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2012年2月29日 (水)

聖響&神奈川フィル モーツァルト・シリーズ3 CDコンサート② ベーム指揮

Kitanomaru3

うるう年の2月最後の日、関東は朝から雪でした。

ただでさえ短い2月の月末に、雪に慣れてない首都圏のこの雪は過酷でした。

人身事故もあったりで、交通機関は乱れ午前中は大変でした。

飛びまわった1日。時間があったので、北の丸公園に。

都心の真っ只中とは思えない光景です。

Kitanomaru1

皇居外苑の清水門。

清水あふれる清水寺がかってあったそうな。

雪、似合います。

Kitanomaru2

吉田茂像の前で、雪だるまを作る女の子たち。

神奈川フィルハーモニー特別演奏会 聖響音楽堂モーツァルトシリーズの事前CDコンサートをしてます。

  モーツァルト 歌劇「魔笛」序曲

           クラリネット協奏曲 (CL:斎藤雄介)

           交響曲第41番「ジュピター」

             3月3日 @神奈川県立音楽堂


今日は、カール・ベームの指揮で。

Mozart_zauberflite_bohm

ベームは、モーツァルトの音楽を広範にわたって、ほぼすべてを録音している。

オペラでは、7大オペラを全曲。

魔笛」はステレオ初期にウィーンで、60年代にベルリンでそれぞれ録音。
ベルリン・フィルとのものは、カラヤン傘下のベルリンで、厳しくも凝縮された引き締まったモーツァルトをいくつも残したなかのひと組。
オペラなんて、ピットに入ったこともなかった頃のベルリン・フィルが、ベームの元で生き生きとした楽しい雰囲気と時には厳しい晩年様式のモーツァルトを聴かせる。

歌手は豪華なものだが、少しばかりユニークが過ぎるかも・・・(FDのパパゲーノ、リアーのパミーナなど)

Bohm_mo_clacon

クラリネット協奏曲は、ウィーン・フィルの管楽奏者たちと。

この演奏は当ブログ2度目のお勤めだけれども、モーツァルトのクラリネット協奏曲ならば、わたしは絶対この演奏。(過去記事→)
刷り込み盤で、画像のレコードジャケットもともかく素敵なものだったし。

クラリネットは、アルフレート・プリンツ
ウィーンフィルのクラリネット奏者は歴代名をなす名手ばかりで、この曲やブラームスも含めた五重奏曲の録音を残していて、われわれ日本人の聴き手にもっとも親しい存在だ。
ウラッハ、ボスコフスキー、プリンツ、シュミードル、オッテンザマー・・・、最近はウィーン・フィルに疎くなったので知りません。

楽器のことはよくわかりませんが、ウィーンやベルリンの管と、フランスのオケの管は音色がまったく違いますね。
落ち着きと、芯のある音色の前者に、優美さと、華やかさの後者。
パリ管の名手もモーツァルトの協奏曲を録音してたはずですが(たしかカラヤンでなかったかしら・・・?)、その聴き比べもしてみたいと思ってます。

そしてともかく、こちらのウィーン産のモーツァルトは最高に素晴らしいのであります。

ベームの描き出すゆったりと柔らかな中にも克明なオーケストラに乗って、プリンツのザッハトルテのようなウィーン菓子のようで、甘いけれど口中一杯に幸せになるようなクラリネットの音色。
ザッハトルテには、濃い目のコーヒーと、天然ピュアなアルプスの水が合います。
そして、2楽章なんて、ずっとずっと浸っていたい気持ちイイ温泉みたいなんです。

曲の素晴らしさがしみじみと味わえる演奏でもあります。

Mozart_sym4041bohm

コンサートの最後は、41番ジュピター交響曲

ベームは何度か録音しているけれど、こちらは60年代前半のベルリンフィル盤。

これは素晴らしいです。

正しき60年代。

「ジュピター」は、ローマ神話の神様、それもあまたあるなかの主神「ユピテル」。
神話の荒唐無稽の神様の一例にもれず、なかなかにむちゃくちゃな神様ですが、イメージとしては崇高で壮大。
だから作曲時は無題の41番も、のちに、曲の偉大さから「ジュピター」を冠することになったみたい。

わたしたちも、普通に「ジュピター」で、「41番」とは個別にはあんまり呼ばないです(ですよね)。
そして歌になっちゃったホルストの惑星の中では、ジュピターじゃなくて、「木星」です。
ちなみに英国音楽マニアとしては、あの歌は好きくないです。

昨今は、繰り返しをしっかり行い40分近いグレートな規模の交響曲として演奏・録音されるが、かつては繰り返しなしの28分くらいの交響曲で、それでも「ジュピター」だ。
そんなジュピター的な輝かしい力のみなぎった、かつ厳しい眼差しを感じさせるベーム&ベルリン・フィルの名盤なのです。
これを聴いちゃうと、繰り返しやピリオドやピッチやらなんやから・・・・、みんなアホ臭く感じてしまうからしょうがない。

子供の頃から、ワルターやベームのモーツァルトを聴いてきたのですから。
これらがスタンダードなんですから。

Mozart4041bohm

ベームはその後70年代後半にウィーンフィルと再録音。

同時期にベルリンでも後期3大交響曲を演奏していて、そちらもCD化望まれます。

伝説のNHKホールでの75年ライブでは、この曲とJ・シュトラウスの演目で、「常動曲」では、翁が客席を振り向き「いつまでも、いつまでも・・・」と語りましたね。

それらの中では、こちらのスタジオ録音は、少しばかり老成の度合いが高いですが、ウィーンフィルを生かしきった音色が深みもあってよかったです。

ベームのモーツァルトは60~70年代の定番でございました。

若き日々に聴いたモーツァルト。
それは今も心に生きてます。

そして、若い人たちに聴いて欲しい、神奈川フィルハーモニーのモーツァルト
オケのこと、指揮者のことを、聴いて感じて欲しいですね

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コメント

ベーム/BPOは名盤揃いだと思います。このジュピターとブラ1は、学生時代から私の中では絶対的価値を持っています。最近は、クラヲタ様の記事のお陰で英雄も入手、今はべト7が聴きたくて中古探しを継続中です。

投稿: faurebrahms | 2012年3月 1日 (木) 05時27分

こんばんは♪

全部同じジャケットのものを持っていますよ(^^

なかでも3枚目のジュピターのCDは異色ですよね
実を言うとこれはジュピターよりも31番の「パリ」が欲しくて買った物でした。
石丸で当時としては割合安かったと記憶しています
本題から外れますが「パリ」はベーム以上の演奏を聴いたことがありません。これ最高です\(^o^)/


投稿: パスピエ | 2012年3月 1日 (木) 20時11分

faurebrahmsさん、こんばんは。
たしかに、ベームとBPOにははずれなく、いずれの録音も、カラヤンでは出てこない音がしてますね。
あとはシューベルト全集もいいですね。
かえすがえす、ベルリンフィルとのベートーヴェンとブラームス全集が欲しかったところです。
楽員は熱望したらしいですが、レーベルの関係で不可だったそうです。

投稿: yokochan | 2012年3月 2日 (金) 00時27分

パスピエさん、こんばんは。
あら、同じジャケットですね。
ジュピターはレアかもしれません。
わたしも格安で、それでも当時は千円以上はしましたが、入手してます。
「パリ」もまさに、キリッとパリっとしていいです。
パリは、わたしはあと、スウィトナーのEMI盤も大好きでした。

投稿: yokochan | 2012年3月 2日 (金) 00時30分

ベーム/BPOのべト7中古、やっとAmasonで発見入手しました。期待通りの、しっかり重みある演奏でした。

投稿: faurebrahms | 2012年4月 1日 (日) 07時08分

faurebrahmsさん、ベーム・ベト7ご購入おめでとうございます。
わたしも探してみたいと思います。
しかし、50~60年代のベームはいいですね!

投稿: yokochan | 2012年4月 1日 (日) 13時51分

   今晩は。遅まきながら聖響さんの第9交響曲観劇お疲れ様でした。聖響さんは、ガーディナーに通じる不思議系指揮者ですか!私も興味がわいてきました。
 ブログ主様がこの記事で取り上げておられるジュピターが収録されたベーム&ベルリンフィルのモーツァルト交響曲全集を先日購入いたしました。感想は複雑です。手放しで「最高!」とも言えず、手放して「ダメ!」とも言えませんでした。ベーム・ファンの方に怒られてしまうのを覚悟で申し上げるのですが、私がクラヲタになったばかりの1980年代前半という時代は、「ベームは偉い指揮者だけど過去の人」という風潮がありました。ベームその人はもうこの世になく、カラヤンとレニーも相当な高齢、バロックや古典派の曲はピリオドでやるのがもう当然のような時代でしたから。でもその風潮は21世紀の今ではもう覆っていると思います。バイロイトに出演したワーグナーやR・シュトラウスを聴くとそう思います。いくらピリオド派が台頭しようが、優れた新人が出てこようがベームの演奏はどれも不滅だと思います。
 このベーム盤で私のモーツァルト交響曲全集は4つめになります。ベーム、マリナー、ホグウッド、それにブリリアントのテル・リンデンです。ベーム&ベルリンフィルの演奏は立派なんだけど若造の私には、時代がかった仰々しい演奏に聴こえてしまうところがあります。聴いていて思わず襟を正したくなるような壮大で立派な演奏ではあるのですが…同じステレオ初期の往年の大指揮者のモーツァルトでもワルターはもっと優しくて気さくで近づきやすそうな感じがします。
  でも古楽器系が無条件にいいという訳でもないのですよね。ホグウッドみたいに繰り返しを全部履行して40分もかかるリンツやジュピターを聴かされると私でも「もうおなかいっぱい!」と思ってしまうことがあります。テル・リンデンも決して安かろう悪かろうではないのですが、完璧という訳ではありませんし…
  私が一番、聴く頻度が高い全集はマリナーです。変わったことや奇を衒ったことは全くしていませんが、一番安心して聴けます。そして何度聞いても飽きることがありません。少年時代の作品から、晩年の名作までムラなく高水準で演奏しているのはさすがサー・マリナーです。しばらく廃盤になっていたようですが、去年11月に廉価再発されたのは喜ばしいことです。こういう全集は1人でも多くの人に聴いてほしいですから。長文乱文失礼いたしました。

投稿: 越後のオックス | 2012年12月18日 (火) 17時34分

越後のオックスさん、こんにちは。
すっかりお返しが遅くなってしまいました。

わたしのような世代では、ベームはカラヤンやバーンスタインともまた違う絶対的存在でした。
ワーグナーとシュトラウスのほとんどをその指揮で親しみ、ウィーンフィルとの来日での爆発的な演奏もいまだに忘れえぬものです。
70年に、ベームのモーツァルト全集が出たときはものすごく話題になり、レコード店で手に取ってみたときのあまりの重量感はいまでも覚えてます。
ですから、その思い入れも強いですね。

マリナーのモーツァルトは実は数えるほどしか持ってません。マリナーファンを自認しながらいけませんね。
いずれ絶対に確保したい全集です。

投稿: yokochan | 2012年12月22日 (土) 13時47分

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