは、いつもの仲間といつもの店に。
遠方より参じる、メンバーもごく普通に登場で嬉しい。
神奈フィルを聴く楽しみは、こんなところにもあるんです!
この日は、ビールがとても美味しくて、ピッチャーから注ぐ泡も、ご覧のきめ細やかさで、かつ甘~いのでした。
皆さん、お世話になりました。
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コメント
いや~、三浦くん、凄かったですねぇ。
あんな曲を目の前で演奏する人がいるとは思いませんでした。
お見事と言うほかありませんです。
若さが故の底の浅さはありましたけど、それでも邪心がないので演奏にはそこそこ心に残る。
この日は私的には彼のパガニーニだけで満足でした。
それにひきかえ広上さんは、元気印の一枚看板が少し色あせてきましたね。
また近々作戦会議やりましょう。
よろしくお願い致します。
投稿: yurikamome122 | 2011年12月 4日 (日) 07時41分
yutikamomeさん、こんにちは。
若い三浦君に少し厳しく書いてしまいましたが、その若さゆえに、期待大です。
それにしてもあのパガニーニにはまいりましたね。
人間技とは思えません。。。。
ドヴォ8での広上さんは、わたしも同感でして、また別の機会で本領を確かめたい人です。
また次ぎの機会によろしくお願いします。
投稿: yokochan | 2011年12月 4日 (日) 12時15分
yokochan様、こんにちは~。
首都圏近辺に住んでいらっしゃる方々が、実に羨ましいですねぇ~。そんな具合に、国内メジャーオケの生演奏を気軽に聞けるのですから~。
さて、この日の神奈川フィルの演目ですが、ドヴォ8の印象があまり良くなかったとのこと~…… ん~僕も広上さんの演奏には、前々から何となく疑問がありました。そうなんです!あのラジオ体操みたいな指揮は、いい加減止めてチョウダイ~!って言いたくなります。あの故人の髭の直純さんじゃああるまいしぃ~。なんと言っても、歌がないというか~、歌心が微塵も感じさせないあの演奏スタイル!僕は苦手というか、何か無機質な感じがしていやですね。それは、ノンヴィブラート奏法のノリントンさんにも言えます。ネット動画で、彼の指揮するマーラーの第9番を視聴しましたが、あまりの感情移入のなさに僕は、この指揮者に正直失望しました。あれがマーラーの第9番の主流になったら、僕はいやですねぇ~……
投稿: Warlock Field | 2011年12月 4日 (日) 13時07分
Warlock Field さん、こんにちは。
コンサートは、いま、月一回の楽しみです。
ごひいきのオケを持てるということは、とてもうれしく、張り合いのあることに思います。
そして広上体操、今回も全開でした!
頑張りの割りに、オケが付いてゆかないのがどうも・・・・。
ノリントンのマーラー第9は、プロムスのネット放送で聴きましたが、超快速のサラサラぶりは、こだわりなくて、わたしは面白く聴きましたが、それ以上のことはないようにも感じましたね。
ノリントンには、もっと合った音楽ジャンルがあるように思うのですが。
投稿: yokochan | 2011年12月 4日 (日) 23時56分