コルンゴルト ヴァイオリン・ソナタ ファン・ビーク
六本木ヒルズのけやき坂から東京タワー方面。
なんども書きますが、ブルーとシルバーの色合いは、樹木にもとても映えます。
紫外線を発しないLEDだから、木々への影響は少ないはず。
でも、そこに通電し、重さの負荷も考えると、可哀そうな感じ。
でもそれ以上に、人々の気持ちを和ます輝くばかりの光の効果は大きい。
山手線を中心にJRの電車のホームの両端には、ブルーの照明がついているのをご存知?
あれは、青の光が人の心に沈静効果を与えるのだそうな。
そう、早まっちゃいけないよ、ということなんです。
コルンゴルト(1897~1957)のシリーズ。
ヴァイオリンとピアノのための作品全集、とはいってもCD1枚ですが、そちらからメインのヴァイオリン・ソナタを。
作品番号6、1912年、コルンゴルト15歳の作品。
翌13年、カール・フレッシュのヴァイオリンとシュナーベルのピアノで初演。
これだけでもすごいでしょ!
コルンゴルトは、ともかく神童として、ナチス登場まではヨーロッパで人気・実力ともに随一の作曲家だったのだから。
コルンゴルトとしては初期の作品ながら、誰がこれを15歳の少年の作品と思えようか。
本格的な4つの楽章の古典的なフォームを持つ均整のとれた作品。
でも、後期ロマン派の爛熟期の流れをしっかり受け継いでいて、後年のロマンティックで甘味なオペラ作品の前兆も充分に感じ取れる。
1912年は、シェーンベルクが「ピエロリュネール」を作曲した年で、「グレの歌」を完成させた。後期ロマン派から、無調そして十二音へと走りつつあった。
マーラーが前年亡くなり、R・シュトラウスは人気オペラ作曲家として「ばらの騎士」を書いたあと「ナクソスのアリアドネ」を完成させた。
こんな周辺にあっての、コルンゴルトの立ち位置は、どちらかというとシュトラウス寄り。
明快でわかりやすい旋律主体で、伝統にのっとった構成感をしっかりと順守。
そこに溢れる世紀末的感覚。刹那的ともいえる美しさ。
情熱的な1楽章は、モデラートでゆっくり始まり、徐々に熱を帯びて行くさまに聴きほれます。
2楽章は、コルンゴルトらしいカッコいいスケルツォ。
これが15歳の・・・、という印象をもっとも持ってしまう枯淡のロマンティシズムを感じてしまう3楽章。夢見るような、こんな深い感情はいったいどこから来たのでしょうか・・・・。
4楽章は、バリエーション形式で、ヴァイオリンの名技が楽しめます。
前年に書いた自作の歌曲「Schneeglockchen」(雪割草)を主題としてます。
この歌曲がまた素敵に美しいもので、バーバラ・ヘンドリックスとウェルザー・メストのCDで聴くことができます。
当CDには、このソナタのほか、自身がアレンジした「死の都」や「ヘリアーネの悲劇」、「空騒ぎ」から、などの魅力的な作品も収録されていて、たっぷり1枚、コルンゴルトの魅惑のヴァイオリン・サウンドが味わえます。
Vn:ソーニャ・ファン・ビーク
Pf:アンドレアス・フローリッシュ
オランダ出身の若い女流ビークの、屈託なくピチピチとしたサウンドには、もう少し陰りが欲しいところですが、思えばコルンゴルトの若々しい音楽にはぴったりかもです。
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